劇場公開日 2023年7月14日

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「美しい、だからこそ哀しい」CLOSE クロース いも煮さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0美しい、だからこそ哀しい

2023年7月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

13歳〜18歳の少年100人を対象にルーカス・ドン監督がアンケート調査した結果、13歳の頃は男友達をもっとも信頼できる大好きな存在として記されているが、成長とともに男友達との親密な関係に悩み出すようになるということ。それが「Close Friendship」(親密な友情)。

映画「CLOSE/クロース」は大人になりかけ、13歳の2人の少年に起こる関係の変化を丁寧に紡ぐ物語。

レオとレミは学校でも家でも家族ぐるみで一緒の時間を過ごす大親友。しかし、ある時2人の親密な関係をクラスメートに揶揄されたことをきっかけに「あれ?」と、自分って人から見てどんなふうに見えるのかしら?ということを意識し始める。
そして、この頃からレミとの関係に一歩引くようになってしまうレオ。気まずい雰囲気になる中で2人は些細なことから仲違いしてしまう。
親友同士の幸せな日々は永遠に続くと思っていたのに、、、、。という話。

思春期あるある!男の子あるある!
言葉にできない微妙な距離感、感覚、今にも壊れそうなガラスの感情を丁寧に掬い上げるルーカス・ドン監督の手腕が光ります。

セリフなし瞳の動きだけでここまで心のひだひだを語れるとは!
大人と子供の狭間にいる少年の感性を淡い光や美しい自然の光景に重ね合わせ見事に描き出しています!!

「怪物」の少年たちよりは少し年上だからこその悩みや考えが、どうにもできない歯がゆい気持ちが手に取るようにわかります。繊細な少年の感性、周囲にはなかなか理解し難い微妙な哀しい感覚、言葉にしにくいこんな感覚を監督は見事に映像化して、かつて少年(少女)だった者たちに突き刺してきます。

今年イチ、心に刻まれた映画です。

いも煮