NOPE ノープのレビュー・感想・評価
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予想外でいい
ホラーかと思ったら途中からアドベンチャー映画に変わった。
●人物が負け犬で、動機が目先の金のために命を張るという設定が気に入った。ヒロイックにはない新鮮さだった。
●UFOが人食い生物、さらにあのデザインがいい。
●猿の暴走のエピソードがある意味、内容にあまり関係なくて逆にいい。
いろいろ予想外で良かった。
空前絶後の西部劇
対決の場面から一気呵成にエンディングに向かっていく腕力に圧倒され、一瞬満たされた気分になるものの、エンディングロールで我に変えるとやはり猿と黒人の話のつながりがイマイチ理解できず。あとで色々調べて理解はしたものの、この作品はそれ込みで楽しむと割り切れば、それはそれで楽しいわけで。余韻が続くというか。
ただ、根底にあるものは変えずに、さまざまなネタを散りばめて相変わらず面白い映画を作るもんだなーと感心。
次回作も無条件で観るでしょうね。
映画スタッフに対するキキパーマーの自己紹介のグルーブは、とても気持ち良かった。
後半は良い
最初はなんだなんだって感じの始まり方ですが、意味が分からないまま中盤あたりまで行くので退屈です。
後半になってアレとの戦いになってくると面白くなります。
撮影おじさん、突っ込むならもう隠れてなくて良かったのでは…。
CMだけ見て終始UFOから逃げる映画かと思っていたので想像からはだいぶ違いました。
最後なんで吹き飛ぶんでしょうね。
いくら布みたいな作りしてるからって…。
どうしてもふざけてしまうジョーダン・ピール
ふだんこういうやつ見ないから、いやなんすかこれ・・・って感じだったんですけど、思い返してみると結構楽しめた。そもそも映画にかかわる人物が、自分で映像撮ってみる映画だっていうメタ要素もそうだし、映画の歴史に言及したり、カメラとかショーが象徴的にあつかわれたり、SFチックな要素を扱いながら(結局UFOじゃないし)、アクションとホラーとをぱっきりと小分けにして出してきてくれたり。
なんか映画について一家言ある人が作ったんだなあ、というのはわかるのだけど、どうも真面目になりきれておらず、そこでAKIRAかよ草、という印象に全部持っていかれました。笑
社会批判的エッセンスはない、けれど
第1作は人種差別、第2作は格差。
この2作は、ある意味でスプラッター的恐怖ではないが、オチのところで唸らせた作品であったと思う。
じゃあこの作品は?となる。社会批判的な側面はない。しかし、最後まで目をそらすことはできなかった。あの牧場
の広い大地に不気味な雲の宿る空。それがからまって否応なしに惹きつけられた。いろんなところで例えられているが、
結果としてスピルバーグの未知との遭遇で始まり、ジョーズでおわるストーリーもこの監督の手にかかれば、こう料理さ、と
いう思い。
あと気になった点 印象に残った点
・アカデミー作品賞にノミネートされた「ナイトメアアリー」は、米国の田舎をどさ回りするサーカス団が舞台だったが、この映画はある意味「西部劇村」が一つの重要な鍵を握る場所となる。
そこの観客たちが、そんなに金持ちというのでもなく、派手な服を着飾っているのでもなく、それでも、垢抜けているわけではないが、よそ行き風な服を着ている。そして、たまにそういったアトラクションを楽しみにきてる。それが「ナイトメアアリー」に通ずる空気を感じた。昔、ニューヨークやロス以外はどこも同じ田舎というのを聞いたが、それが私が感じた印象に通ずるのかもしれない。
・この監督の作品は2回見なくてはいけないのかな?というのも冒頭のシーンは意味があるんだろうなとは思うが、その種明かしは半ば過ぎないとわからないが、そのため明石を一緒に楽しむと思えばいいのかな。
・池袋のグランドシネマサンシャインのIMAXで見たが、やはりこの作品は普通のスクリーンでは良さはわからないかな。
賢く美しい人類の友
お馬さんたちが影の主役でした、ラッキーに賞をあげたい
UFOを一匹の動物としてみる、ジョーダン・ピール監督、今回も面白いアイデアを思いつくなあ
作中の印象的なエピソードであるチンパンジー暴走事件、UFOと直接的な関連はないものの、だからこそ得体が知れずホラーなテイストを盛り上げていた
話が進むと事件の経験者だった元子役のアジア人がUFOを飼い慣らそうとしていたことがわかり、多少なりとも成功していたのは野性動物の恐ろしさを身をもって知っていて、UFOの本質を見抜けたからなのか、というところに繋がる、でも彼は幼少期のトラウマから恐ろしさに魅入られてしまったんだろうな、最後は食べられてしまう
今回もホラーなのはペリット吐き戻し恐怖の一夜シーンまで(ここは家屋が血まみれになりビジュアルかなりグッド)
ラストは荒野、ラッキーを駆る真昼の決闘、UFOとの直接対決で一気に盛り上がる
これまでのピール監督の映画にはなかったチーム戦(仲間に白人がいるのも初)でスケールも大きくクライマックス!て感じが良かった
いろいろなアイデアを持っていて次が気になる監督ですね
想像以上に面白かった
いわゆるUFOは、物体ではなく生き物という設定なのね。そして、どんどん形態が変化するのは既視感があるけど、非常に面白かった。
ただ…。
チンパンジーのシーンの意味が、全く理解できません。要るのか?
