ノスタルジアのレビュー・感想・評価
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ごくごく平凡な破滅譚
遥か昔のある出来事を境に旧友と絶交した男が、憎悪の風化を信じて古巣に戻ってくるものの、傲慢さと想像力の欠如から悲惨な末路を辿る、というよくある悲劇。2人の関係性に「貧/富」やら「都市/地方」といった社会問題的な対立軸が織り込まれているあたりも凡庸だ。 演出に関しても凡庸さが目に余る。たとえば回想シーンで4:3の画面比に切り替わるというのはちょっと安直だと思う。このように画面それ自体に操作を加えてしまうと、中身が問題化されにくくなる。ゆえに回想シーンのカットはどれも敢えて映像として提示するまでもないホームビデオ的な出来に終始している。 また終盤の、主人公の男が貧民窟の若者たちとダンスに興じたりカイロにいる妻をイタリアに呼び出したりするシークエンスからの急転直下のラストシーンも酷い。そもそも終始暗澹とした雰囲気の主人公がいきなり能天気に踊り出した時点で何らかの悲劇が起きることは必定なのだから、ラストシーンで唐突な幕切れ感を演じられたところで今更何の驚きもない。また主人公が撃ち殺された瞬間に音楽が遮断されるというのも予定調和すぎるんじゃないか。
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