「アメリカ人の感性で観るべき映画…」NOPE ノープ デカ太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ人の感性で観るべき映画…
やはりキリスト教の文化や神と宇宙生命体、未確認航空現象(UAP)といった知識に理解がないと、ただの宇宙人襲来映画みたいに捉えられてしまうかもしれません。
いろいろな方も書かれていますが、冒頭の「私はあなたに汚物をかけ、あなたを辱め、あなたを見せ物とする」というナホム書第3章6節からの引用とか、UAPについて話すシーンなどが、完全にフリになっていて、伏線回収されるような展開は結構好きです。
ジョーダン・ピール監督の3作目ということで、3作目に神と人類、宇宙人みたいなテーマを持ってきたことからちょっとシャマラン監督の「サイン」が頭に浮かんだので、調べてみたら、ピール監督は「ゲットアウト」の大ヒットのあと「アス」を作る際、2作目のジンクスに対する不安は感じていたそうで、尊敬する映画監督たちの2作目に絞って研究を重ねたらしく、中でもシャマランの『シックス・センス』から『アンブレイカブル』への流れにとりわけ感銘を受けた、とローリングストーン誌に書かれていました。
となれば、3作目に宇宙人と人みたいなテーマを取り上げたのも、シャマランを意識したのかな、と勝手に想像してしまいます。
ローリングストーン誌によるとピール監督は「アス」を撮る時に知人を通じてシャマラン監督から「伝えたい物語をありのままに伝えればいい。外野の声に耳を傾けず、常に初心を忘れないことだ」とのメッセージをもらったそうです。
結局、こういった天才映画監督に通じているのは、撮りたいものを撮る、という自己主張なのかもしれません。
そういった意味でこの作品はピール監督の興味関心のあるネタを思う存分に披露した映画なのかもしれません。
日本人のリアリズムとはかけ離れた内容かもしれませんが、欧米人の宗教観や宇宙生命体への関心度を理解しながら観るべき映画だと思いました。
ちなみに「サイン」よりは数段面白い作品だと思います。