「大画面で観たかった」NOPE ノープ yudutarouさんの映画レビュー(感想・評価)
大画面で観たかった
思わせぶりな予告を観た時点で、前作『US』の内容と相まって、ジョーダン・ピールは正しく(?)シャマランの後継としての道程を歩み始めたのでは⁉︎と妄想したが、わりと当たっていた…。巨大円盤型生物襲来絵巻としての映像は実写版エヴァみたいで迫力があったので、これは劇場で観るべきだったかとも思った。ちゃんとそんな映画だって宣伝してくれてたら観に行ってたのに。
チンパンジーが撮影中にキレて大暴れというエピソードは、その後、生き残ったジュープが他の生命を意のままに操れば罰が下るという教訓を活かせないで悲惨な末路を辿る件と、それがそのまま有色人種への扱いのメタファーだったりする件として、テーマ的に本編に絡んではくるけど、それが有機的に一本の映画に結合せず、意識高いことをやっている映画とB級のノリでやっている映画を並行して観ているような気分になってしまった。それは黒人が映画誕生の始めから映画に存在していたにも関わらず疎外されてきた、というエピソードも同様で、そこらあたりの思わせぶりに色々やっているけど、総体として散らかっている感じは、味といえば味だが、やはり少し物足りない。西部劇を取り入れたりというのも、あまり消化されていない印象だったり。
とはいえ今作のように色々と現代的テーマやジャンル横断的なアレコレを詰め込んで提示しないと巨大生命体襲来なんて映画を今どき予算を掛けては作れないだろうし、実際に力の入ったSF的スペクタル映像を見せてくれたので、当然に楽しませてはもらったのだった。なので有り難いし、文句をつける気は毛頭ないんだけど、楽しかった分、もっとこうだったらという欲張りなオタクの欲求がムクムクと湧いてきちゃうのだった。