「トレイラーでアピールされた痛快さよりはなかなか一考すべき作品」逆転のトライアングル ezioさんの映画レビュー(感想・評価)
トレイラーでアピールされた痛快さよりはなかなか一考すべき作品
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数年前に監督の前作『スクエア』を観て、今よりも圧倒的にあまり深く考えずに映画を観てきていた自分は
「これはなんだったんだ?」と疑問だらけになった記憶がある。
やはり人間臭さの表現と万国共通の気まずさを直視させる演出は一級品。眉をひそめつつ爆笑させてくれる皮肉に満ちた会話は素晴らしい。
パート2の遭難までが冗長に感じるが、それらは遭難までの振りなので仕方なしと思う。そこでの船長の振る舞いや会話は特に"逆転"の要素にも絡んでくるのでやはり仕方なしと思う。
ラストに関しては、「ヤヤは殴られずに2人でキャンプに帰り報告を聞いたカールは喜び急いで島の反対側へ向かう」といったものだと思った。そう感じた後に他の可能性、パターンも考えたが直感的に思った上記の感想は揺るぎなかった。
ただこれは一見"どのキャラクターに感情移入するか"ということがラストシーンの捉え方に影響するようにも見えるが、モデル2人には冒頭のやりとりなどからも不快感を与える構成になっているため感情移入はしづらいので、どうしてもアビゲイル側に立った視点になってしまいがちとなる。だが「あの特定のシチュエーションでは逆転していたが、それ以外のこの世ではすべからく富や名声が支配する側に立っている」という事実を理解している以上は一種の諦めとして遭難メンバーが脱出することをゴールに映画を観ており、このままサバイバルしてアビゲイルがキャプテンのままいて欲しいという気持ちのままエンディングを迎えるのは私は難しいように思った。
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