「格差社会での移民/搾取問題を軸に、子ども道具のように使い捨て教育の機会も取り上げ見捨てる大人をドキュメンタリータッチで描く。見る側はその大人たちを批判しながら実は自分もその一人であることを痛感する。」トリとロキタ jollyjokerさんの映画レビュー(感想・評価)
格差社会での移民/搾取問題を軸に、子ども道具のように使い捨て教育の機会も取り上げ見捨てる大人をドキュメンタリータッチで描く。見る側はその大人たちを批判しながら実は自分もその一人であることを痛感する。
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アフリカの母親から送金を無心されたり、トリを守らなくてはならないという使命感と幼さゆえの不安定な精神状態で度々パニック発作に襲われるロキタ。一方、年下ながら「姉」を助けようと大胆な行動にでるトリ。騙し合いの大人たちとの汚れ仕事を担う中で、嘘や強引なやり方も自然と身についてしまう悲しさ。本来の子どもが持つのびのびした楽しさとは無縁と思えるが、「歌」が二人の心の支えになっているのが救いだ。
無理強いされたり搾取されたりしながらも、心を通わせ信じあえる二人の、強くて弱い姿が悲しい。
ダルデンヌ兄弟はいつものようにBGMを排し、観客はその場に居合わせているようなカメラワークで臨場感を出している。レストランの厨房、施設のベッドの上、ロキタの仕事場。現実は映画よりも過酷なのだろうが、この現実に大人はどう向き合えというのか・・・。
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