「【”終わらない私たちの戦い。”第二次世界大戦に従軍し、心と体に傷を負った二人の旧ソ連女性の戦後も続く様々な戦いと癒し合う姿を描いた作品。戦争とは、女性達にも深い心と身体の傷を与えてしまうのである。】」戦争と女の顔 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”終わらない私たちの戦い。”第二次世界大戦に従軍し、心と体に傷を負った二人の旧ソ連女性の戦後も続く様々な戦いと癒し合う姿を描いた作品。戦争とは、女性達にも深い心と身体の傷を与えてしまうのである。】
ー 第二次世界大戦中に、女性兵士が戦闘に参加した唯一の国が、旧ソ連だったことは、周知の事実である・・。ー
■感想<Caution! 内容に触れています。>
- 舞台は、終戦直後のレニングラードである。-
・戦争により、心に傷を負ったイーヤは時折、身体が硬直してしまう。
・又、マーシャは破片により、腹部を負傷し、子供を産めない身体になっていた。
・イーヤとマーシャは、戦争で傷ついた傷病軍人達を医療する病院で働いている。
- 監督のシニカルな設定が効いている。イーヤとマーシャも、精神的、肉体的なダメージを受けているのに・・。
男は傷病軍人として、手厚く治療を受けているが、同じく戦地に赴いた女性はその病院で働いている・・。-
・イーヤは、マーシャから預かっていたパーシュカを育てていたが、発作によりパーシュカを自らの身体の下で、圧死させてしまう・・。
ー そこに戻って来た、マーシャはイーヤを責める事はないが、イーヤに子供を産ませようと策を巡らす。イーヤも罪の意識から、それに応えようとする。
■マーシャは、彼女が初めての女となったサーシャに恋される。最初は冷たいが、経済的に裕福と思われたサーシャのプロポーズを受け、サーシャが住む豪奢な家へ。
だが、そこに待っていたのは、傷病軍人達を医療する病院の院長になったリュボーフィだった。
彼女は病院では、聖母の如く男性兵に接するが、マーシャには冷たい。
サーシャの両親とマーシャとサーシャで食卓を囲むシーン。
マーシャが最前線で生き残るために行っていたことを、リュボーフィに決然と言い放つ姿は痛快ですらある。
”私は、貴方と違って、自分で食料を自らの力で調達できる!”
・そして、マーシャとイーヤは、再び暮らし始める。”二人の子供が出来る事を願いつつ・・。
<今作は、旧ソ連で、第二次世界大戦中に、闘っていた全ての女性兵士たちに捧げるべき映画であろう。
戦争とは、男性達だけでなく、無辜の女性達にも深い心と身体の傷を与えてしまうのである。>
<2022年9月18日 刈谷日劇にて鑑賞>