NOPE ノープのレビュー・感想・評価
全142件中、21~40件目を表示
「空の中」に棲むモノ
『ゲット・アウト』のジョーダン・ピール監督、SFXを駆使したモンスターホラー。
グロシーンありなのでご注意を!
【ストーリー】
動物タレントをテレビなどのメディアに出演させる牧場を営んでいるOJとエメの兄妹。
父が空から落ちてきたコインに当たるという謎の事故で死んでからは経営が上手くゆかず、隣にできた西部開拓時代のテーマパークに少しずつ動物を売りながら、どうにか牧場を延命させてきた。
牧場周辺では家畜が犠牲になる事件が増えており、夜にパトロールをしていると、いつのまにか厩舎を逃げ出した愛馬と、発光しながら雲間からのぞく巨大な飛行物体が。
——俺たちの頭の上に、何かが棲んでいる……!
空に異変があると勘づいた二人は、監視カメラを設置する。
その何かは、雲に隠れ、人や動物を喰う。
どうにかその生物をカメラに収め、助けを求め、あわよくば一攫千金につなげたい二人だが、そいつ「ジージャン」が近づくと全ての電子機器から電源が落ちる。
打てる手が尽きる中、「ジージャン」はついに本格的にその地の彼らを喰らい尽くす動きを見せる。
その最初の犠牲は、テーマパークのショーのキャストと、すべての観客だった。
「ジージャン」が食欲に狂乱し、牧場どころか家も出られない状況がおとずれる。
八方塞がりの中、兄妹とカメラの設置をした販売店店員のエンジェル、そして最初は撮影の要請を断ったが、信憑性高しと仲間に加わったホルストが、数少ない情報からその生態を分析し、手回しアナログフィルムカメラを使った決死の撮影計画を練るが——!
空に棲むUFOが異星人の超科学宇宙船ではなく、巨大な生物というアイデアは『図書館戦争』の有川浩のデビュー第二作目の『空の中』を思わせます。
あちらは不可視の超巨大知的生物でしたが、こちらも負けずに不気味な巨大生命体です。
その姿はアダムスキー型UFOに似て異様で、習性は貪欲にして狡猾、非常に厄介な生物です。
巨大生物でホラーを撮ると、某連作シャーク映画のように出オチになりがちですが、そこをストーリーテリングと演出で支えるのはさすがの力量。
一気に全容を見せず、徐々にその生態を明らかにしつつ、恐怖をあおります。
本格的に主人公たちをターゲットにすると、開放的なはずの広大な土地と空が、恐るべきジージャンの、逃げ場のない狩場であることをくり返し観客に突きつけてきます。
対するOJたちは、地形や設備を利用して謎の生物の攻撃を何度もかわし、ついに生き残るために反撃を決意。
クライマックス、何度も心を折られながら、4人がお互いを囮にして「ジージャン」を翻弄し、全力で戦う姿が熱く心に迫ります。
すべてが終わって、廃墟となった我が家と人の消えたウェスタン・テーマパーク、時間の止まった美しき風景が、安堵と失ったものの大きさを突きつけてきます。
役者陣も実力派を取りそろえ、なかでもウォーキングデッドのグレン・リー役のスティーヴン・ユァンがテーマパークのオーナーとして出てきたときにはテンションプチ上がりました。
あと子役時代の子、ユァンに激似。
あっと驚くアイデアと、幾重にも伏線が張り巡らされたストーリーの、非常に完成度の高いホラー・エンターテインメント映画です。
社会風刺の詰め込み映画
鑑賞後の気持ち
風刺の仕方や演出は面白いと思ったが、一本の映画としての出来は悪いと感じた。
鑑賞後の心の変化
動物は大切にしよう
鑑賞後の行動の変化
映画のレビューを見るのはやめよう
好きなシーン
チンパンジーが暴れてるシーン
嫌いなシーン
チンパンジーが射殺されるシーン
馬が可愛い
これは話がよくできていた。寓話的でもあり、考察が必要になるタイプの映画。
実はストーリーをあらかじめ読んでいたのでオチは知っていたが、それでも楽しめた。一応ホラー映画なので「こいつは死ぬのか…?死なないのか…?」という観点でも楽しめるしね。
まず登場人物が少なめなのがよかった。ホラーによくある、たくさん出てきてどんどん死ぬみたいな雑さは一切無し。それぞれのキャラにちゃんと役割があった。
ストーリーは、たまによく分からない所があった。ジュープは雲のことを知っていて以前から馬を食わせてたって、見てたら普通気づくもの?
