NOPE ノープのレビュー・感想・評価
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解釈によって賛否両論どちらも取れる作品
ゲットアウト、アスで人種差別から格差社会をスリラーやホラーを軸に融合させその圧倒的な世界観と現実社会を皮肉った!ジョーダン・ピール監督今までとは全く異なるジャンル
SFのUFO作品が表立ってストーリーはごくシンプルに見えるも、その裏側に隠れているテーマはやはりジョーダン・ピール節健在。
所々に散りばめられたヒントのピースを見逃さず見えて来る完成とその下地とエンターテイメントも忘れず、スティーブン・スピルバーグやM・ナイト・シャマランやAKIRAからエヴァンゲリオンのオマージュといたせりつくせりに一筋縄ではいかない怒涛のスピード感ある展開に目が離せない!
特にUFOを監督曰く、スティーブン・スピルバーグの代表作JAWSを海から空にシフトチェンジした感性はユーモラスで見ててハラハラさせられた。
今までの、ゲットアウトやアスの人間視点で見る部分からUFOの視点で、普通のエンタメと思ってしまうが根っこに隠されたテーマを理解するかしないかでかなり賛否両論する作品と言えよう、個人的には観終わった後に語彙力消失して何て言えばいいのか困惑する面白さをSFホラーで見事に描いた手腕は凄い、アスの時もそうであったが、1回では理解し得ないのでもう何回か見たくなる、スルメの様な噛めば噛むほど味が出る作品である!
前半のドキドキハラハラ感が
後半まで持続しなかったかなぁ…
恐怖の対象が謎で不気味っチューのはコッチ系ジャンルの常套手段なんでしょうが、結局UFOと宇宙人と分かった段階で、察したと言うか…
ラストシーン、結局マスコミが大挙押し寄せてたっちゅーことは、主人公達の目論見である独占公開して大儲けするって話は全て泡と消え去ったんでしょうか…
【「ナホム書 第3章 6節」人間が制御出来る有機生命体と、制御が到底無理な”モノ”を描き出した作品。序盤の凄惨な光景と、中盤の不穏な雰囲気から後半の尋常でない緊張感の繋がりが効果的な作品でもある。】
ー 冒頭、「ナホム書 第3章 6節」というテロップとともに、
”私はあなたに汚物をかけ、あなたをはずかしめ、あなたを見せ物とする”
と、ナホム書に書かれた文章が流れる。
そして、映画を観ていくうちに、観客は上記の言葉そのものの凄まじい光景を見せつけられるのである。
ちなみに、ジョーダン・ピールは前作「アス」でも旧訳聖書 エレミヤ書を効果的に使用している・・。-
◆感想
・冒頭のテロップの後、いきなりTV人気ドラマのセットで起きた惨劇の後のシーンが映し出される。この時点では、何が起こったのかよく分からないが、中盤その惨劇のシーンが写しだされる。
ー そのシーンでは、TV人気ドラマで人気だった猿が、制御不能に陥り、”一人の少年を除いて”惨劇を引き起こした後に、射殺される。
明らかに、この凶暴化した猿は、この後に出現する巨大な制御不能な飛行有機生命体を暗喩している。-
・その後、舞台は広大な渓谷の中に有る牧場に移る。OJ(ダニエル・カルーヤ)と妹エメラルド(キキ・パーマー)は、半年前に”飛行機からの落下物”に当たり死んだ父の後を継いでいるが、経営は楽ではない。因みに、傍にはテーマパークがあり、且つての惨劇で生き残った男が運営している。
ー この辺りの設定も上手いが、未だ、想定範囲内であり、緊迫感も薄い。-
・OJたちは、半年間動かない雲の中にUFOを一瞬見、その姿を撮影する事で、一儲けしようと考え、町のデジタルショップに監視カメラを買いに行き、屋根に設置する。
ー この辺りから、物語は緊迫感を増してくる。観る側は、雲の中の”アレ”をUFOと思わされながらスクリーンを観ているのだが、徐々に”アレ”そのものが、警戒心の強い有機生命体であることが分かって来る。
故に、その下で暮らしているOJや妹エメラルドは大丈夫なのか・・、という思いが強くなり、サスペンスフルな雰囲気が画面に充満し始めるのである。
・テーマパークを運営する男が、”アレ”を見せ物にしながらショーを繰り広げるシーンから、本格的にこの作品の真価が発揮される。
ー 観客席には、且つて猿に顔面をグチャグチャにされた女性がベールを被って座っているのも印象的だ。
そして、彼らの上に来た”アレ”は初めて、全容を大スクリーンに表し、観客たちを巨大な穴の中に吸い込んでいく・・。あの穴に吸い込まれるのは嫌だなあ・・。-
・その後、「ナホム書 第3章 6節」と全く同じように、OJ達が住む家には、血の雨が降り注ぐ。”消化“できなかったものと共に・・。
ー そして、徐々に”アレ”の性質が明らかになって行く。攻撃的で、目を合わせたモノには敵意を剥き出しにする事。現れると、電気が使えなくなること・・。-
