「色んな要素を絡め、さらにジョーダン節は切れを増す!」NOPE ノープ REXさんの映画レビュー(感想・評価)
色んな要素を絡め、さらにジョーダン節は切れを増す!
ジョーダン監督の過去二作に比べるとすこぅしまともな展開だとも感じるけど、いったい物語の終着点がどうなるのか予想がつかず、目が離せなかった。
ホラー、エイリアン、西部劇、オマージュ…色々な要素をごった煮にしたけど、不穏な空気づくりは相変わらず!
OJや妹が、未知の存在と真っ向対決するわけではなく、UMA の存在を世に知らしめして有名になって一儲けし、牧場を建て直したいとう小市民なのが凄くいい。オプラをネタにするのもチンパンジーの実話と絡んでいるし、時代錯誤な牧場の雰囲気とは違い、妙に現実感があるんだよね。
そこに馬を生け贄にされた復讐も少し加味して。
監督は、過去作を見ても、生物を(人間を含めて)意のままにコントロールできる人間の驕りを、痛烈に批判しているように思う。
ジュープは惨劇を経験しても尚、そのときの栄光を忘れられず、また違う種との相互理解を夢見て、モンスターも飼い慣らせると驕ってしまった人間の象徴ともいえるのではないか。
しかし、今回は彼にも少し哀れみも感じた。
ショーに招待していた同じ番組の子役の女の子には淡い恋心を抱いていたんだろうし、ショーを見せることで自分の力を見てもらいたかったのかもしれない。
UFO自体が生き物で捕食者という発想は、ムー民としては目新しいものではないけど、円盤型にすることで容易く「中の人」を想像してしまう。かなり先入観を利用した騙しのテクニックが入っている。
まーでも今回一番怖かったのはやはり実話の事故を元にしたチンパンジーの描写で、何が元で狂暴化するかわからない動物の恐ろしさをまざまざと感じた。今回は風船が割れた音だけど、そういう瞬間て相手もパニックになり、歯止めが利かないんだろう。私も登山していて野生生物に遭遇したときに、刺激しないよう努めている。
目を見合わせないことがキーワードだったが、自然界では色々。猿は目を見あせてはいけない、熊は目を見たら逸らしてはいけない。
フラッシュに映る馬の目、マスコミのヘルメットに映るエイリアン(?)の目、車のサイドミラーに映るエイリアン、カメラのアングルが絶妙だった。
しかし単細胞よね?このエイリアン。
最後、見交わす兄妹の視線に痺れた。OJの最後の馬にまたがったシルエット、かっこよかったなぁ。
でも一番好きなのは死亡フラグたちまくりのホルスト。手回しのビデオを繰る様が無駄にかっこいい(笑)。
命を懸けたマニア魂を見せてもらった!
引用した聖書の通り、すべてが「見せ物」
というキーワードでつながっている。
ちなみにオープンニングでキリンビールを飲んでいるらしいが、気がつかなかった。ジュープから盗んだ馬のオブジェもどことなく麒麟のポーズに似ていなくもない。