冒頭のチンパンジーのシーンも、「え、見る映画間違えた?」と思ってるうちに終わるので、見返しが必須な気はする。
恐怖シーン以外のちょっと退屈なところは馬の可愛さでカバーできる。時代物以外で馬がたくさん出てくる貴重な映画。ただし馬が何頭か死ぬので馬好きは注意。
主人公の、静かなること林の如し動かざること山の如し感がヤバかった。ホラー映画で主人公一度も叫ばんことある?車の中から静かに上(の化け物)を見てまた静かにドアを閉めるのおもろすぎた。ホラー映画だと「おいなんでそんな軽率なんだ!」と思わされることはよくあるけど、この主人公は重厚である。
含蓄のあるストーリー、魅力的なキャラクター、適度な怖さ。大変素晴らしい。
ひとつだけイチャモンつけるなら、主人公が最も「生物に対する対応」を理解していたのに、倒すのは妹なんかい!とは思わないでもない。
タイトルなし
兄貴の会話や動作がノッソリとした物に徹しており、パニックムービー寄りの作品だというのに走ったのは、たったの1回だけ。この辺りが苦手で主要キャラだというのに最後まで牧場兄妹の事が好きになれなかった。ただ、他の演出や話の進め方には引き込まれてしまい、結局のところは楽しめた作品でした。
何度も観る事に成るチンパンジー暴走現場に不自然な姿勢で立っている靴。日本だと天気を占ったりするけど、これなら空から遺留品くらい降ってくるよねと思った。
アニメ作品「AKIRA」をオマージュした電気バイクの停車シーンには痺れた。
大画面で観たかった
思わせぶりな予告を観た時点で、前作『US』の内容と相まって、ジョーダン・ピールは正しく(?)シャマランの後継としての道程を歩み始めたのでは⁉︎と妄想したが、わりと当たっていた…。巨大円盤型生物襲来絵巻としての映像は実写版エヴァみたいで迫力があったので、これは劇場で観るべきだったかとも思った。ちゃんとそんな映画だって宣伝してくれてたら観に行ってたのに。
チンパンジーが撮影中にキレて大暴れというエピソードは、その後、生き残ったジュープが他の生命を意のままに操れば罰が下るという教訓を活かせないで悲惨な末路を辿る件と、それがそのまま有色人種への扱いのメタファーだったりする件として、テーマ的に本編に絡んではくるけど、それが有機的に一本の映画に結合せず、意識高いことをやっている映画とB級のノリでやっている映画を並行して観ているような気分になってしまった。それは黒人が映画誕生の始めから映画に存在していたにも関わらず疎外されてきた、というエピソードも同様で、そこらあたりの思わせぶりに色々やっているけど、総体として散らかっている感じは、味といえば味だが、やはり少し物足りない。西部劇を取り入れたりというのも、あまり消化されていない印象だったり。
とはいえ今作のように色々と現代的テーマやジャンル横断的なアレコレを詰め込んで提示しないと巨大生命体襲来なんて映画を今どき予算を掛けては作れないだろうし、実際に力の入ったSF的スペクタル映像を見せてくれたので、当然に楽しませてはもらったのだった。なので有り難いし、文句をつける気は毛頭ないんだけど、楽しかった分、もっとこうだったらという欲張りなオタクの欲求がムクムクと湧いてきちゃうのだった。
違法でしょ
近所のテーマパークのいたずらっ子が侵入してOJを驚かすシーンが一番怖かった笑
チンパンジーが人を襲うシーンの後、馬が暴れることを想像してハラハラしてしまった。
馬の後ろに立つなって言われているだろーが!
寡黙なOJに対しておしゃべりなM。
プレゼンはやたらはしゃぎ過ぎて、空回りが虚しくて。
カメラ設置を頼んだ後、違法承知で動画を見ていた店主。
や、違法だからね。
ドタバタ騒ぎでうやむやになってるけどさ。
その後出てくるやたらと低音ボイスの映画監督。
生き証人になったんだっけ?彼の活躍は…?
アメリカ国土広しと言えど、誰かしらあの未確認飛行物体に気づくのでは?
と思うとあまりホラーっぽく感じなくて、人を喰う巨大イカみたいなヘンテコな物体から馬で逃げるというのも無理がありそう。
有刺鉄線とか、消化?しなさそうなのは吐き出すらしい。
意外と内臓はデリケートなのか?
