君を想い、バスに乗るのレビュー・感想・評価
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一服の清涼剤
殺伐としたニュースが多い今の時代、老人が1人でこんな長旅をしていたらみんな応援したくなる。そっと静かに見守りながら。
たいしたクライマックスがある訳でもなく、粛々とストーリーは進んで行く。
静かにエンディングを迎えるのもほっこりして良いです。
以下は蛇足です。
1.スコットランド・カレドニア地方から南部方面に行くのであれば、北海沿いにインバネス⇒アバディーン⇒エディンバラのルート設定の方が謎めいていて良かったのでは。
2.スコットランドでゲール語の会話や看板が見られなかったのは残念。
3.ロードムービーにありがちな名所・観光地のシーンが無くて良かった。ヒースの丘はあったけどロンドンなんか出てきたら全くのツヤ消し。
4.挿入歌に1曲くらいウェールズ出身のEnyaの曲を使って欲しかったな。バスの走行シーンにピッタリだったと思う。
5.道中でウクライナ人グループと仲良くなるけど、これはまったくの偶然?
この映画の製作はウクライナ侵攻以前だもんね。
6.邦題はいただけない。単純に「ラスト・バス」とか「最終バス」で良い。
王道のロードムービーに、素直に泣けました。
今65歳のティモシー・スポールが、90歳のトム・ハーパーを演じてたんですね。
私、介護職経験者なので高齢者はたくさん見てますが、見事にADL自立の90歳でした。
1350km、ひとりで路線バスを乗り継いで旅をするトム。
旅をすることになった理由と目的が、道中の様々なトラブルや出会いの中で、彼の思い出として少しずつ明かされていく、まさにロードムービーの王道な内容だけど、それがとてもしっくりはまっていて、すごく良かった。
無料のパスってのも説得力ありましたね。
でも日本だとせいぜい住んでる自治体の中で使えるものだと思うから、イギリスって太っ腹だな〜と思ったら、やっぱり違ったっていう。笑
本人の知らぬ間にSNSで拡散されていて、目的地までバレてずっと追われてたってのが、すごく怖かったけど。
そのおかげで色々助けられたから良かったよねって話なんだろうけど、中には彼が有名人だから助けた人もいるかもしれないと思うと、ちょっと興醒めかな。
本人の知らないところで起こってたことだから、本人に感情移入してる分にはあんまり邪魔にはならなかったけど、だからこそSNS関連はバッサリ無くても成立したし、むしろもっと心温まる物語にできたんじゃないかと思うけど、それだと目新しくはないってことかな。
SNSの良い使い方として見せる意味もあった?いや、良い使い方ではないけど。
顔とか個人情報とか無断で上げちゃダメだよ〜。
なので、その分☆マイナス1です。
それ以外はホント良かった。
目的のひとつ目で、ボロ泣き。思い出がクリスマスに彩られてたから余計にグッときちゃって。
目的のふたつ目は納得ではあるけど、ふたりで過ごした50年の歳月を想うと、切ないなぁ。つらいことばかりじゃなかったはずだけど、でもメアリーとの約束なんだもんね。
目的を果たして、原題の「THE LAST BUS」はこれかと思いながら、またボロ泣き。
良い映画でした。
観て良かった。
窓から見える景色は妻が丹精込めて作った庭。
彼が目指した場所、遂げたかったこととは。
今年のMyベスト10入り確実。90歳の老人によるスコットランド北端からイングランド南端まで1350kmに及ぶ路線バスの旅を描くロードムービー。なぜバスでそこを目指すのか…小さな出会いやアクシデントを繰り返しながらも彼の過去と旅の謎が少しづつ明らかになり…しみじみと泣ける良作。
過去の回想の映像や挟み込み方がとても上手い。過去についても、現在起こることについても、説明しすぎず描きすぎない。何を話したの?なにがあったの?それを想像する余白を残し、すべては描かない。そういう作品がすごく好き。その方がリアリティも出るし。
現在の険しい顔のトムに対し、若い頃のふたりがほんとにかわいくて美しくて、途中からだんだん過去のシーンが映るだけで訳もなく泣いちゃう。そしてイギリスの雄大な自然の風景、都会の街並み、バスの車窓からの景色やバスの車種も変わっていくのが一緒に旅してる感じにさせられる。
やっぱり日本版のポスターと邦題はほのぼのにされがち。羊は出てくるけどこんなシーンはないしね。
原題の「The Last Bus」の方がLastに何重もの意味がこもってて良い感じがする。「過去に戻ってみることで、彼は未来を見つけた」っていうキャッチもいいよね。
既婚者の皆さんには、それぞれのLANS END があるのだろうか?