誰か説明して下さい(笑)
誰かのレビューに記載があるかな?
あぁ、そうやってやっつけるのね…
空軍が戦闘機からミサイルを撃っても効かないパターンかと思っていだけど、これならミサイルでやっつけられそうだな…と妙な安心感がありました(笑)
いずれにしても、想像以上に面白かった!
コントロール
ノープ失礼ながらあまり期待しないで観たらかなり面白かった。なんで評価低めなのか意味がわからない…
自分の解釈的にはやっぱりこれも寓話系で、生き物を私利私欲の為にコントロールしたら痛い目に合うって事だと思った。
どこにフォーカスするかで面白い詰まらない別れると思う。
アレそのものに目が行くとガッカリしちゃうのかも。
だからこそ、ああいったデザインにワザとしたんだと思う。
そこじゃないんだわ。
以下ネタバレ
あのアジア人は過去にコントロールされていたチンパンジーのストレスが爆発した時、自分だけは危害を加えられなかった。おそらく子供で純粋だったから。彼は大人になりその危機を乗り越えたにもかかわらず自分の私利私欲に走ったから最後はああなった。
馬をアレに食わせるのをショウにしたり顔をグチャグチャにされた元共演者の女性も商売の為に利用してたり結構エグい奴なんだよね。
主人公は生き物をコントロールして生計を立ててはいるが馬を家族と考えており生き物ファーストだからが本人が嫌がる事はしていない。
そういった動物的本能がある人だったから、アレの生態もある程度見抜く事が出来た。
あのカメラマンのフィルムは撮れていたと自分は感じた。若い白人が食われそうになった時、有刺鉄線が絡まって落っこちて生き延びた時に一緒に落ちてきたフィルム缶が撮れてるって事だと思った。なのにあの爺さんが1人で自分を犠牲にしてまで撮りに行ったのは男の死に場所探し的な事で奇跡の瞬間を撮る為。その辺は西部劇チックで良かった。
あとジーザスリザードのTシャツがナイスでした!
評価低めなのが謎。感性は大事ですな。
NOPEでした!監督ごめん!
観ていくと、「ハハ〜ン、これはあれの暗喩だな」「フフ〜ン、これはあれの風刺だな」そんなのが次々と用意されていて、チンパンジーのエピソードも、動く馬のエピソードが不可欠なのもよーく分かった。分かりましたよ。
でも分かった上で、私にとってはNOPEでした!ごめんなさい!
予告編を観て…中身ないな、観たら後悔するヤツやコレ。と直感。
しかしその後、『ゲットアウト』の脚本/監督と聞いて…なんだ、B級映画に見せかけて、すごい切り口の展開が用意されてるのか!あの監督ならね!うん!期待!
という感じで観に行きました。
決定的なモノを出さずに怖がらせる演出(映像の良さ、編集、音の構成など)はさすが一流。『ゲットアウト』の時の体験を思い出しました!
これは良かった点!!