ちょいちょい、ゴーディ・ホームが出てきたが、どうしても繋がりがわからなかった。
隣のテーマパークのオーナーが何を貫き守ろうとしていたのか、とか。
観客にいた顔に怪我を負った女性は、あの悲劇のサバイバーの1人ということか。
むしろ、そっちはそっちで一つの作品として作れそう。
なるほど
劇場CMでやたら流れてて、見たかったので。
で、何かしら未確認のものが襲ってくるって話
なのだろうとは思っていたが、ある意味そのまんま。
展開などは良かった。
あれは使徒っぽかった。そしてバイクの止まり方は
AKIRAだった。
ゲットアウトの監督の持つ独特の空気感は今作にもあった
が、、
結果、CMの時が1番面白かったかな
当てはまらない…
どのジャンルにも。。未確認生物?物体?が襲うホラー映画という括りではなかった。怪物と人間との戦い、アクション?とも取れたが。冒頭のチンパンジーが暗喩となり、見世物が襲う恐怖を言いたいのだろうか。ホラーと言うには長く、コメディタッチのところもあり、間延びするのだが、高尚なのか、初見では監督のメッセージが分からなかった。
なんでも説明すりゃいいってもんじゃない
人喰い宇宙人VS牧場経営兄弟の全面戦争映画です。
空から降ってきたゴミに当たって亡くなった父の後を継いで馬牧場を経営するOJは事故のときそばにいて何かがゴミを振り撒いて飛んでいくのを目撃していました。
何かは分からないけど何かが気になっています。
その何かとは形を変えて飛ぶ人喰い宇宙人です。
その人喰い宇宙人を何か分からないけど超常現象として自分の経営するアミューズメントパークの出し物として利用しているのは元子役で悲惨な事故に巻き込まれたことのあるジュープです。
牧場に妹のエムが戻っていた時人喰い宇宙人に観客もろともジュープも食べられてしまいます。逃げたりするんじゃなくてOJとエムは決定的瞬間を撮って拡散してバズらせたら大儲けできると人喰い宇宙人を撮影することに決めます。
退治とか復讐とかじゃなくて写真撮って大儲けです。
意味わからないから面白くなかったなどの評価を見ましたがむちゃくちゃ怖いけどワケわかんないから思考がバグって写真撮ってやろうは逆にリアルに思えました。
人喰い宇宙人って何処から来たのか何なのか一切説明がないためハテナと恐怖と興味が混在します。
好みが分かれる映画だと思いますが、はっきりしないまま進んでいき謎だらけで終わるのもいいなって
SFだけに留まらない現代社会への問題提起
いやー、絶対に食われたくない。
まさかUFOが乗り物でなくて人食い生物だったとは。
その発想が面白い。
しかも洋画にありがちな作り込まれた宇宙生命体ではなくエヴァの使徒っぽいのが現代チック。
解説を読むと、実際にエヴァの使徒からインスパイアされたと語っている。
ストーリーの中では所々にオマージュがあるのも楽しい。
ジョーダン・ピール監督は人種差別など社会問題をホラーで描くが、この映画もやはり単なるSFではなかった。
冒頭のチンパンジーのエピソードから、順に登場するモノなどのキーワードでチャプター分されている。
それが故に、私はチンパンジーの話しがこの映画にどう関係あるのか分からなかった。
他の方のレビューや解説を色々拝見してようやく納得。
そもそも私自身がチンパンジーを他の人間と同等に観ていなかったから、そこに気付けなかったのではと、自分が怖くなった。
まさに監督が問題提起している人種差別だ。
黒人・黄色人・レズビアンなど。
チンパンジー・未確認生命体は隠喩だ。
人間も動物も宇宙人も、バカにしたり見せ物にするのは良くない。
未確認生命体も怒ったり、お腹壊したりする、、。
映画のもう一つのテーマが「支配と共存」だ。
未確認生命体を支配しようとしたジュープは食われ、目を合わせなければ食われないと気づき一時的に共存できた主人公。
目を合わせないルールは主人公と馬のやりとりからわかるが、未確認生命体から生き延びる術として繋がっていたのだ。お互いを認め、ルールを守れば共存できるのではないのか。
現代のSNSの問題も組み込まれていて、自分の欲望や利益の為に犯した罪は罰となって跳ね返ってくる。
今一度、その発信は誰かを傷つけないかを考えるべき。
そして、映画界での完璧な映像を撮りたいがためにおこる死亡事故にも警鐘を鳴らしている。
未確認生命体を撮ろうとして食われたホルストや記者。
欲望に取り憑かれてしまうと、安全面を無視して身を滅ぼす。
そんな議論を起こすきっかけになればと思ったのかも。
チンパンジーで視聴率を取ろうとして殺された人達。
未確認生命体を見せ物にして食べられちゃったジュープ。
あぁ、そういえば未確認生命体から吐き出された、グサグサと落ちてきたコインがやたらとあったのは、、、
見せ物にしようとすると者への応酬で、欲しかったお金で殺される的な?
