「【”北欧神、”オーディン”に翻弄される北欧の民達。”今作は、スカンジナビアの神話、アイスランド英雄物語、ヴァイキング伝説をミックスした古代北欧をメイン舞台にした壮大なる復讐譚なのである。】」ノースマン 導かれし復讐者 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”北欧神、”オーディン”に翻弄される北欧の民達。”今作は、スカンジナビアの神話、アイスランド英雄物語、ヴァイキング伝説をミックスした古代北欧をメイン舞台にした壮大なる復讐譚なのである。】
■粗筋
895年。スカンジナビアにあるとある島が舞台。
若き王子アムレートは、旅から帰還した父、オーヴァン・ディル王(イーサン・ホーク)と共に、宮廷の道化ヘイミル(ウィレム・デフォー)の立ち合いの元、成人の儀式を行う。
だが、儀式の直後、叔父のフィヨルニル(クレス・バング)が父を殺害し、グートルン王妃(ニコール・キッドマン)を連れ去ってしまう。
幼いアムルートは父の復讐と母の救出を誓い、たった一人でボートで海を脱出する。数年後、成長したアムレート(アレキサンダー・スカルスガルド)は、東ヨーロッパ各地で略奪を繰り返す獰猛なヴァイキングの一味になっていたが、ある日、スラブ族の預言者(ビョーク)と出会い、己の使命を思い出すのである。
そして、フィヨルニルがアイスランドで農場を営んでいる事を知った彼は、奴隷に変装し、親しくなった白樺の森のオルガ(アニャ・テイラー=ジョイ)の助けを借り、叔父の農場に乗り込むのである。
◆感想<Caution!内容に触れています!>
・今作は北欧神話の知識があると、より面白く鑑賞出来るが、無くても特に問題はないと思う。
”オーディン”は、北欧最大の神であり、劇中頻繁に単語として出て来る”ヴァルハラ”は、簡単に言えば騎士として戦い死んだ者が行くパラダイスであり(で、皆、命知らずの戦いをする。)、”ノルン”は北欧神話の女神たちである。
今作は、章立てで進むが、各章の冒頭で使われる“ルーン文字”はゲルマン人が表記に使った古い文字である。
ロバート・エガース監督、凝ってんな。
・ストーリー展開はシンプルであり、分かり易い。
それにしても、歴史では”カインとアベル”を筆頭に、日本で言えば天智、天武天皇の争い、源頼朝、義経の確執など枚挙に暇がない事は、ご承知の通りである。
・今作の魅力は、レビュータイトルに記したように、スカンジナビアの神話、アイスランド英雄物語、ヴァイキング伝説をミックスした(と思った)壮大な物語と、その世界観である。当時の衣装や意匠もイロイロと調べて制作したのであろうが、私はこの世界観は好きである。
・グートルン王妃の奸計が明らかになるシーンの、ニコール・キッドマンの悪い顔の下の隠された自らの出自を息子の示す哀しみの表情や、望んでアムレートの刃に掛かるシーンはナカナカである。
・アムレートの復讐心の支えになった白樺の森のオルガを演じたアニャ・テイラー=ジョイの美しい裸身なども、良い。
<今作は、スカンジナビアの神話、アイスランド英雄物語、ヴァイキング伝説をミックスした古代北欧をメイン舞台にした壮大なる復讐譚であり、ロバート・エガース監督らしいダークな映像美が印象的な作品なのである。>