「雲がずっと動いてない」ことの怖さとか、、初めてでした!すごい。
それと妹のキャラクター設定がチャーミングで良かった。
性格、動き、ファッションなどなど。
同性愛者という設定の伝え方はチョットわざとらしい印象でした。もうちょっと自然に伝えれたと思う。
最もNOPEだった点。
捕食者の形状。ラストで変態するのだが、その形状も意図が伝わらないデザインと思った。
制御なんて不可能なんだと伝えたいならもっと生身の感じとか生物としてのグロさを表出させて欲しかったし、
左右対象の羽根のような形は天使にも見えたので、もし美しいモノとか天上のモノとして描きたかったのならもっと神聖な見え方にして欲しかった。
なんと言っても最期、あんなイージーな2頭身の人形に騙されて、パンッ!って。。
謎が残った点。
チンパンジー事件のスタジオで、標的にされた子役女児の脱げた片っぽの靴が、まるで重力に反するような垂直な状態で立ってましたよね?
その後テーマパークの隠し部屋に展示品として飾られていましたが、あの靴はなぜ直立していたのでしょう?
個人の解釈では、チンパンジー事件では子役男児のグータッチ体験(その経験ゆえの過信で後に大きな失敗を犯してしまう)が重要と捉えていて、
あの事件の時点では、まだ人知を越える生物の存在は介在してないと思ったので、分からなくなりました。
どなたか!教えてくださいませ!
ホラーよりもSF感覚?
ホラーかと思いきやそれほど怖さを助長することはなく、ちょっと違うテイストのSF物語。
牧場を営む親父さんが降ってきたものに当たり死亡することから始まる物語。徐々に違和感だったものが認識出来るようになり、その特異性がキーになってる。
こう言う視点もあったのか?と思わせてくれた。
徐々に判明していく過程、またその後対峙する理由は丁寧に描かれて理解できるけど、その実行により導かれた結末はちょっと弱く感じられた。もう少しインパクトがあっても良かったんじゃないかと思いました。
序盤の子供三人いたずらとカマキリあたりでもうライフ1/3くらい削ら...
序盤の子供三人いたずらとカマキリあたりでもうライフ1/3くらい削られた
ハリウッドの映画事情しらないとなかなか難しい内容だった。パンフ見てすこし理解できた気がする
エイリアン2のクイーンかと思ったらエヴァだったり、
それにしてもアキラのブレーキングくるとは思わなかった。
不条理をひとまず肯定した上で、突き破る者たち
◉まずは神の不条理に振り回される
チンパンジーに蹂躙された家族、飛行機から落下した金属で死んだ父、円盤の奇跡を見ようとイベントに集まったら円盤に吸い込まれた群衆……と言った災厄が重ねて登場する。円盤は桁外れの話ながら、共通するのは不条理な不幸に見舞われたと言うこと。
飛行機からの落下物と円盤は、共に空から来たる災厄であり、そんな時、人は天を仰いで嘆くと言う共通点を理解できたのですが、チンパンジー事件は分かりませんでした。三枚目役のチンパンジーが、何故かブチ切れて凶行に及んだのが真相のようでしたが。
更に、チンパンジーに傷つけられなかった少年が円盤イベントの主催者のリッキーであり、事件で顔を変形された婦人が観客席に座っている(これは後で知りました)となると、このラインの筋書きだけでも、私にはほぼ理解不能でした。
とにかく、友好や探索ではなく捕食が目的の円盤=大クラゲが雲に隠れて、獲物を狙っていることは理解して後半へ。
◉それでも人の無駄な抵抗が実る
最初は逃亡を考えたOJとエムとエンジェルだったが、これでバズろうと野望を抱いたエムとエンジェルはプロカメラマンを巻き込んで戦闘を開始した。そして牧場の馬を守れるのは自分しかいないと、健気な決意を固めたOJ。
君は最後は命と引き換えに、馬を救うんだね。私は予告編で力なく「ノープ」と呟くOJの姿を思い出しました。
でもメインキャスト3人は無事に生還。
強烈な旋風と電気遮断? を武器に獲物を追い回す円盤。しかし、円盤は喉につかえる物や、喉を傷つける物は受け付けない反面、一度は何でも貪欲に吸い込む習性を突いて、OJもエムも命懸けの疾走の果て、デカい風船を喰らわせて奴を退治した。鉄条網を身体に巻き付けたエンジェルが、見事に吐き出されたのには喝采。
でも、大クラゲと目を合わさなければ襲われないのは、何故? 誰が言い出したのだろう。肉食獣なのに、それは少し緩くないか。
そして、意外に優雅なレースなどをまとった内部。意外と言うよりも肩透かしで、もっと血の匂いを感じさせてくれてもよかった。せっかく円盤自体を恐怖のエイリアンに仕立て、田舎町を虎視眈々と狙うと言う、人を落ち着かなくさせる恐怖を設定したのだから。
それとも円盤のあの「口」は、人を天国へ誘うための扉だったのか。それならば、充分に恐ろしいです。
とは言え、理不尽な出来事や敵に直面しても、人は時には頭を切り替えて、それで名を売ろうとまですると言う物語。
ちょっとレトロな書体で小見出しが入りましたね。ゴースト、クローバー、ゴーディ、ラッキー、Gジャン。馬の名前とチンパンジーの名前。人によって一生の運命を決められるものたち。こちらも、あるいは不条理の一つと言えます。
ネタバレ厳禁。「空から来る未知の恐怖」×黒人版『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』!
