グロリアス 世界を動かした女たちのレビュー・感想・評価
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テイモアらしい映像表現が散りばめられている
ジュリー・テイモアといえば有名な映画監督であると同時に、舞台演出家でもある。かつて「ライオン・キング」などで鳴らしたその鮮烈な手腕を、活動家グロリア・スタイネムの半生を描く本作でどう発揮するのか。私の興味関心はその点に集約されていた。特徴的なところは3つ。すなわち、グロリアの人生を少女時代から描きつつも、時系列ではなく各々の世代が入り乱れて点描されること。多くの場面で車が用いられ、とりわけバスでは「それぞれの世代の私」が乗り合わせ、言葉を交わすこと。また時折、エキセントリックとでも表現したくなるほどの幻想的な心象風景が投下されること、である。試みの全てが成功しているわけではないが、しかしどの場面も独創性にあふれているのは確か。グロリアという人間を表面的に描くのではなく、彼女の内面と外面とを行き来しながら、極めて立体的に人物像を構築していく。テイモアらしい視座と表現性がそこに凝縮されていた。
女性の地位向上に貢献した活動家を描き、啓発効果も大。冗長な構成が玉にキズ
日本ではかつてウーマンリブ、昨今はフェミニズムという言葉で語られることが多いようだが、社会的に女性が男性よりも低く見られていた時代、男性だけでなく女性の大半もそれが当たり前と思い込んでいた頃に、ジャーナリストとして働き始め、女性解放運動を先導して米国社会を、そして世界を変えていったグロリア・スタイネムの半生を描く伝記ドラマだ。思い起こせば中学の英語では独身女性のミス、既婚女性のミセスという敬称を普通に教わったが、ある頃からじわじわとMs.(ミズ)を見聞きするようになったのは、グロリアが創刊した雑誌のおかげだったということを本作で初めて知った。
日本でも少しずつ女性の社会的地位が向上しているとはいえ、組織や家庭の中で依然として男性優位の状況が残っていることに理不尽な思いをしている女性たちにとっては特に、勇気づけれられる内容になっている。男性観客の中でも、知らず知らずのうちに「男性らしさ」「女性らしさ」というステレオタイプが刷り込まれていた面が少なからずあったと気づかされる人が多いのではないか。
監督・共同脚本は、映画では「フリーダ」「アクロス・ザ・ユニバース」、舞台ではブロードウェイ・ミュージカル「ライオン・キング」などの演出で知られるジュリー・テイモア。グロリアの人生をじっくり丁寧に描くという意図は確かに伝わってくるが、現在69歳、大御所になったせいで周りに意見できるような人がいないのか、世代ごとにグロリアを演じ分けた女優たちが内面を語り合ったりする演劇的なパートがたびたび挿入されるなど、だらだらとした構成が冗長に感じられた。本編147分だが、2時間以内に収まっていたらもっと評価できたように思う。
逆に悪い印象を与えてしまったのではないかと心配
女性の人権活動家グロリア・スタイネムの伝記だが、グロリアの人生を描きたいのか、フェミニズム運動の歴史を描きたいのかがはっきりせず、両方とも中途半端になってしまった感がある。加えて、時系列を行ったり来たりするような変なテクニックのせいで、グロリアの人となりがわかりにくくなってしまった。作品に立体感がない。物語が薄っぺらなのだ。かりにも世界のフェミニズム運動を引っ張ってきた女性なのだから、その人生が薄っぺらな筈はない。
三つ子の魂百まで。グロリアの中には幼い頃の少女がいつまでも住んでいる。それを描くために後半になっても小さなグロリアを登場させているのかもしれないが、幼い記憶や情緒を抱えているのはグロリアだけではない。「三つ子の魂百まで」は、世界中の誰にとっても同じである。敢えて幼少期を描く必要はなかった。
インドの経験の描き方も浅い。インド共和国はバラモン教の国で、表向きは民主主義の国だとなっているが、内実はカースト制度による差別の国である。最下位のカーストである不可触賤民は、殺されても警察はろくな捜査もしない。バラモン教はリインカーネーション(輪廻)が主要概念だから、不可触賤民の子孫は必ず不可触賤民である。彼らにとって人生は絶望でしかない。
同じカースト同士の結婚を描いた映画「グレート・インディアン・キッチン」では、結婚した女性が奴隷のように酷使され、生理中は忌み嫌われる。インドではカーストに関係なく、女性に人権などないのだ。グロリアには、そのあたりの強烈な差別を目の当たりにしてほしかった。
公然と行なわれる差別は、民主主義教育が行き届いていないということに尽きる。インドでは貧しい家庭は子供を学校にやれない。新しい知識がもたらされないから、親の考えがすべてだ。親はカーストが当然だと考えているから、子供もそうなる。自分たちが不可触賤民であるという認識はある。しかし避妊の知識も道具もないから、子供を作ってしまう。不幸の再生産だ。
グロリアは得意の文章によって、差別に甘んじてしまう人々を啓蒙していきたいと考えたのだと思うが、本作品ではグロリアの決意の瞬間などが描かれず、なんとなくフェミニズム運動に巻き込まれてしまったかのように見える。フェミニズム運動について、逆に悪い印象を与えてしまったのではないかと心配だ。
嵐を起こした女性たち!
