「真の男女同権(解放)思想とは…と考えさせる良作。」彼女たちの革命前夜 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
真の男女同権(解放)思想とは…と考えさせる良作。
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※ センシティブな話題を扱う映画ですが、「フェミニスト思想」としては、一般的な男女同権思想・解放思想を指すものとします。
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今年198本目(合計474本目/今月(2022年7月度)10本目)。
実話ベースであるため、あることないこと描けないのがポイントになってきます。
この当時から…というより、男女同権思想はもっともっと古い時代から論じられてきたことですが、「誰もが納得しない差別的思想」であるような、女性の低賃金問題(→「メイド・イン・バングラデシュ」参照)、女性を「料理を作る人」としか思わない(→「インディアン・キッチン」参照)等、「明らかにそれはダメでしょう」というのとは違い、こちらは「参加する・しない」というのは基本的に個人の自由で、この点で明らかに支離滅裂な男女差別問題とは若干違います。
このため、同趣旨の「男女同権思想の在り方」と同列に論じることが難しいという点は一つ抱えます(そして、日本でもどこでも、テレビ中継なり何なりを強制的に視聴させられる、という国は存在していない)。一方で、この事件(1970年代)のころは、この映画が描くように「スリーサイズが何だ」だの、表立っては出ないものの結局は「男性側の要望」で作られていたものの、80年代になると「知性」や「個人の素養」といった部分が加点目標に入るようになったり、別部門ができるようになりました(大会年度によって、形式が異なる)。また、本格的に男女同権思想が問題視され、いわゆる「政治的正しさ」(ポリティカル・コレクトレス)が論じられた1988年には「大会は開催するがテレビ中継は行わない」という扱いになり(1998年まで、10年間継続)、さらに発祥国のイギリスだけでなく各国で(許可を得て)開催されるようになりました。
しかしこの「海外で開催される」が実はやっかいで、イギリスではやっとのことで男女同権思想がほぼほぼ達成され、もとの1970年の事件のような「あからさまな軽視発言」はなくなったものの、国によって考え方が違うように、特にイスラム教の信仰が厚い国では開催自体を政府から恫喝されたり(事実上の中止や場所の急遽変更)、中国ではいわゆる法輪功の取り締まりと関係し、「法輪功を信仰する参加者には高得点を与えるな」と干渉したりと、今度は別の意味で面倒なことになってきたのが現状です(特に後者は現在でも論点が存在します)。
※ ほか、台湾の扱いをどうするか、等、課題は現在でも多数存在します。
もっともこの映画はこの「後に問題になった部分」については完全にカットされているのですが、この「比較的非難の程度は低い(=参加者も同意している、という意味で)」類型のこうしたものも別の問題に転嫁するのであり、映画それ自体は「フェミニスト思想の在り方」を問うものですが、今日にいたっては、より面倒な問題を含むようになり、今にいたります。
映画それ自体としては特に採点要素上減点要素はないので、フルスコアにしています。