「タイ東北部山間部の小さな村。 ここでは女神バヤンが信仰されている。...」女神の継承 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイ東北部山間部の小さな村。 ここでは女神バヤンが信仰されている。...
タイ東北部山間部の小さな村。
ここでは女神バヤンが信仰されている。
ある一族の女性に代々女神が憑依し、憑依された女性は祈祷師となる。
テレビクルーがその祈祷師に密着取材することになったが、祈祷師の姪が変調をきたすのをカメラが捉えた。
もしかすると、女神が継承されるのではないかと、クルーは姪一家もあわせて取材することにした・・・
といったところからはじまる物語で、テレビのドキュメンタリー形式をとったホラー映画で、なんだか『ブレアウィッチ・プロジェクト』『パラノーマル・アクティビティ』のような感じだねぇと既視感が襲う。
序盤はフツーのドキュメンタリー風、中盤から姪の若い女性の変調の様子が映し出されるが、定石的な描写でかなり飽きてきます。
配信作品を観なれた若い世代なら、「倍速ないの? スキップ機能ないの?」と思うんじゃないかしらん。
で、姪に獲りついたのは女神ではなく悪霊、とベテラン祈祷師が告げ、悪霊祓いの儀式へと突入。
吉日を狙っての儀式なので、その数日前が儀式の準備が整えられるが、その中で、姪は別人格のようになり、叔母の現祈祷師は頓死してしまう。
そして、儀式当日。
大規模な祈祷が行われるが、そこで惨劇が繰り広げられる。
女神なのか、悪霊なのか曖昧模糊として描かれ、集団ヒステリーのようにみ見えたりもする。
食人行為にまで発展するに至って、「過ぎたるは猶及ばざるが如し・・・」というのが、その残虐描写への感想。
定石的なホラー映画だと、惨劇の原因が明らかにされ、ホッとするという安心カタルシスのあとに、追加のショック映像、となるのだが、そこのところは回避。
すべては謎のままで、あまつさえ、儀式前日に頓死した叔母の祈祷師の口から「わたしに女神が憑依しているのかはわかりません。その実感はないのです」と語られ、どこにも論理的安心感を与えない。
これはこれでいい、とも思うけれど、結局、恐ろしいのが、人間なのか、悪霊なのか、女神なのか判然としないのは、やっぱりよくないなぁ。
個人的には、いちばん恐ろしいのは「人間」、というのが好みなんです。
尺も2時間超と長く、かなり苦痛な作品でした。
今度の『〇〇村』は、タイ版『女神村』。