「えらいこっちゃ!」キャストだけで大興奮してしまう程、期待は膨らみました
…女性解放運動の代表的な存在である
グロリア・スタイネムの半生を綴る作品
人種や宗教…結婚歴
それぞれ境遇は違えれど共通の希望の為に闘う姿に何度か拳を突き上げたくなりました!
グロリアを幼児期から現在まで演じる女優達のタスキの受け渡しの流れが実に自然でいい!
モノクロ画像のバスの中…
全時代のグロリアが語り想いにふける姿は
各女優の力量が多いに発揮されて
素晴らしいにも程がある👏
同じ目標や希望を共有しながらも…対立する事も時折ある事は否めない…
現在にも至る妊娠中絶問題などは特にそうだ
そんな同志同士ですったもんだあれど
少女期のグロリアが有色人種の少女に誘われて床屋でタップを楽しそうに躍る姿
アリシア・ヴィキャンデル時代のグロリアが
インドの列車で現地人男にチャイをぽったくられそうになる時、現地女性達がそれを阻止してくれた
そんな普通の女性同士のさり気ない団結に安堵出来るシーンが大好き!とても印象に残りました
質実剛健な力強さと心懐に沁みる優しさを含み
スタイリッシュな映像…エンターテイメント性も兼ね備えた社会派作品に満足しました⭐️
…も、ちょっと上映館あってもよかろうに…
お懐かしき💦…ティモシー・ハットンさん!「普通の人々」が観たくなりました🤗
アメリカ文化
実在するフェミニズム活動家の自伝を映画化。
彼女の子供時代から彼女の人生を追っていくのですが、1934年生まれだそうで、
年代を追って、色んなアメリカを見せてくれて、アメリカ文化が大好きなので、とても楽しめました。
ロードハウス、バイカー、スウィング・ジャズ、サドルシューズでタップダンス、ダイナー、公民権運動、ネイティブアメリカン…
演出も凝ってて、時には、ホラー調だったり不可思議な感じだったり、スタイリッシュな映像美があったり、とても良かった。
長さも、それほど感じず、割りと、あっという間でした。
面白かった♪
インドで女性が受けてる暴力の話が出てきますが、
インドは本当に、ものすごくレ○プが多いらしく、社会問題になってます。
日本人女性は、援助交際とかAVとかのイメージで、特に狙われてて、
日本人女性を騙すために日本語を習ってる男もいるらしいです。
インドへ行かれる方は、本当に気を付けて下さい。
旅は最高の教育?
父親の実に怪しげな仕事ぶり、母親は病弱そうなので、貧しい環境で育ったことが伺える 時系列が回想入ってて行ったり来たりで分かりづらい 長い割には重要なところが端折ってあるような気がする あんな境遇でいつの間に勉強して奨学金?しかも大学スミスだそうですけど、その間が転機だったんじゃないかと
アメリカ国内のみならず、インドやアジア、原住民まで、グローバルな活動、とても行動力がある 実は内気な性格や活動も最近亡くなったギンズバーグさんとオーバーラップする(出てきませんが) なんだかんだ言ってご両親が好きな方なのか母は元ジャーナリスト、父は旅する人でやってること同じだよ、と思った
バニーガール潜入ルポは
知ってた。両親はユダヤ系ドイツ移民?だったのかな?
女性が男性中心の社会に出た時にぶち当たる壁、嫌がらせ、モノとして扱われる事を具体的に描いていたのは良かった。
女性が性的にしか見られていないことのストレスはわからない人には永遠にわからないことだな。
crazy woman
主に女性解放運動をした活動家グロリア・スタイネムの自叙伝を映画化したもの。
4人1役で幼少期から50オーバーまでを演じて様々なエピソードをみせていくけれど、それがわかるまで、時系列弄りまくりの行ったり来たりだし、年代の異なる本人同士が一緒に登場したりとちょっと判りにくい序盤。
どういう環境で育ちこの人になったかは判るけれど、強烈なフェミニズムや人種差別がどうのという思想を抱き活動家になった根底にあるもの変遷や切っ掛けみたいなものがイマイチはっきりせず…インドだけ?
ずっと同じ様な主張を繰り返すばかりで映画として面白味が伝わってこない。
しかもそれでこの尺ですか…90分もいらないんじゃ?
中盤あたりから妙にエンタメ感が強い描写が多くなるし。
思想や主張が合う人には面白いのかも知れないけれど入ってこないし冗長だった。
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