<父を喪ってから、死んだように生きていたOJが、エメラルドや、デジタルショップの店員や、知り合いの老カメラマン、ホルストたちと、”アレ”に対峙して行くシーンは、見応えがある。
そして、”アレ”が苦手とする”消化しきれないモノや、様々な”旗”を効果的に使用し、”アレ”の正体が露わになるシーン。
今作は、序盤はスローペースながら、恐怖心を少しづつ観る側に植え付け、後半は一気に引き込まれるサスペンス・ホラーである。
あの極限状態で、父を殺した”アレ”に向かっていったOJの成長物語でもある。>
■追記<2022年9月5日>
拙レビューにて、致命的な瑕疵を御指摘頂き、修正しました。
キッドさん、有難うございました。
解りやすくて楽しみやすい間口の広いピール作品
この手の作品はモヤモヤしながら
劇場を後にすることが多いのですが
珍しく清々しい気持ちで退館しました。
ジョーダン・ピール監督は
AKIRAやエヴァが好きと公言していました。
庵野秀明はエヴァで総監督以外に
音響としてクレジットされています。
使徒など未知の生命体を表現する上で
音響効果が与える印象はかなり大きいです。
本作でもそれを強く感じました。
音だけで観客の想像力を掻き立て
不安を煽り、劇中の人物と同じ緊張感を共有。
そして誰もが知っている
AKIRAでの金田のバイクのあのシーン。
予告でも観られますが
やはり本編で観るとニヤリとしてしまいます。
そしてラストがとにかく好きです。
ネタバレ禁止の予告では
どんな作品か想像し難いですが
解りやすくて楽しみやすい
とても間口の広い作品だと感じました。
最後、、
UFOの正体がすべて
登場人物達の目的が、UFOをやっつけることや、自分達が生き残ることではなく、スクープ映像を撮ることだというのが、いかにも今風で面白い。ただし、今の時代、映像をSNSにアップしようとしないところには違和感があるので、電力の消失のためにスマホが使えなくなるというところは、もっとしっかり描いてほしかった。
前半は、UFOの正体を含めてジワジワとサスペンスが盛り上がるが、後半は、VFXを駆使したアクション描写が主流となり、やや尻すぼみな感が否めない。
チンパンジーのエピソードや父親の死が、伏線として十分に機能していないし、それぞれに個性的な登場人物達のキャラクターも、物語に上手く活かされているとは思えない。何よりも、この監督ならではの人種問題に関するヒネリがないのは物足りない。
結局、特筆すべきはUFOの正体だけで、それがすべての映画だった。
ほのかにかおるB級臭
不思議な映画。
不思議な魅力がある、と言いかえても良い。
独創的なSF映画であることは確か。
なんというか…。謎なところが多くて、「あれってどういうことなんだろう?とつい考えてしまう」
この映画を構成しているいろいろなモチーフがなんだか意味ありげで、背後に多層なテーマが隠れているような感じがするのだが、すんなり読み解けない。
UFO(空飛ぶ円盤)、キャトルミューティレーション、雲、馬、猿、黒人、世界初の映画、ローテク…。
「動物を飼いならすこと」がこの映画の最も重要なテーマだろうことはまちがいない。
主人公は動物(馬)とどう信頼関係を結べば良いのか、わかっている人間として描かれている。逆に彼以外の人物に、(彼の父以外では)動物に配慮している者はいない。
一方、チンパンジーのゴーディーは、凄惨な事件を起こす。
ゴーディーは表面的には人間の家族のように扱われているが、それは単に人間が猿に擬人化した人間の役割を与えているだけで、猿の気持などまったく考えられていない。人間の残酷さ、傲慢さ、愚かさが凝縮されたシーンだと思う。コメディ番組の愉快なシナリオがコントラストとなって、それが際立つ。
現実のペットもこのような扱いがされていることが多いと思う。きれいな服を着せたり、誕生日にケーキを与えて祝ったり、ペットの立場からすれば意味の無いことをしているのに、飼い主は勝手に動物の気持ちを擬人化して、人形遊びのようなことをしている。それに気づかず、「ペットのためにやっている」と思っている。
あと、「日常的にそばにいる、無害だと思いこんでいるようなものは、実はすごく恐ろしいものなのかもしれない」というテーマもあるように思った。
日常の風景として見慣れているはずの「雲」が、映像の早回しによってはじめて異常が発見されるのは、非常に暗喩的だと思った。日本にも「ゆでガエル」という喩えがあるが、われわれには「ゆっくり変化しているもの」に気づきにくい性質がある。
エンドロールで、はじめ背景が黄色で、次に赤になり、最後に黒になるのも、これをあらわしているのだろう。色の変化がゆっくりなので、ちょっとの時間みただけでは色が変わっていないように見える。
UFOがすべての電子機器を使えなくしてしまう、ということにも何らかのテーマが隠されているように思った。手回しカメラ、馬、ポラロイドカメラを使ったUFO撃退作戦は単純に面白いが、面白いだけではない、何かがあるように思う。