UKのお爺さんの路線バスの旅。
「THE LAST BUS」
「君を思い バスに乗る」
英国が、老人福士の先進国であるかと言うと・・ケン・ローチの映画を観ても、そうでもないのはわかる・・が、少なくとも、日本よりは社会が成熟してるのだろうなぁ・・PLAN75 の様に老人が困窮するお話では無い。
日本では、あまり 老人が主役の映画って作られないよね・・そこらが・・日本の高齢化政策のお粗末さの象徴かも・・。
で、無料パスでバスに乗ってどこまでも行けちゃう・・UK。
バスという時間軸がお話を味わい深いものにしている・・、新幹線や飛行機であれば、ひどく味気ない話になるだるなぁ・・・。
そういう点では、新幹線網と高速道路網は日本人の感受性を劣化させたかもしれない・・。
県境の長い笹子トンネルを超えても そこは、快適な二車線高速道路だった・・だもんな。
おじいちゃんの旅の途中、意地悪な人もいるけど、優しい人、人としての道理を身に付けた人がやはり多いのだよ・・と言う安心感を与えてくれる映画。
スコットランドの北の端から、イングランドの西の果て、LANS END までの、妻との約束を果たすための路線バスの旅。
良き人との出会いで、目的をはたすのだけど・・タイミングよくウクライナ人の移民たちの、優しさや人の良さに・・こう言う人達の国なんだぁ・・早く、ウクライナに平和が訪れるといいなぁと・・。
主人公も含め、深く理解し合い、愛し合ってる夫婦が出てくるが・・羨ましい。
僕には LANDS END は無いなぁ・・。これからでも遅く無い??? 千里浜は LANDS END(笑)
亡き妻を追い求めて辿り着いた思い出の地
80代のトムが、亡き妻との思い出の地まで、スコットランドとイングランドをバスで縦断するロードムービー。
老いた体には厳しい旅を強固な意志で実行する彼の秘めたる想いが、現在と過去を行き来する構成で次第に明らかにされる展開も、旅の中で彼が様々な人々に出会うエピソードも悪くない。
けど、予告編で感じる明るさや高揚感を、私は本編で感じられず、トムの意固地さと老いた体で続ける過酷なバス旅の悲壮感と焦燥感に、どこか居心地の悪さを感じ続けた。
その居心地の悪さが、ラストシーンで腑に落ちた。
冒頭、彼は近所の子供に「遠い所に行く」と言い、劇中医師に「やるべき事がある」と言う。
彼の人生は、全ては今は亡き妻の為にあったのかもしれない。そして、思い出の地に辿り着いたことで、彼は満ち足りてやるべき事を成し遂げたのかもしれない。
観ている間よりも、観終わってからの方が考えさせられる映画でした。
あと、予告編と本編の温度差もある映画でした。
そして特筆すべきは、50代で特殊メイクなしに主役を演じ切ったティモシー・スポールの演技!一見の価値あり。
バズったおじいちゃんの人生振り返りの旅路。
「物理的な移動」と「時間軸上のフラッシュバック」、二つの旅を鑑賞する。
何かしら訳あり、悲しみを背負ったらしき若いカップルの逃亡?から始まる謎解きの時間の旅。
メーンは現実世界で90超えのおじいちゃんの長距離バス旅行。決して甘くなかった。最初のうちは身軽な旅を羨ましく感じたけど、だんだん見ていて辛いことの方が多くなった。出会う人はいい人とそうじゃない人がほぼ同率だ。それが現実。(道中のエピソードで遭遇したウクライナ人たちの明るさと屈託ない親切さにはグッときた。)
理由はともあれ、片道旅行であることは容易に想像がつく。命よりも大切なスーツケースとの同行二人。原題THE LAST BUS のままでよかったんじゃないかなあ。
人生で真に幸せな時期なんてほんのいっとき、かもしれない。でも反芻すればするほど輝くような思い出を持っている人は強いなあと思った。あんな風に愛し合える夫婦って、すごいなあ(友だち少なそうだけど)。愛妻の外套の蜜柑色が一貫して画面を鮮やかに引き締めていた。
アメイジング・グレイスに拍手!!
