「シャマラン監督のような不思議な映画と思ったら、そうかそう来たか!」NOPE ノープ じきょうさんの映画レビュー(感想・評価)
シャマラン監督のような不思議な映画と思ったら、そうかそう来たか!
八月の映画には食指が動かないものが多く,この「NOPE」には大きな期待を寄せてきた。
やれ「上を見るな」とか煽り文句も興味をそそるねえ。
さて,”NOPE”について劇中で「とんでもない!」と字幕に出てましたが,最近のスラングなのだそうで,”NOPE”とは”No”と同じような意味なんだって。しかし,単に”No”ではなく「ムリ!」に近いようで,劇中に”Nope!Nope!Nope!”というセリフは「ムリムリムリ!」というようなニュアンスだってさ。
さて,話題のスリラー監督ジョーダンピールは相変わらず黒人を主役に据えて映画を撮るポリシーのようだ。
今回も,ハリウッドに近い山間の馬牧場を経営する黒人一家(兄妹)に起こるあれやこれやだ。
ある日,空からとどろく奇妙な音に伴って金属片(とはいってもコインや鍵)が降り注ぐ(というかたたきつける)。これによって,コインの直撃を受けた父親が死ぬ。
数年後,じり貧の牧場にまたしてもこの現象が起きる。この時空に円盤状のものが飛んでいるのを兄が目撃する。
ここからは未見の人は特に読まないでおきましょう。~~~~~~~~~~~~~~~~~
ここでね。ああ,UFO遭遇ものかと思ったが,それにしてはこのUFOちょっと変わっている。
・近づくと昼夜にかかわらず電気系統がダウンする→この辺はUFOぽい
・動かない雲に紛れ,同じ場所にじっとしている→動かないことで発見されてしまう。
・時折,飛び回るが,どうやら地上の生物を吸い上げているようだ→あとで捕食者であることがわかる。
・奇妙な音は吸い上げた生物の悲鳴である。
・旗や生物と誤認して吸い上げたものは「のどに詰まる」ので吐き出す。→(笑)
・吸い上げる目的は「連れ去り」「研究」ではない→捕食!
とまあこんな風に生物的な側面を出してくる。これはこれで面白いアイディアだと思ったね。
最終的に,兄弟と電気屋,電気が使えない中で撮影できるカメラマンの4人で立ち向かうわけだが,この過程が意外にも理論的でなるほどと思ったね。
しかしなんだね。牧場の近くでやっている体験パークで起きる惨劇とその後の兄弟の家に大量の血液が降り注ぐところなど,トム・クルーズの「宇宙戦争」以上のグロさだなと思ったし、得体の知れない恐怖も感じた。
戦いには勝ったが,その時明らかにされるUFOの正体(ビジュアルはともかく、正体はそれでもわからないけどね)はイリス(ガメラ3)並みの美しさだ。
さて,大きな疑問が3つ。
①途中で挿入される「チンパンジーによる暴行事件」は何なの?本題とどんな関係が?しかもこれだけでホラーが成立してるじゃない?
②カメラマンは何がしたかったの?
③あんなに一攫千金を狙って写真や動画を撮ることに奮闘していたのに,ラストシーンで惨劇の起きたパークの取材に来ていたクルー全員に見られ撮影されてしまう。電気はどうなった?
いずれにしても「その後」が出てこない(エンドロール後に出るかなと思ったけど)ので消化不良だなあ。
だれか,この解釈教えてくださいな
チンパンジーは凶暴な習性を持っていて、他の霊長類食べちゃうから、急に食欲を向けてくる野生動物って意味合いかなと。
女の子の顔食べられてたし。
あの女の子可哀想な役柄でした。