これは冒頭の旧約聖書のナホム書第3章6節からの引用から読み解く「力の行使によって支配を行う者は、逆に滅ぼされる」だ。
SFホラー的には徐々に明かされていく謎と、ハラハラする展開が面白かった!
意味を深く考えずに観終わるのは勿体無い。
社会問題提起への変わったアプローチの作品でした。
マジかよ!
NOPEってNOを強調したスラング、「マジかよ!」とか「ヤバイ!」って叫んでるってことか・・。
数あるUFO映画の中でも荒唐無稽、謎の飛行物体自体が人を喰らう生命体っていう設定だが姿を見せるのは終盤10分、いくらなんでも気を持たせ過ぎ、凶暴なチンパンジーのサイドストーリーは何だったのか意味不明、のらりくらりと兄妹の無駄な茶番劇を見せられるだけ・・。
怪物も予算の関係からかまるで風呂敷のお化けと至ってチープ、ハイテクなメカらしきものも無く、これで電気障害を起こせるのか謎だらけ・・。
これだけの事件を起こしながら軍どころか保安官一人すら出てこない、どうやって対抗するのかと思ったら風船人形を喰わせてボカンって、ゴーストバスターズも真っ青な漫画ですね。
確かにNPOE!って叫びたくなります、トホホ。
なんだろう?この映画ナゾです。58点
父が謎の死。そこから原因を探そう、、
そんな話が始まりますが前半はほぼ無くても話が成立する話だと思う。
後半からはどう大きい謎の物体から戦うのか?
そして最後は倒してしまうという、SFとしては倒していいのかと思ってしまうがそれでいいのでしょう。
まあ気になった映画だったので観れて良かったです。
予想してたのと全然違ったー(笑)
みんなが上を向いてるポスターってゆう前情報だけで見たけど、結構思ってた内容と違いました。ちょっとホラーの要素あったし、謎の生命体も奇妙で怖かったです。
主人公はしかしよく相手の弱点を分かったなー。全体を通して何がなんだか何を言いたいのかよく分からない内容でした。続編出るのかな??
何で高評価なの?
私にとってはクソつまらない映画でした。
他の方の評価が高い意味がわかりません。
雲の形でUFOみたいなやつが雲隠れしてるのって、ムチャ定番の話で新鮮味も何もないし,,出てくるキャラの一人一人が皆な中途半端な役と演技。
地球外生命体みたいな人喰いUFOという発想も古すぎて何の新鮮味も斬新さも感じない。
映画通ぶってるめでたい方々は好きなだけ悦に浸って評価すれば良いが、一般娯楽を求めている私にとっては勘弁してください!って言いたいくらい。
新世紀エヴァンゲリオンが元ネタ
経営難におちいった牧場主がUFO撮影で一山当てようとする話。(かんたんに言うとw)
牧場は映画ドラマCMなど映像作品に使われる馬の調教を専門としている。先代は撮影所から信頼される名調教師だったが事故死、息子OJは真面目だが口べたで世渡りが巧くない。手塩にかけた調教馬もテーマパークへ売りに出された。
先代の不審死以降、牧場では奇怪な飛行物体が目撃されている。OJの妹エメラルドはそれを撮影し、テレビショーに売り込んで儲けることを画策し、デジタル機器に強いエンジェルの協力を得て飛行物体の撮影を試みる。
並行してテーマパーク「ジュピターズクレイム」のオーナー、ジュープの逸話が語られる。元子役だったかれは撮影中チンパンジーが出演者を襲った惨劇の目撃者でもあった。
かれはテーマパークの新たな出し物として、その上空にたびたびあらわれる“UFO”の調教(観客の前で顕現させる)をやろうとする。
その“UFO”は、さいしょはロボット掃除機のような固まった形をしている。変形すると後光のように帆を広げた凧になる。
(ピールは映画のプロダクションノートで新世紀エヴァンゲリオンの天使を映画の前提やモンスターの主要なインスピレーションにしたと言明しており、第10使徒のサハクィエルの超ミニマリズムと生物機械的デザインのセンスに感銘を受けた。と語っている。)
それが近づくと電気からエンジンから地上の動力はすべて止まる。
有機体の感じはしないが、UFOというよりは空飛ぶ捕食モンスターで、竜巻のように地上物を吸い込んで、ひととおり咀嚼してから消化しないものを空中から吐き出す。体内はまるでバウンスハウスのようだが吸い込まれた者は絶叫しそれが地上へこだまする。