なんの話かを書くだけで、とたんに興覚めになる映画なのだが、
さすがになんの話だったかくらいは書かないと、この映画の感想は僕には書けない(笑)。
なので、今回は全編ネタバレモードです。
スパイク・リー的なM・ナイト・シャマランみたいな立ち位置を手に入れたジョーダン・ピール。
(いや、M・ナイト・シャマラン的なスパイク・リーみたいな立ち位置なのか?)
その第三作が、「宙から来る恐怖」を描いた作品なのは、シャマランがブレイク後三作目に撮ったのが『サイン』だったのと、微妙に被っていて面白い。
前半、ネタをひた隠しに隠して、後半になって究極のアホネタを真顔で投下してくる作り自体も結構よく似ている。
結局、アメリカの映画監督は、作品の成功によって「資本力」と「企画通過力」を手に入れたら、まずは落ちぶれないうちに、俺流『未知との遭遇』を撮っておきたいのかもしれない(笑)。
ちなみに、もちろん二人とも重度のスピルバーグ・オタクである。
シャマランがインド系アメリカ人でありながら、何事もないかのように白人主導のスターシステムに順応していったのに対して、同じ綺想とアイディアで勝負するタイプであっても、ジョーダン・ピールは、徹底して「黒人主導」のキャスティングと、「黒人差別」にまつわるテーマ設定にこだわってきた。
今回もその部分は変わらない。
本作は撮影所のバックヤードものでもあるのだが、ざっくり言うと、「映画の始まりから存在した黒人騎手」から話を起こして、その子孫が「世界で初めてのUFO動画をモノにする」までを描く映画、といってもよい。冒頭の黒人騎手の映画と、ラストでエメラルドが撮影するUFOが、いずれも「動画」といいつつ「コマ撮りの連続写真」であるというのも、心憎い寄せ方だ。
いわば本作は、黒人の視点から見た、もうひとつの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でもあるのだ。
この映画には、OJとエメラルドの黒人兄妹と並んでもうひとり、ジュープという青年が準主役として登場するが、こちらは韓国人のスティーヴン・ユンが演じて、「ハリウッドで生きてきた東洋人」の一典型を示す。むしろ、ジョーダン・ピールにいわせると、こちらのキャラに自分の半生が投影されているという。
こうしてジョーダン・ピールは、ハリウッドのシステムのなかで搾取され、ステロタイプの役柄を押し付けられてきた「黒人」と「東洋人」という存在を、映画を通じて描き出そうとする。
パンフを読むと評論家さんが、ジュープの子役時代にスタジオでブチ切れて惨劇を引き起こしたチンパンジーもまた、黒人&東洋人の鬱屈と怒りの象徴だといってて、なるほどなあと感心。だからジュープはチンパンジーと『E.T.』みたいにグータッチしようとしてたのか(あとでGジャンを飼いならせると慢心する由来にもなっている)。
ちなみに、黒人兄妹に協力する電化量販店のエンジェル役のブランドン・ぺレアはフィリピン&プエルトリコ系、助っ人カメラマンのホルスト役のマイケル・ウィンコットは英国&イタリア系というから、キャスティングにおける人種配置へのこだわりは、『インディペンデンス・デイ』並に念が入っている。
そんな「黒人」OJと「東洋人」ジュープが、こだわりをもって目指すヒーロー像が、そろって白人のマシズムの象徴ともいうべき「ウェスタン(西部劇)のカウボーイ」というのも皮肉な話だ。
そう、本作は、典型的な「ウェスタン」として企図された映画でもある。
なにせラストは、馬上の主人公のショット→エンニオ・モリコーネ・パロディなのだから。
途中、『未知との遭遇』でもやるのかと思ってたら(このあたりではジョン・ウィリアムズ風の曲が流れるw)、終盤で「バケモノ相手の西部劇」としてジャンル・チェンジするんだけど、彼らがshoot するのは、銃弾ではなくて、カメラでした、というわけだ。
