劇場公開日 2022年11月11日

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「めくるめく人生絵巻」あちらにいる鬼 ちゅうみぃさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0めくるめく人生絵巻

2022年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

今年の5月に『99年生きて思うこと』の瀬戸内寂聴さんを観たあとなので、色んな意味でとても不思議な気がしました。また原作者は父親の不倫を題材にしたというのがこれまたスゴいです。
お母さんの感覚も常識の斜めどころか遙か上を行っているようで、広末涼子さんの演技にも注目していたのですが、このお母さんも書く人だったのですね。

寂聴さんが愛人で、その関係を断ち切るために出家したという話しはよく知られているのですが、今回久しぶりにモテまくるトヨエツを見るのも楽しみにしていたのですが、結局なぜこんなに女たらしのくせにモテるのかはこの映画を見てもよくわかりませんでした。なんなら寝るときもお風呂に入るときもメガネをしているのでちょっとツッコミたくなったり。

そしてこの中で一番輝いていたのは妻役の広末涼子さんでした。
舞台挨拶のコメントも堂々としていて見かけによらず大物振りを発揮、長い長い3人の関係の果ての最後の病室シーン、皆が知っている寂聴さんまんまの寺島しのぶさん、一方表に出る事のなかった妻を演じた広末涼子さんがあまりにも素晴らしくて心が震えました。

この3人の物語を中心に、当時の学生運動や三島由紀夫割腹事件、あさま山荘事件などの生々しい映像、昔のバスやテレビなども興味深かったのですが、この寂聴さんがあの寂聴さんへ続くのだと思いながらも、どうしても妻の方に心が持っていかれたのは、もしかすると作者がいちばん書きたかったのは母(妻)のことなのかもしれないと思ったり、当時はかなりセンセーショナルだっただろうそれぞれの人生絵巻、見応えがありました。

ちゅうみぃ
iwaozさんのコメント
2022年11月20日

いろいろな感じ方があって
人それぞれで良いのですが、
一番、共感、考えさせられるコメントでした。感謝です。m(_ _)m
荒野さんが一番描きたかったのは
やはり母、そして父だったのだと
思いますが、そこを描く為には
寂聴さんも欠かす事は出来なかったのでしょう。
誰もがこの苦海(現実)の中で
もがきながら生き抜くしかないのだと感じました。(T . T)

iwaoz