「信仰とカルマの話」女神の継承 むしばさんの映画レビュー(感想・評価)
信仰とカルマの話
最近のホラーには珍しく2時間10分と長い。
代々巫女を継承してきた家の現巫女の姪に、精霊からのメッセージとも見える体調の変化が訪れる。インタビュー形式のモキュメンタリー。
信仰とカルマの話。
前半、現巫女(癌は治せないから病院にかかって)と精霊や巫女を信じていない姪が現代風で良い。
中盤の姪の体調不良からズブズブと墜ちていくところ、現巫女の対応はとてもミステリ的で見応えがある。
インタビュー形式は異文化を学ぶ感じで興味深い。
ここまでは殆どジャンプスケアなし。
後半、姪が取り憑かれてヤバくなったあたりからゾンビ+洒落怖になっていく。八尺様とかリアルとか好きな人にはお馴染みの展開。監視カメラあたりからジャンプスケアが多くなる。ありがちなラストからの巫女のシーンで終わるのが印象的。これがあるとないとでは全く違った。
キリスト圏ホラーにありがちな悪魔オチは、神の力が及ばない対象への恐怖だけど、こちらはそもそも今まで信じてきた精霊の存在/自分の信仰が揺らぐ畏れ。
作中に偽りの儀式による弊害(変な悪霊を呼び込む)を描写/非難しつつ、ラストにこの巫女の吐露を載せたのには唸った。
途中でインタビュワー/カメラが複数いることに気づいたが、後半思った以上に人数がいた。
まさかホラー映画でカメラ=残機扱いになるとは思わず笑ってしまった。そういう使い方があったかwこの映画のおかげでホラーでは何かに付けてキャラ=残機扱いになるようになった。
後半のゾンビ的なホラーは個人的に全く怖くないので好みがありそう。個人的には演出がベタで陳腐に思える(それこそがハッピーホラーでもありそうあけど…)。洒落怖的展開は大好きなんだけど…。
巫女ニムの信心深さ・慈善的なところ、ニムの姉ノイの人間的な身勝手さ・罪深さの対比は良かった。この2人は役者さんの演技も良い。この年代の女性の役者さんがメインになることは少ないので、新鮮さもある。
ノイの身勝手さも共感できてしまう。
代々続く巫女になれとか意味不だし、謎の体調不良続くのも怖すぎる、キリストに縋って巫女から離れるも、娘が助かるためなら神をも捨てるし自分が犠牲にもなる。妹に巫女を擦りつけたのにその妹に助けを乞う。終盤の女神が見える〜からの演技も不気味で良い。
正直、儀式の場面では、偽の儀式も正しい儀式も全然違いがわからん…(うさんくらくみえる…)なんだけど、ラストのニムのシーンでその絶対的信頼感が揺らぐのがとても良い。
個人的な好みで前半(ドキュメンタリー)は★4.5、後半(ゾンビ)は★2、ラスト(ニム)が★4.5。