西部劇として観れば、本作の骨格は「山を越えて周期的に襲ってくる敵に、牧場主の父親を殺された兄妹が、牧場を継いだうえで見事に仇討ちを果たす」というもので、きわめてオーソドックスなプロット立てといえる。ジュープは、敵と結んで商売っ気を出すものの、裏切られて惨殺される興行主。助っ人にやってくる凄腕Shooterのホルストは、まさにリー・バン・クリーフみたいな助っ人ガンマンである。自宅を要塞化し、立てこもってUFOの姿を「狙う」展開は、まさに『リオ・ブラボー』のようだ。
さしずめ、屋上に据えられた監視カメラは機関銃。エンジェルが構える新型のヴィデオカメラはライフル。ホルストが使いこなす「手回し」カメラはリヴォルヴァー、といったところか。
「ハリウッドの舞台裏」、「未知との遭遇」、「西部劇」に加えて、登場する最後のファクター。
それが、「モンスター」だ。
しかも人型ではない。ひたすら巨大な、エヴァの「使徒」か、ゆゆゆの「バーテックス」みたいな、空中飛来型のレヴィアタンである。
お前ら、UFOって聞いてみんな宇宙人が出てくると思ったろ、ざまあ見やがれ、と笑うジョーダン・ピールの姿が目に浮かぶようだ。
「西部劇テイスト×巨大モンスター」というと、僕らの世代だとやはり“午後ローの星”『トレマーズ』を思い浮かべる人が多いのではないか(笑)。なんか、オフビートなノリや退治法もよく似てるし。
地下から襲って来るグラボイズと、空から襲って来るGジャンという違いはあれども、ジョーダン・ピールがあの映画を意識していないなんてことは、まずないんじゃないかな。
あと、怪物「Gジャン」を観て僕が最初に想起したのは、実は「使徒」でも「バーテックス」でもなくて、あのホームズ譚で名高いアーサー・コナン・ドイルが書いたSFホラー短編「大空の恐怖」だった。
あっちの「宙の怪物」に襲われるのは飛行機乗りだが、「雲間に潜む巨大なクラゲ状の狂暴な浮遊生物」がじつは「UFOの正体」という設定は、本作とほとんど一緒である。
……とまあ、霊感源をいろいろ考えても、結局はわからないんだけどね。
このオタク監督なら、『ゲゲゲの鬼太郎』に出てくる『やかんづる』とか『野槌』とかだって知ってておかしくはないわけで。
もしかしたら、部屋でうろうろしてるルンバが、ビニル袋吸い込んで故障するのを観ながら思いついただけの企画かもしれないし(笑)。
なんにせよ、「布製」とおぼしき質感の巨大モンスターってのは前代未聞の気もするし(要するに後半の最終形態は、「クラゲ」×「凧」なんだろう)、それに対して荒野に大量に立ち並ぶスカイダンサー(パチンコ屋の前で、エアでくねくね踊りながら手をふってる、あの長ぼそい人形)で立ち向かうってのも、なかなか独創的な掛け合わせであり、ビジュアルイメージだ。
総じて面白い映画ではあった。
まず、全編を通じて、カッティングが不穏。
ぶつっ、ぶつっと切ってはつないでいくので、だんだんこちらの不安感が高まってゆく。
「音のホラー」としても巧く機能していて、とにかくBGMと効果音が精神に刺さる。
前半戦で、意地になってるかのように執拗にネタを秘匿しつづけるノリも、決して嫌いではない。
(タイトルも、ネタを気取らせないためにわざわざ曖昧な題にしてるんだろうし)
ネタ明かししたあとの、おバカでくっだらないトンデモノリも、併せて嫌いではない。
『モンキーシャイン』みたいなシットコムの惨劇も、猿版『ファニーゲーム』っぽくて良かった。
心の牢獄のようなジュープの遊園地ジュピター・パークと、その「奥の院」としての個人記念館。
『シン・ゴジラ』みたいなGジャンの形態変化。
林立するスカイダンサーを縫って馬で疾駆する鳥瞰ショット。
吸引されてぶっとんでく人間の浮遊シーン(なんかデジャヴがあると思ったら、ジュリアン・ムーアの『フォーガットン』だった! あれは死ぬほど笑ったなあ)
いろいろと、見どころは満載だ。
台詞だと「ジークフリート&ロイだってヤラれたんだ」で一番爆笑した(今の若い子わかるのかこのネタ??)
