「社会的立場が人間を変えてしまう」逆転のトライアングル ミカエルさんの映画レビュー(感想・評価)
社会的立場が人間を変えてしまう
冒頭の撮影シーンで「ニッコリするのは安いブランド。高いブランドは人を見下すように無愛想にしなければダメだ。」とカールはテレビの司会者からいわれ、ニッコリと無愛想の顔を交互に繰り返す。なるほど、いわれてみれば、ファストファッション、ハイブランドの広告を思い浮かべると、ブランドによってモデルの表情に違いがあったなということが目に浮かんだ。監督の批評精神に感心した。
こういったファッション業界やルッキズムへの風刺からはじまり、金銭至上主義の消費社会の虚しさと滑稽さの描写、果ては階級社会を大転換してしまうというストーリー展開がダイナミックで刺激的であった。
無人島においてお金はなんの役にも立たない、一番大切なのは食料である、食料はお金では買えない、自ら獲得しなければならない、それを獲得するにはサバイバル精神が必要だ。
そこで階級社会の頂点に立ったのはトイレの清掃婦アビゲイルだった。社会的立場が人間を変えてしまう、アビゲイルは無人島においてキャプテンとなった。
社会の中で不遇な環境で虐げられている人にとって拍手喝采の出来事、状況さえ変われば自分だって優位に立てるのだという希望、自分も元気が出てきた。
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