劇場公開日 2022年7月1日

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「『デビルマン』の狂気と同じものを感じるインモラル極まりない痛快極悪ホラー」哭悲 THE SADNESS よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0『デビルマン』の狂気と同じものを感じるインモラル極まりない痛快極悪ホラー

2022年7月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

これはエグい。強烈なゴア描写も凄いですがそれよりも容赦ないのはセリフ。インモラル極まりない暴言を喚き散らしながら暴虐の限りを尽くす感染者達に『デビルマン』における民衆の狂気と同じものを感じました。瞬きを我慢するのが耐えられないように自分の中に湧いてくる暴力衝動に抗えなくなるという設定は今もどこかで起こっている人民に対する弾圧に対する抵抗運動やカルト教団による反社会的な暴動をエクストリームに戯画化したものに見えてきて、壮絶に血塗れなのにどこか突き抜けた爽快感があるのが不思議です。『スキャナーズ』、『死霊のえじき』といったスプラッターのクラシックな作品に対するリスペクトも感じられて、無軌道極まりない物語にちゃんと律儀さもユーモアも滲んでいます。チェッカーフラッグを横目に見ながらなお全力でアクセルを踏み込むかのようなクライマックスの暴走ぶりも痛快で、エンドロールを眺めながら放心状態になりました。凶悪過ぎて清々しい、決してデートで見てはいけない作品です。

よね