ジュープは調教馬を囮にStar Lasso Experienceショーのリハをおこない“UFO”モンスターをおびき寄せようとした結果、彼もその妻もチンパンジーの襲撃サバイバーのメアリーも観客もスタッフも全員が飲み込まれる。
海外批評家による解説によれば、ジュープが空飛ぶ捕食モンスターを調教・手なずけられると過信していたのは、チンパンジーの襲撃から無傷で生還したから。かつてチンパンジー「ゴーディ」の暴挙からまぬがれたように、モンスターから襲われることなく、つつがなく事が運ぶであろうという慢心がかれにはあった。──というわけ。なるほど。
モンスターが大音量と動きと視線に反応することを知ったOJとエメラルドとエンジェルは、エアダンサー50体を配置し、シネマトグラファーのホルストとかれのIMAX手動カメラでふたたび撮影を試みる。・・・。
映画の主題は、なにかを調教や手なずけることについて。あるいは調教できるはずという人間の慢心やおごりについて。だが細部は捉えきれなかった。
ただし(個人的には)遠回りな黒人権利主張(Black Lives Matter)映画になっている気がした。ドールマイトはじめブラックスプロイテーションとおなじ目的の映画だと思う。その視点で見るとき過激さがわかる。
なにしろ白人は全員吸い込まれ噛み砕かれ血と無機物だけが吐き出される。東洋人もしかり、チンパンジーに襲われ瀕死で生き残った元子役もしかり、捕食を免れて生き延びるのは黒人(とプエルトリコ人)だけである。そしてモンスターをやっつけたOJはラスト、西部劇のヒーローのごとく砂埃のなかから姿をあらわす。
ゲットアウトやUsにも根底にそれがあったが、ホラーやSF的パラメータを隠れみのにした黒人至上主義映画と言っていい。(と個人的には思った。)
だが海外の批評家でそんなことを言っている人はいなかったw。
もっと器用に分析・理解している。
面白かったので(wikiにあった情報を元に)いくつか挙げてみた。
◆スペクタクル(危機的状況下にもかかわらず、逃げるなどの行動をとることなく、目が離せなくなっていることを意味する)に対する中毒を描いている。
◆(動く馬の調教師及び騎手が黒人であることについて)映画草創期における黒人の貢献度の搾取や消去を訴えている。
◆ゴーディ(チンパンジー)と若いジュープの拳がぶつかりそうになる(グータッチしそうになる)ショットは、2022年のセントルイス・ゲートウェイ映画批評家協会の最優秀シーン賞にノミネートされるなど批評家からベストショットの1つに選ばれ、ミケランジェロの名画「アダムの創造」と肯定的に比較された。
◆ジュープがゴーディ(チンパンジー)やジーンジャケット(OJとエメラルドがモンスターにつけたあだ名)が善意だと捉えているのに対し、OJは「手に負えない動物に囲まれて育ち、手なずけることが仕事だった」という調教師としての人生体験をもち、両者は対照を為している。
◆先代(OJ父)は空から降ってきたコインが目から頭蓋に入って死ぬ。公的には飛行機からの落下物による事故死──だが、んなことはあり得ない。その結果OJの心中に「最悪の奇跡」が定義される。
狂乱したゴーディが、破壊された撮影セットを動き回っているとき、若いジュープは暴行を受けた共演者の靴が、不可思議に直立していることに気づく。大人になったジュープは『ゴーディーズ・ホーム』の思い出の品を集めた部屋に、その靴を飾っている。 不可思議に直立した靴は悲劇の合間に起こったため謂わば「最悪の奇跡」でありOJの言う「最悪の奇跡」と相互作用するように配置される。
◆ジュープはゴーディ事件によって被ったトラウマを資本主義的な空元気とユーモアによって偽装している。その運命をジークフリート&ロイに喩えることができる。(ジークフリート&ロイはラスベガスで人気があった二人組の奇術師。ホワイトタイガー/ライオンをあやつったが、とあるショーにてロイがタイガーに襲われ重傷を負い運動・言語能力を恒久的に害する結果になった。)
