「スルメのような映画なんですが、そのスルメの味が何回噛んでもよくわからないのよ」私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター おちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
スルメのような映画なんですが、そのスルメの味が何回噛んでもよくわからないのよ
監督曰く、この映画は姉弟2人で両親の愛を取り合っていて、両親が亡くなったことでその呪縛から解き放たれるお話のようです。2人は常に比べられて育っていて、両親によってライバル関係にさせられています。
姉は、弟の息子のお葬式に参列しなかったことと、弟が作家としてスタートを切った時に冗談のつもりで「 大っ嫌い」と言ったことをずっと後悔しているようです。
以下は私の想像。。
姉弟はふたりとも、両親にきちんと甘えることができないまま育っています。
姉アリスは、プライドが高く完璧主義で、天才ゆえに両親や周囲からの過度な期待があり、失敗や挫折は決して許されない人生だったと思います。弟より優れているという優越感で自尊心を保っていたので、弟の成功は素直に受け入れられるものではありませんでした。
弟ルイは、自由奔放で不真面目な性格から、父親からは厳しく躾けられ、母親とは折り合いが合わず、いつも姉の陰にいる幼少期でした。姉に対して尊敬、憧れ、嫉妬心、劣等感を抱きながら、ただ自分を見てほしいという純粋な気持ちが叶わないまま大人になっています。作家として成功した時に、家族と距離を取り自分の人生を歩めば良かったのに、わざわざ姉を題材にした著書を出版してしまうあたり、姉(または家族)に対して強い執着があり自分の存在を突きつけているのがわかります。
両親が亡くなることで2人は完全に子供ではなくなり、愛を取り合うことができなくなり、自分の寿命が有限であることを思い知ります。人生を見つめ直すことは避けられず、色んなことが素通りできなくなります。姉にとっては弟とのわだかまりがそうだったのでしょう。
そして最後に、仲直りとまではいかなくとも、もういいよねって感じで終わらせた2人は肩の荷が下り、閉じこもっていた世界から新しい世界へと再び歩みだしました。めでたしめでたし。
という流れだったと思うことにします。
正直、監督のインタビューを読んでも、そんなのわからんて…という話や、どことそれが繋がっとるんや?という話もあるし、あえて全てをハッキリさせていないのは、実際姉弟同士も詳しく分かってないからなんですが、同時に見ているこちらもよく分からないという結果になっている気がしました(笑)