PC、スマホ、デジタルカメラなどの電子機器が故障するとき、われわれはその故障の原因をあまり深く考えることはない。それは、その仕組みが難しすぎて分からないからだ。われわれはこれらの電子機器を理解することを放棄しているともいえる。そして、よくわからない理由でいつ故障するかわからないこれらの電子機器を、どこかで信用していない。
それに対してローテクの道具には、もちろん壊れることはあるにしろ、仕組みがわかっているという意味の安心感がある。また、大切に使おうとする気持ちをもつとき、道具に対して対話的になる。
あと気になったのは、不思議なB級臭だ。
UFOが敵ということで、B級っぽくなりがちなのに、UFOのデザインはまるきり「空飛ぶ円盤」そのものだし、徐々に明らかになってくるUFOの本当の姿も、布でできているみたいで微妙にチープ。UFOの食道(?)を通る飲み込まれる人々のシーンは完全に低予算映画みたい。
そもそも「人を食う〇〇」というのはB級映画のお約束みたいなもの。アドバルーンを食べさせて爆発させてやっつける、というのもB級らしい。
ここまでB級要素が強いと、あえてやっているとしか思えない。
1つの解釈として、監督が真にテーマとしたいのは前半の展開であり、後半のUFOをやっつけるくだりは重要ではないんだよ、ということなんかな、と思った。
追記:
「雲」って、「クラウド」のことなのかな、とふと思いついた。
ジョーダン・ピール監督遂に本格SFへ
ジョーダン・ピール監督の第3作目。
前作「US」でSF要素を取り入れ始めた辺りから次作はかなりシンプルにSFで攻めてくるような気がしていたが予想通りだった。CMを見たならば期待していたものは得られるだろう。人間の動物との関係という裏テーマはありつつも基本的には未確認の何かを追求する映画だ。ただ本作には監督のこれ迄の2作のようなドンデン返しみたいなのは無い。そこを気に入っていたファンからは批判されそうだがスティーブン・スピルバーグの「未知との遭遇」やM・ナイト・シャマランの「サイン」のようなSF映画が好きな人は気にいる作品だと思う。そもそもサプライズやドンデン返しみたいなショッキングなものばかり期待するのも映画好きとしてどうかと思う。
緊張感とミステリアスかつリアリティー溢れる演出に視覚的に貢献しているのはクリストファー・ノーラン監督作品で知られる撮影監督のホイテ・ヴァン・ホイテマであることは間違い無いだろう。ジョーダン・ピールはハリウッドにとって美味しい監督だ。少ない予算で一定のクオリティを必ず見せてくれるとこの作品でも証明してくれた。これで彼も次回監督作も決定だろう。
とにかくSF映画を見たいなら映画館へゴーだ。黒人ばかりだー!ポリコレだー!とか騒ぐようなセンスの無い奴には間違ってもオススメしない。君たちは映画を見る前にやるべきことがある。
月刊ムー?
話はシンプル、未確認飛行物体に喰われちゃうお話である。
中盤まで、オィッめちゃくちゃヤバいヤツが来るぞ!!と煽りに煽ってきて、いざ出てきたやつは胡蝶蘭みたいなキレイな形のUMA。
途中からなんか可愛くなっちゃったよ。
UMAのお口の中の描写があまりに子宮内っぽくて、それ以降はギャグ映画にしか見えなくなってしまった。
作品中で1番怖かったのは、主役のUMAではなく猿のコーディー事件なのは何かじわじわと来るものがある。
最初の1時間の不気味さはどこへ行った?
上空の何か
ジョーダン・ピールが描く「スリラー映画」は古典的で王道なわりに、どこか新しさを感じるところがあります。それはおそらく、登場人物の強烈なキャラクター付とテンポ感が大いに影響することで、作品に独特な「個性」を生んでいるような気がします。
陰キャで頑固な兄貴OJ(ダニエル・カルーヤ)と陽キャでイケイケな妹エメラルド(キキ・パーマー)の兄妹。そして抜け目ないわりに律儀な“技術担当”エンジェル(ブランドン・ペレア)や、壮絶な過去を今も追い続けるリッキー(スティーブン・ユァン)他、個性豊かな面々が織り成すアクションは、緊張や恐怖に時折オフビートなユーモアが利いていて絶妙な面白さがあります。
ただ、前2作品が「人間の奥底にある怖さ」を描いた作品だったのに対して、今作は「上空の何か」が相手。実際、映画が進むにつれその「何か」が姿を見せるのですが、正直あまり「ピン」ときません。おそらくこの手の「超常現象」に対する興味が高くないことも影響しているかもしれませんが、まぁ、そこはいわゆる「設定」として見れば十分に楽しめる作品にはなっていると思います。
何なら、前述したリッキーの過去「ゴーディ事件」が一番恐ろしいのも、ある意味「いいスパイス」になっている気がします。
得たいの知れない巨大な物体が襲う恐怖
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