◆脚本監督のジョーダンピールはCOVID-19とそのロックダウンの経験にもとづき「厳しい回避できない悲劇の終わりなきサイクル」からNopeを書いてみようという気になった──と語ったという。
──
Nopeは洋画等でよく聞くNoの強調表現。ご存知のようにノーとちがってノウッとむしろウを強めに言いプは発声しないで鼻から出す。(感じ。)
意味はNoに準じると思われるが、この映画での意味は「(見たものについて)手に負えないからおれは関わらないよ」という独り言のようなニュアンス。(だと思う。)
映画中には登場人物がNopeと言う場面が何箇所もあるが、タイトルになったNopeの気分をいちばんよくあらわしている”真Nope”はOJが車からモンスターの開口部を見上げた時のNopeであろう。Nopeとは否定と拒絶だが、ここでは生き延びようとする人間の賢明な判断として使われている。
すなわち(昔、NOと言える日本というビジネス書があったが)本作のタイトルは言うなれば「NOpeと言える地球人」という意味合いだろう。侵略者であるモンスターはCOVID-19を具象化したものかもしれない。いずれにしても拒絶・否定よりある種の決意をあらわすNopeであるはずだ。
ピールは新型コロナウィルスによって初めてロックダウンしたとき、そして新型コロナウイルスが終わらないことを知ったとき、Nopeと言ってこの悪夢を書き、タイトルもそれにした。おそらくその気分はおれは関わらないけど生き抜いてやるよという決意のようなものだったに違いない。
黒人に寄せるムードについては、Black Lives Matter当事国では、面倒くさいことになるので黒人も白人も人種主張があることを指摘しないのだろう。(と思われる。)とうぜん目を奪われるのも人種ではなく豊饒といって差し支えない想像力だった。
じぶんはいまでもたびたびKey&Peeleの傑作スケッチSubstitute TeacherをYouTubeで見る。(ピールは「present」としか言わないがw。)
ゲットアウトを見るまで、ピールはComedy Centralに出てくるコメディアンに過ぎなかった。
日本でも映画をつくったり書いたりしているコメディアン(お笑い芸人)はいる。だけどNopeを劇団ひとりやバカリズムの映画と比較できるだろうか。めまいがするこの格差。日本人から見たとき、この宇宙人を描いた映画が、むしろ宇宙人がつくった映画に見えてしまう──という怪。
動く馬のエピソード、ヘイウッド牧場の背景、クリーチャーデザイン、サウンドデザイン、とくにゴーディが対象物を殴る音、凶行の無惨さ、現場で不可思議に直立している靴、OJやエメラルドの人物造形、いっせいにはためくエアダンサーの奇景、巨大なヘリウム風船の滑稽さ、それを食って破裂する意外にあっけないモンスター、全体としてどういう思考回路がこういうものを思いついて成立させたのだろうか──その叡智。とはいえ新世紀エヴァンゲリオンが映画の発想元になっているという不思議。じぶんは門外漢だが新世紀エヴァンゲリオンのファンには違った見地があるのだろうか?いや、そもそもエヴァファンてジョーダンピールの映画を見るような人たちなんだろうか?w。
常に考察を求められる映画
ジョーダンピール監督作ということで、U-NEXTにアップ後即視聴。
最初から最後まで何かしらのメッセージ?、不可解さ?、不気味さ?が含まれているそんな映画でした。必ずネットで考察を見ないといられない映画でした。
「観る・観られる」の関係性を表現した映画だったのですね。
・・難しい。
ありえない事だらけの世界
『ゲット・アウト』や『アス』。人種差別やドッペルゲンガー現象などを斬新なアイデアとスリルとブラック・ユーモアで描いて大ヒット&高評価に導き、今やハリウッド期待の監督となったジョーダン・ピール。
その待望の新作は、謎、謎、謎…。
予告編では、広大な牧場の上空に突如現れた謎の飛行物体…。
UFO…? SF…?
第一印象は、M・ナイト・シャマランの『サイン』…?
