「この時代の必然性は…?」ノースマン 導かれし復讐者 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
この時代の必然性は…?
9世紀の凍てつく北欧スカンジナビアを舞台とした、一人の男の痛くて、辛くて、悲しい復讐劇。バイキングが幅を利かせていた当時の生活をリアルに描いているのだろうし、ロバート・エドガー監督らしい、重厚でモノクロな舞台設定の中にも、執念と悲哀が相まみえる作品となっている。
主人公・アムレートが幼少期に、父のオーブァンディル王が、王の弟・フィヨルニルに殺され、母も拉致される反乱がおこる。アムレートは父の斬首されるシーンを目の当たりにし、幼心に父の仇討ちと母の奪還を固く誓い、年月が流れていく。その後、バイキングとなったアムレートは、預言者からフィヨルニルが、アイスランドで暮らしていることを知り、奴隷の中に潜り込んで仇討ちに向かう。
ここまではよくある仇討ち物語。ここからが、この物語のサプライズで隠されており、面白さがある。父殺しの真相が明らからなった時のアムレートのやり場のない悲哀が息苦しくさを感じさせる。但し、ストーリーを鑑みた時、要は父親の仇討ち。敢えて、この時代の北の大地スカンジナビアが舞台という必然性は、あまり感じ得なかった…。もう少しバイキングとの戦闘シーンなども絡めたら良かったかな。
主役のアムレート役のアレクサンダー・スカルスガルドの鍛え抜かれた筋骨隆々のシックスパックの身体は、男から見ても惚れ惚れする。アムレートの愛する女性を、独特な美しい顔立ちのアニア・テイラー=ジョイが演じ、また、アムレートの母役には、ニコール・キッドマンが妖艶な母役を、他にもイーサン・ホークやウィリアム・デフォーと、なかなか豪華な俳優陣が脇を固めている。
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