ガザ 素顔の日常のレビュー・感想・評価
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ドキュメンタリーというより映画
冒頭で、タクシードライバーが海岸沿いのドリンクスタンドで飲み物を買うときのやりとり、カメラワークと背景の音楽のかぶさり方が、ドキュメンタリーではなく製作映画の1シーンのようで、もしかしたらこれを製作した人は、当初は映画を作ろうとしたのかなと思った。
その違和感が最後まで後を引いて、途中の映像でも引っかかるところがいくつかあった。
海の波が画面を飲み込むように見える角度の撮影とか。
1日4時間しか電気が来ないという市民のカットの後で、夜の街で自家発電によるのか、電気をつけて音楽を流して踊る人々。
黒煙の上をドローンで撮影できたから見える光景とか。
廃墟の前でチェロを弾く女性とか。
東京と同じくらいの人口密度の土地で、15年以上封鎖状態に置かれたら若者の鬱屈が国境の壁に向かっていくのは想像にかたくない。
店での顧客とのやりとりや、怪我した若者の表情が、日常でも感情あらわでいることが彼らの表現方法になっていくのかなとも思う。ビズーを3,4回行う文化と関係しているのかもしれないが。
ガザが封鎖状態に置かれてどのように経済状態にあるのか、食料は、衣服は、ガザ地区内でどのように賄われていて、どれくらいが支援によているのか、を描いてほしいと思った。ガザ地区と呼ばれる10㎞x40㎞ほどのエリアと、その中のガザ市、の区別がわかりにくかったので、撮影場所の説明があった方がよかったと思う。
街の中の風景、中の難民キャンプと呼ばれる地区、それらを映像で見ることが出来たことには感謝。
封鎖という監獄
「 船長になる!」と瞳を輝かせ語る14歳の少年アフマド。砂浜に佇み海を眺めるのが好きだと語るチェロを奏でる女子大生カルマ。
次々と寄せる波の数キロ向こうの水域に入ると、イスラエル軍に捕えられるか、攻撃されてしまうという。
ただ、当たり前の日常を過ごしたい、その当たり前の願いが余りに切ない。
元JICAパレスチナ事務所長の成瀬猛さんが、ほぼ満席のキネマ旬報シアターにて登壇され、貴重なお話を伺う事が出来ました。
彼らの思い、彼らの置かれている状況を知り、日本政府として、人道的な立場での支援を続けて貰いたいとの成瀬さんのお話に深く共感したが、果たして自身に何が出来るのだろうか。スクリーンに映っていた彼らは、今どう過ごしているのだろう。
映画館での鑑賞
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