しかし、奇才ピールが模倣やありふれた作品を作る訳がない。
またまた独創的なアイデア、野心的な作り、映画愛溢れるオマージュで、唯一無二のピール流UFO映画になっていた。
映画やTVなどに出演する馬を調教するヘイウッド牧場。
父親と二人で経営するOJ。ある日、父親が空から降ってきた異物にぶつかり死亡。OJは“それ”を見る。
“それ”が“あれ”だと確信したOJは、妹エムと動画撮影しようとするのだが…。
『サイン』ではなかったが、これは確かに一種のUFO映画。おっと、今は“UFO(未確認飛行物体)”とは言わないんだよね。“UAP(未確認空中現象)映画”。
怪現象。雲の中に見え隠れする影。遭遇と闘い…。
UAP映画は群像パニック劇がほとんどだが、これを一個人の視点で描き、それは『サイン』風でもあるが、ピールは着想や演出をスピルバーグ映画からインスピレーション。
序盤の怪現象は『未知との遭遇』的。
特に影響大は『JAWS』。見せない演出。突如の襲撃。“補食”。あちらは海からの恐怖だが、こちらは空からの恐怖。
ピールが幼い頃に見たスピルバーグ映画のワクワクを、UAP×ホラーにオマージュ変換させたと言えよう。
斬新なのは、UAPの描写。
本作に“宇宙人”は登場しない。が、“地球外生命体”は登場する。つまり、
UAPそのものが、生物なのだ。
“Gジャン”と名付けられた“奴”は、一見飛行物体だが、出入口みたいな所が口で、そこから地上の人々や物を吸い上げ補食。金属などの“食べかす”は地上に吐き出す(OJの父親はそれに当たって死亡)。
不快な音(鳴き声)、異様な空間(食道)は不気味。“血の雨”は衝撃。
終盤は変貌。空飛ぶ円盤型からクラゲのような生物型へ。幾何学的なデザインは『エヴァ』の使徒も参考にしたという。
おそらくピールは『トワイライト・ゾーン』を意識したろうが、日本人からすれば『ウルトラQ』。
UFO映画にモンスター映画。スピルバーグ映画からだけではなく、往年のB級SF映画をピールが凝った見せ方で現代的にアップデート。
現代的と言えば、登場人物たちの行動にも。
動画撮影をして、一攫千金。果ては“オプラ(・ウィンフリー)”を狙う。
所謂“バズる”は現代人の手っ取り早い手法。
ネット上でもそういう“バズる映像”は氾濫。真偽のほどは別として。
見たいものを見る。
見よう見せようと欲する余り、何かしらの目に遭う。
その事は作品でも反面的に描かれている。
ピールの十八番となった人種問題も前2作ほどではないが、やんわりと。
OPや劇中何度も挿入される“世界初の映画”。騎手が馬に乗る僅か数秒の『動く馬』。
その騎手が何者であったか今はもう謎だが、本作では黒人であったと仮定(確かに黒人に見えなくもない)。
主人公兄妹はその末裔という設定。
映画に初めて“出演”し、調教師として業界に貢献してきたにも関わらず、今や忘れ去られ、隅に追いやられる身。もしこれが“白人”だったら違ったのだろうか…?