「浮かばれない映画人」に焦点を当てる映画だからこそ、徹底的にエンドロールでかかわった人間を出し切ろうとしてるのも、首尾一貫した姿勢で好感がもてた。
ただ……『ゲット・アウト』や『アス』ほどに手放しで賞賛できる出来だったかっていわれると、しょうじき悩ましいところだ。
ネタを秘匿するために前半で無理をしすぎて、「ほぼ本筋と関係ない」エピソードに尺をとりすぎているし(1時間も宙ぶらりんのままというのは、さすがに長すぎる)、たとえ「有色人種の怒り」の描写だとしても、一連の「猿」の話が、本筋である「Gジャン襲来」とほぼ何の関連もないのは、やはりどうかと思う。
全体に、Gジャンの謎ときについても、説明不足の感がつきまとう。
たとえば、星新一の『おーい、でてこい』のラストみたいな映画の冒頭は大変に魅力的だが、Gジャンが人を襲う以外のどういうシチュで物を落としていったのかは結局説明がない。
ジュープの「宇宙交信ショー」についても、馬を生贄にしてUFOを呼んでいたことは示唆されているが、これまでどれくらい成功していたのか、その手順でUFOを呼べると確信したきっかけはなんだったのかは描かれず、いきなり「失敗」のシーンだけ見せられるので、なんだかもやっとする。
シットコムのお姉さん役をわざわざ客として招待してたし、だいたい、あんなショー1回でもやったらSNSで大騒ぎになることは必定なので、OJが夜に聞いた召喚儀式の音はあくまでリハーサルの様子で、人前でやるのはこれが初めてだったと個人的には思ってるんだけど。
そもそも、馬をUFOに喰わせるショーが見世物として成立するって考え自体が、およそ正気の沙汰ではないので、作り手がこのショーをどう扱おうとしてるのかがとらえにくいのかもしれない。
それから、ショーの観客が根こそぎ呑まれる現場にぎりぎり立ち会ったとはいえ、その後OJが、「怪物の目を見てはいけない」とか、「旗や飾り物を吞み込むとアイツは気道がやられる」とか、やたら確信をもって説明しているのも、そこまで自身満々に主張できるほどの根拠があったのか疑問だ。
他にも、なんで結局ホルストが来てくれたのかとか、なんでホルストは自殺行為のような撮影に飛び出していったのかとか、観終わっても結局僕には得心のいかなかったシーンが山ほどある。
なにより、「目を見てはいけない」とか、「空は無限大で敵襲を防ぎようがない」といった設定は、うまくやればいくらでも面白くできそうな気がするのだが、設定だけ呈示しておいて、実際のところはあまり生かされていない気がする。
一番気になるのは、先でも述べた「映画業界の裏話」的な部分と、主人公たちの兄妹愛を描く人間ドラマと、怪物撮影&退治に奔走するSFホラー的部分が、あまりうまく混じり合っていないうえに、どれも深まりきらないうちに終わっちゃった感じが強いことだ。しかも、これにジュープの体験した惨劇と復活、挫折の物語が別途くっついてくるんだけど、これまたうまく融合していない印象。
要するに、全体に手はこんでいるものの、どこかちぐはぐというか、統一感を欠くのだ。
ワン・テーマなら突っ切れるけど、ここまで風呂敷を広げてしまうと、結局はどっちつかずになっちゃうってことか。いろいろともったいない。
あと、今回は全般的に出演陣にあんまり魅力を感じなかったなあ。
とはいえ、さんざん気をもたされたぶん、こっちが期待しすぎちゃった部分もあったと思う。
