「ウッディ・ハレルソンは今回も本気でふざけてます。」逆転のトライアングル TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
ウッディ・ハレルソンは今回も本気でふざけてます。
大きく3つのシチュエーションで構成される物語は、いずれも共通して「上下関係」、そして「サバイブ」です。日常から非日常、そして非常へと展開する物語ですが、そこはやはりリューベン・オストルンド作品ですので、当然一筋縄ではいきません。そして一見意外に思えるのは、バランス感覚はシチュエーションと比例しません。
中でも、ことごとく共感できるのは「非常」シチュエーション。勿論しっかりおかしみはあるものの、その状況下での言動としては切実です。勢力図が完全に書き換わっても、バランスさえ取れてしまえばこれほどの「非常」も案外笑っていられ、いつしか「新しい日常」かと感じてしまうほど。それでも、その状況に不満をもって展開を模索する一人の行動があれば、シチュエーションは変わり、そしてまた上下関係も変わるのです。
そしリューベンらしいのが、「日常」における「理解はできるけど、ついつい度を越え気味」の議論に発展するカールとヤヤ。周りの人にとっては迷惑なレベルで、まずレストランでの一揉め(第1ラウンド)、そして移動のタクシーでも収まらず言い合い(第2ラウンド)、それを聞いていたドライバーにけしかけられてさらに、エレベーターで第3ラウンド。いよいよ絶交状態かと思えばそこは結局「男女関係」。こんな風に書くと「勝手にやってろ」と思ってしまいそうですが、ヤヤのしたたかさに結局やり込められるカールのただただ興奮するところは、観ていてついつい笑ってしまいます。
で、この作品の最大の見どころであり、リューベンの真骨頂と言える「非日常」シチュエーション。一番多くのキャラクターが表れてさらに一癖も二癖もあり、そして立場上はっきりとしたヒエラルキーを巧く利用して笑いにしています。そこから、それぞれのキャラクターが解ってからの宴「キャプテンズディナー」からのカオスはもう笑いが止まりません。多くを語れませんが、滅茶苦茶下品で酷い。いや、最高です。で、このシチュエーションの締めとなるあの夫妻に起こることに痛烈な皮肉が込められ爆笑です。
それにしてもヤヤを演じたチャールビ・ディーン、彼女の出演作品は初めての鑑賞でしたが、最後のシーンも印象的ですが、(昨年)亡くなってしまったことが残念でなりません。更なる活躍を見たかったな。。