ティモシー・スポールといえば『ハリー・ポッター』に出てくるピーター・ペテグリューを思い出し、悪い役のイメージを持っていました。しかし、今作で一気にイメージが変わりました。ティモシー演じるトムは最愛の妻を亡くし、自身も癌に侵されながらも「イギリス1350キロ縦断」を決意する。90歳のトムはバスを通じて様々な人たちと触れ合って自身の人生を振り返る。
設定上トムは90歳という年齢だがティモシー・スポールは60歳で30歳年を取った「演技」はなかなか見れない映画でした。この映画は現代のイギリスを舞台に撮影されていて、トムが乗るバスにいる乗客のほとんどがボランティアで構成されていて、演技なのか本音なのかわからない演出をしていたので新鮮な状態で観賞出来ました。
物語中盤のティモシーが歌う「アメイジング・グレイス」には心打たれました。歌詞と今作のテーマにピッタリで、すこし鳥肌が立ちました。
頑固な思い
終活のバス旅行日記
ヒューマンドラマ、はたまた皮肉か
先立たれた妻との約束を果たすため、バスを乗り継ぎ目的地を目指す主人公。
過去に夫婦が通ったルートを辿り2人が過ごした日々を思い出しながら進んでいく。道中に出会う人々と助け合い、時には困難に陥りながら。いつのまにか彼は彼の知らぬところでSNS上の人気者となっていた。
この映画がどんな映画かと聞かれれば、私はこのよう答えるが。しかし決して、この映画は単なる心温まるストーリーとは素直に言えない。むしろ若干の怖さがある。
なぜ夫婦はイギリスの北端へ移り住んだのか、なぜ老体に鞭を打って目的地へ向かうのか。その答えが主人公トムの追憶から徐々に見えて来る。
思い出すのは、若かりし夫婦の幸せな日々だけではない。辛く悲しい過去。そう、これはとても強く、とても切迫した理由なのだ。
バスで出会う人々は、この老人がバスに乗る理由を知らない。一時のブームとなっただけで、一緒に写真を撮り、パーティに誘い、SNSにあげる。バス代をサービスする。
一方的な関心と優しさで出迎えた終着点で、最後に見物人たちが見たのは彼らが期待したものだったろうか。
知らぬ間に人気になった老人も老人を追いかける周囲も、お互いに置いて行かれてしまった。
所詮たまたま出会った関係。なぜ青年が兵隊になりたいのかも分からないままだ。急に始まり急に終わる。
残ったのは空虚のみ。
ロードムービーにありがちな不自然さを感じさせない路線バスの旅
以前、日本にも似たような設定のロードムービーがあったが、キャンピングカーで旅をする主人公が、そんなに多くの人々や出来事に遭遇するわけがないだろうと、不自然さを感じざるを得なかった。
その点、この映画の移動手段は、自家用車でも、鉄道でも、長距離バスでもなく、様々な人々と乗り合わせる機会のある路線バスであり、しかも、シニア用のフリーパスが使えるからという理由も、ちゃんと用意されている。そのため、ロードムービーにありがちな、わざとらしさや違和感がなく、たくさんの出会いや別れが、自然な形で描かれている。
道中、主人公が回想する過去は、断片的で、時系列のとおりにもなっておらず、何があって、何のために旅をするのかが分からないため、特に、最初は、少しイライラさせられる。だが、この映画が、悲しい過去を振り返るよりも、生きている今を慈しむことに重きを置いていることが分かってくると、ゆったりとしたテンポに身をまかせ、旅のエピソードを楽しめるようになる。
主人公がトラブルに巻き込まれるたびに、必ず誰かが救いの手を差しのべる展開は、ご都合主義にも思えるが、それと同時に、人間の善意を信じている作り手の姿勢も伝わってきて、暖かい余韻に浸ることができた。
これから出逢う想い出を
妻に先立たれた老人の男が、ある目的の為にスコットランド最北端からイングランド最南端へとバス旅をする物語。
老体に鞭を打ち、長い旅に出るトム。「妻との約束」とのことだが、目的地へ行く理由や、何故妻と2人では行けなかったのか、頑なに手放そうとしないカバンは何なのか、そして何故そんなに焦っているのか・・・色々と気になりつつ、バス旅は続く。
終始、ちょっとしたトラブルとその都度見せるトムの勇気や周りの人の優しさにホッコリするロードムービー。トムの頑張りを乗り合わせた人が動画投稿し、いつの間にか有名になっていくトム。
後半になり、上述の疑問が観客側にも鮮明に。成程~そういう理由で・・・。
ちょっとさすがに皆親切すぎでしょ~現実はこんなんじゃ・・・なんて思ったり、良い話とは言え動画投稿にどうしても少なからず嫌悪感を覚えてしまうワタクシだが、それでも本人はいざ知らず、皆に出迎えられた所なんかはググググッときた。シンプルではあるかもだけど、クライマックスも良かったですね。
上映時間も90分に届かないコンパクトさ。このくらいのボリュームが一番好きだけど、逆に本作はもうちょっと時間使って大袈裟に泣かせに行っても良いかなぁなんて思いつつ、やっぱりこの規模でやるからこそ、らしく光る作品なのかなと思った。
そして何より、ワタクシ自身も人生終盤になった時に、トムのように振り返りたくなる想い出なんてないなぁ~と思い。。
だからこそ、いつか自分自身が再会する想い出をこれから作っていきたい、柄にもなくそんなことを思わせてくれた作品だった。
全英が泣いた!?おじいちゃん回顧録
人生とゆうロードムービー
1350kmを路線バスで旅する、イギリス版終活ロードムービー!
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