夏のB級モンスター・ディザスター・ムービーだと思って、気楽に観るぶんには、じゅうぶん楽しめる内容だし、そういう映画にしては、めちゃくちゃお金もかかっている。
なにより、こうやって「なんの映画か」の核心を公開前からひた隠しにして、映画館に無理やり客を呼び込もうとする姿勢自体が、花園神社の興行めいていて、僕は嫌いじゃない。
「見世物」をテーマとする映画の、これぞただしい客引きのありようでしょう(笑)。
チンパンジーがトラウマになった…
ゲットアウトが面白かったので、同じ監督と知り鑑賞。面白いとかつまらない以前に、よく分からなかった。
チンパンジーのシーンを出した意味と、未確認生命物体の正体が最後まで分からなかったことがモヤモヤする。
メインの怪物は結局何だったんだ。私は凧とかエイに見えた。逆に言うと、正体があやふやだったことによる不気味さはあったけれど。
ゴーディーの誕生日も何かの伏線かと思いきや特になしでスッキリせず。暴走するチンパンジーがトラウマ級に怖い。
余談だが、ウォーキングデッドのグレン役(スティーヴン・ユァン)が出演してたの嬉しかった。ウォーキングデッド以外で見れるとは思わなんだ。
ダークな未知との遭遇なんだけど…
突如、田舎の牧場の上空に現れた、謎の飛行物体を巡るSFミステリー。『未知との遭遇』と『宇宙戦争』を足した様な内容だが、そのスケールは100分の1。あまりリビューに、酷評はしない方だが、お金を払って鑑賞するには、期待を大きく裏切られた作品だった。
冒頭は、確かに猿のショッキングな映像から入り、父親の頭に、空からの落下物が当たるシーンは、暗雲が立ち込め、掴みは良かった。しかしその後は、殆どSF的な要素もないまま、家族のヒューマン・ドラマが続く前半。後半になって、ようやく謎の飛行物体が露になり、SF的な戦闘シーンに突入するのだが…。
正直、テーマがよく分からず、勉強不足で『?』が多かった。
・冒頭、『ナホム書』の文が引用されるが、馴染みが無く、どう作品と結びつくのか分からなかった。
・飛行物体の描写もあまりに雑で、その内部に人々が呑み込まれたシーンも、風船に挟まれたようで、『宇宙戦争』の内部の様なグロさもなく、痛さや恐怖も伝わらなかった。
・飛行物体の正体もハッキリしないままで、「それで爆発?」という、あまりに短絡的なラストシーン。
・冒頭に猿が暴れるシーンも、途中で回収したものの、後半の飛行物体との対峙のシーンとの繋がりが、よく読めなかった。
・かと言って、主人公の兄と妹の家族愛も、それほど前面には出てこない。
エンドロールで、あれだけのスタッフが関わっている割には、全てが中途半端。
人間を呑み込む飛行物体ならば、もう少しグロさ盛り込んで、観る人に恐怖を訴えて欲しかった。また、ギリギリの危機一髪シーンに、感情移入ができるような工夫も見られなかった。
主演のダニエル・カルーヤは、『ゲット・アウト』でアカデミー賞にノミネートされたが、これまで、脇役でいい味を出してきたタイプで、主演となると華に欠けるかな。その他の出演者は、申し訳ないが、一人も知らなくて、演技も全体的に沈んでいた。
デカい風呂敷
ウルトラQ(円谷プロ)かと思った(^~^;)ゞ
チンパンジーのゴーディエピソードだけ妙にリアル。
「動物とは信頼が大切」みたいなこと?
