「シティーハンターの闘いは続く。最終章へ向けて…」劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト) 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
シティーハンターの闘いは続く。最終章へ向けて…
眠らぬ街、新宿。
とある伝言板に依頼を書き込むと、その男は現れる。
美人がもっこり大好きな困ったスケベ。
が、依頼は必ずやり遂げる。時には我が身を犠牲にしてまで。噂通りの超腕利き。
奴の名は…
冴羽獠。
またの名を、シティーハンター!
あの男が、再び帰ってきた…!
北条司による人気作にして人気キャラ。
2019年に20年ぶりの新作映画が作られ、大ヒット。同年にはフランスでリスペクトたっぷりの実写版もありました。
好評を博して新作第2弾。来年には鈴木亮平が獠を演じる実写映画版がNetflixにて配信。
まだまだこの男への依頼は続く!
さて、今回の依頼は…
愛猫が日本の名所を旅する動画を撮影する為、わざわざ日本にやって来た外国人女性・アンジー。しかし猫が居なくなってしまった。その猫を探して欲しい。
時に危険な依頼もあるシティーハンターに、まさかの猫探し。
が、仕事は選んでいられない。久々の依頼だし。
香は超高額報酬に喜ぶも、アンジーは獠が好きそうなもっこり美女でまたまた頭が痛い。
tハンマーを持ちつつ猫探しが始まるが、アンジーを付け狙う男二人組が…。
猫探しは嘘。ちなみに猫は巨大な3Dホログラムの猫でした。
アンジーの真の目的は…? 男二人組は…?
男二人はピラルクーとエスパーダ。暗殺チーム“ウェットワークス”のメンバー。ある物の奪還と裏切り者の始末が目的。
その裏切り者こそ、アンジー。ある物を葬ろうとしていた。真の目的はある物を葬る協力依頼ではなく、獠を殺す事だった…。
渦中の“ある物”。それは“天使の涙(エンジェルダスト)”。
人間を兵器化する恐ろしい薬品。人間離れした力やダメージも受けない代わり、その副作用で正気を保てなくなり、最悪死に至る場合も…。
香の兄で獠のパートナーであった槇村がかつてそれによって…。
たった一人、エンジェルダストに耐えた者がいた。
獠。
エンジェルダストを開発したのは犯罪組織“ユニオン・テオーペ”。
その首領・海原こそ、獠の傭兵としての育ての親。
アンジーもまた海原に鍛えられた傭兵の一人。
エンジェルダストなどという危険な代物を使わず、私こそがあの方の“最高傑作”。
それを認めて貰う為、“最高傑作”の冴羽獠をこの手で殺す…。
話的にはエンジェルダストを巡る攻防に、各々の目的絡む。
アンジーはエンジェルダストを葬り、獠を殺して最高傑作になる。
ピラルクーとエスパーダはエンジェルダストの奪還。
内輪揉めに巻き込まれたと思いきや、逃げられない過去の因縁が獠に迫り…。
スリルとドラマチック掻き立てるように見えて、今一つ目的の必然性がピンと来ない。背景や設定もちと分かりづらい。
本当に獠はただ巻き込まれただけ。
ピラルクーとエスパーダは敵みたいに描かれるが、(危険な代物とは言え)奪われた物の奪還と裏切り者を追う任務を遂行しているだけ。
アンジーこそ組織の物を盗み自らを危険に晒し、愚かな考えで獠を殺そうとするヤバイ奴に思う。
なので、話的には前作の方が面白かったと思う。前作も決して褒められた話ではなかったけど。
けど、後半にかけての盛り上がりは前作よりこちらの方が良かったと思う。
正体がバレてからも、獠と香と行動を共にするアンジー。全てが終わってから、獠をこの手で…。
人殺ししか叩き込まれなかったであろうアンジー。そんな彼女が、世の中の美しさ、楽しさ、幸せ、美味しいものを経験する。
それらを通じて、心境に変化が…。
葛藤しながらも、獠と対する。が、勝敗は決まった。
その時、海原によって打ち込まれたエンジェルダストによって、アンジーが狂暴化。優劣逆転。獠を圧する。
が、エンジェルダストはアンジーの心身を蝕んでいく。
それに抗う度、幾度も苦しむアンジー。もはや自らの命を絶つ事も出来ない。
とすれば、この苦しみから解放される手段はたった一つ。
獠もアンジーもそれを分かっている。分かっているからこそ、苦しく悲しい闘いが続く…。
悲劇的なアンジー。
アンジーは依頼人。その依頼人と闘い(しかも大好きなもっこり美女)、終わらすにはこの手で…。
獠にとってもこれほど辛い依頼はそうそうないだろう。
前半のいつものナンセンスギャグから一転して、悲劇的なシリアス展開に切なくもなった。
憎きは、海原…!
原作でも最大敵勢力となるユニオン・テオーペと海原。
獠の過去と関わるのに、薬物描写の制約あってアニメでは登場出来なかったという。
満を持して、今回アニメ初登場。
EDクレジットでも分かる通り、“終わりの始まり”。アニメでも完結まで描くという意気込み。
という事は、まだ続くのか…?
それとも次回が完結編になるのか…?
本作は本作だけの単発と思っていた人にはアレ?かもしれないが、いずれにせよ今後の展開が気になる所。
とは言え、『シティーハンター』らしさはたっぷり。良くも悪くも時代錯誤の古臭さ。
オヤジギャグと同等のナンセンスギャグの連続。
今なら(と言うか前作でも)コンプライアンス的にOUTの獠のスケベネタ。
時代変われども、もっこりし続ける獠はレジェンドかミラクルかも…?
でもアンジーも言ってたけど、今の若い世代が見たらこう思うだろう。“もっこり”って何ですか…?
獠と香の掛け合い。良きパートナーで、表には出さないが意識し合っている。海坊主が上手い事言ってたね。
海坊主、美樹、冴子らお馴染みの面々。
また、前作にも登場。同じ北条作品のあの“怪盗美人三姉妹”が今回も登場。今回は開幕から登場し、チームに加わった(?)獠&海坊主と珍決めポーズ。
彼女ら以上の超サプライズキャラ二人が登場! そういや今年、『キャッツアイ』と“共演”した配信映画あったね。ちなみにそちらに獠が隠れ出演してるとか。
神谷明らレギュラー声優は続投。
ちと声が苦しくなってきたかなと思う箇所もあった。特にキャッツアイ末っ子の愛。そう考えると声を維持し続けている戸田サンはスゲェ…。
まあでもフランス実写版はともかく、獠=神谷サン以外考えられないし、ずっと同じ声を聞き続けられるだけでも。
今回のゲストキャラの沢城みゆき、関智一、木村昴は今屈指の売れっ子だけなあってさすが芸達者。(ピラルクーとエスパーダは関と木村だからまんまスネ夫&ジャイアンだね)
『シティーハンター』最高傑作とはいかなくとも、いつも通りファンなら楽しめる。
ファンじゃなかったら世代ギャップが…。
実は今回、『シティーハンター』劇場初鑑賞。前作は地元の映画館で上映しなかったので…。
大スクリーン&大音響で『Get Wild』を聞けたのは満足!
キャッツアイ、ルパン三世とコラボ続く。
次はどのキャラとコラボを…?
監督繋がりであの名探偵かな…?
最終章への展開よりそっちの方が気になったりして…。