終盤、馬に乗って荒野を駆けるOJ。黒人は西部劇で冷遇され続けてきたが、その勇ましいカウボーイ・スタイルはハリウッド西部劇へのアンチテーゼにも感じた。
(名カメラマン、ホイテ・ヴァン・ホイテマによる雄大な映像美も秀逸)
共に『ゲット・アウト』でブレイクしたピールとダニエル・カルーヤが(あれから5年、二人共オスカー受賞者)、キャリアアップして再タッグを組むのは必然だったと言えよう。
カルーヤは寡黙な兄OJを、キキ・パーマーが正反対な性格の妹を存在感たっぷりに。
二人に協力するエンジェル役のブランドン・ペレアも好助演。
3人のやり取りはこの異色SFスリラーに於いてユーモアをもたらす。
キャストの中でも異彩を放つのは、スティーヴン・ユァン。元子役で、現テーマパークのオーナー。
かつては人気者だったが、今はもう忘れ去られ…。何処か胡散臭さと侘しさを感じさせると共に、彼の役もハリウッドに於けるステレオタイプのアジア系へのアンチテーゼ。
もう一つ、個人的に彼を通して感じたのは…
タイトルの“NOPE(ノープ)”とは、“NO(ノー)”のスラング表現。劇中でも「ありえない(=ノープ)」とメインタイトル。
Gジャンとの遭遇がそれだが、ユァン演じるジュープの過去も。
子役時代出演した、チンパンジーのゴーティが主役のホーム・コメディ。人気のTV番組だったが、ある事件で曰く付きに…。
破裂した風船に驚いたのか、突如凶暴化。出演者を殺傷。
隠れていたジュープの目前に迫った時、射殺。
業界に伝わる惨劇であり、ジュープにとっても今尚思い出すトラウマ。
一体あれは何だったのか…。ありえない事が起こる。
全ての事柄が巧みに意図的に繋がってるという訳ではない。
鮮やかな伏線とストーリーテリングを期待すると肩透かしかもしれないが、何か暗示めいていて象徴的。
ピールが脚本を執筆したのはコロナ禍中真っ只中。不穏と不安な雰囲気は、ありえない事が起きた現実世界への警告か。
前2作ほどの斬新さや衝撃は無かったが、人によっては淡白で退屈、人によっては意味深で深読み。
ジョーダン・ピールはますますクセ者監督の座を欲しいままにしている。
ずば抜けた映像と、予想外の展開で観る者を翻弄する
《UFOホラー映画》
以外と怖くないが、煙に巻かれて、何回も観てしまうスルメ映画。
「NOPE」は「NO」を強調した単語で、無理とか、あり得ない・・・の意味。
見渡す限りの青空が広がっているロサンゼルスのとある牧場。
ある日、OJ(ダニエル・カルーヤ)の父親は、
空から落ちてきた硬貨が頭に刺さり死亡した。
なぜ?そんな?と思うが、そうなのだ。
おっとりした兄のOJと、フワちゃんみたいにやかましくておキャンな妹
エメラルド(キキ・パーマー)は、空に「動かない雲」を発見する。
そしてその中にUFOが潜んでいる筈・・・と思い、
動画をアップして一儲けしようと企む。
そこに技術屋のエンジェル(ブライトン・ペレア)が絡み協力する。
SFホラー映画だが、強烈なエピソードが2つある。
ひとつは、これが最初の映画ということになっている
「動く馬」の映像(2秒)に関すること。
「動く馬」はエドワード・マイブリッジという人が撮った
有名な連続写真のことで、
エジソンがこれをヒントにキネトスコープ(1人用の映画)をつくり、
それが後に映画の起源とされる。
リュミエール兄弟のシネトグラフ(皆で観るタイプの映画)に
繋がる事になる。
このエピソードでジョーダン・ピールが言いたい事は、
黒人が名前を抹消されたこと。
最初の映画に登場する黒人(つまり「動く馬」に乗っている騎手)
カメラマンであるエドワード・マイブリッジや馬の名前は後世に伝わっている。
なのに黒人騎手の名前は誰も覚えていない。
あってなきが如きの黒人の存在。
しかもその子孫がOJたちなのだ。
もうひとつのエピソード。
1990年代に架空シチュエーション・コメディ番組の撮影現場で起きた
チンパンジーの大暴れ事件。
それまで人間の言いつけを素直に聞いていたチンパンジーが、
イキナリ凶暴化して人を殺した。
その現場にいた子役の少年・ジュープは1人だけチンパンジーの殺戮から
逃れ無傷だった。
机の下でぶるぶる震えていたが、なぜかチンパンジーとグータッチを
しようとしたのだ。
ここで監督が言いたいのは多分、
自然界や動物を支配してコントロールすることなど、人間には無理。
だから、自然も動物も、甘く見るな、警戒を怠るな!!
ということだ。
更にホルストという名の動物の撮影で有名な白人カメラマンが
本作では殺される。
(今までのピール監督作の『ゲットアウト』や『アス』より差別への
(主張は穏やかだ)
さて、
雲に隠れた謎の存在は、白い円盤のような形だが、下から覗くと
海月のようにヒラヒラした花のようなクチみたいなものがある。
その花は幾層にも増殖しイソギンチャクのようでもある。
ただ開口部分はカメラのレンズのようにシャカシャカと開閉して眉間える。
かなり奇妙で独創的なUFOでいる。
ラストになるに従ってスピード感は増して行き、なぜか恐怖よりユーモアが
漂ってくる。
SF映画として、はじめての「新しい切り口」
兎も角、絵面の面白さは抜群です。
全142件中、21~40件目を表示