心通わせる前に射殺されたやん。
「目を合わせない」の重要性があまり感じられなかった。
なんでも吸い込むが薄い布切れで詰まる。
ウチの掃除機か。
カマキリさんの方が未確認生物っぽいわ(笑)
難しいこと考えなくても楽しめ、深く考えることで更に楽しめる
ジョーダン・ピール監督作品は『ゲット・アウト』『アス』に続いて三作目です。製作脚本を務めた前作の『キャンディマン』は観ていません。ジョーダン監督はこれまで黒人の差別問題や貧富の差などについて描いてきました。そのような重いテーマを内包しながらも、しっかりエンタメとして楽しめる作品を生み出している素晴らしい監督ですね。
本作もまた、映画を始めとするショービジネスに潜む差別問題を、黒人を主人公とするUFO映画として描いてみせました。エンタメとして楽しむだけでなく、劇中の随所に忍ばせたメタファーやオマージュを探すのも楽しめます。観て楽しい・観終わってからも楽しい。素晴らしい映画でした。
・・・・・・・・・・・
代々馬の牧場を経営するヘイウッド家。映画に出演する馬を飼育・調教することを生業としていた。半年前に飛行機からの落下物の直撃を受けたことで父親が突然亡くなり、牧場を継いだOJ(ダニエル・カルーヤ)であったが、調教師として非常に優秀であった父にはなかなか及ばず、仕事は激減。飼育している馬を売却することで何とか牧場運営を続けてきた。そんなある日、OJと妹のエメラルド(キキ・パーマー)は牧場でUFOのような円盤状の飛行物体を目撃する。UFOを撮影して映像を売れば一獲千金を狙えると踏んだ兄妹は、自宅に監視カメラを設置し、UFOの再来を待ち構える。
・・・・・・・・・・・・
突然現れた謎の飛行物体。それを撮影するために奮闘する兄妹と電気屋のUFOオタク。過去の体験に固執するテーマパークの園長。そして終盤に仲間に加わる映像監督。キャラの魅力がしっかりあって、人間ドラマが面白い。思ったより恐怖演出は少なかったので、ホラーがあまり得意でない私でも問題なく鑑賞することができました。
監督の前作『アス』を鑑賞した時も思ったんですが、色んなメタファーっぽい要素があるけれどそれらの解釈は観客に委ねるような作品になっていたため、鑑賞した人によって感じ方は様々だと思います。鑑賞後に語り合うのも楽しい作品のように感じます。突如現れた謎の飛行物体(Gジャン)は、何のメタファーなんでしょうか。
本作のレビューを色々見てみると、UFOとヘイウッド兄妹について、「映画製作者と観客の関係性を表している」とか「白人と有色人種の関係性のメタファーだ」とか多くの意見がありますが、私は「利用する側される側の逆転」について描かれているように感じました。
UFOを利用して一獲千金を目論む兄妹・UFOを利用して自分のパークにお客さんを呼びこむ園長・「不可能」を撮影するためにUFOを利用する映像監督など、本作に登場するキャラクターたちは、みんなUFOを利用しようと考えています。しかしながら、彼らの多くは利用しようとしたUFOに逆に餌として食われてしまうんです。「これまで食い物としてきた相手に逆に食われてしまう」というのは我々の日常生活でもたまに見掛けることですが、本作ではそれが文字通り行われるワケですね。
もちろん、これは私個人の解釈ですので、観る人によって十人十色の解釈があると思います。色んな方々の解釈を聴いてみたいものです。
劇中に何度も登場するチンパンジーのゴーティの虐殺シーンですが、おそらく元ネタはトラビスというチンパンジーでしょうね。アメリカで飼育されていたチンパンジーが飼い主の友人を襲い、大怪我を負わせた事件です。元ネタを知らなくても楽しめるとは思いますが、この事件はその後のメディアでの動物出演や動物飼育に関する規制に大きな影響を残した事件ですので、知っておいて損は無いかと思います。
ジョーダン・ピール監督らしさをしっかり残しつつも、今までにない全く新しい映画となっていました。本当に面白かったです。オススメです!!
よかった
UFOなのか怪物なのか変な存在で、UFOだと思ってわくわくしていたら別のものを出された感じだ。どんどん変形して風にあおられたテントかクラゲみたいになって嫌だ。電動バイクのが電気が切れてもあんなふうにタイヤがロックはしないと思う。最後は兄妹で互いを守ってうるっときた。
猿が凶暴化して番組収録が地獄と化す回想場面が面白い。
邦題をつけるなら『人食いUFO』がいいと思う。
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