「戦争と多様な性・階級」戦争と女の顔 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争と多様な性・階級
2019年。カンテミール・バラーゴフ監督。第二次世界大戦終結間近のソ連。戦場で戦い、PTSDの発作を抱えながら看護師として働く女性は戦友(これも女性)の子どもを育てているが、誤って殺してしまう。戦争終結でその戦友が帰ってきて一緒に暮らすが、、、という話。
かたや異性恐怖と次第に明らかになる同性愛的傾向を持つひきこもりがちの看護師、かたや出産子育てにこだわって男を求めるその戦友(手術で次の妊娠はできない)。お互いを思いながらも異性愛と同性愛のすれ違いから関係が複雑にねじれていく。病院を慰問する女性政治家(地元有力者?)も登場し、共産主義国家における軍事や政治への女性の進出が前提、にもかかわらず全体的に貧しい食料生活環境で階級差が露骨に表れている。性にまつわる多様なあり方・考え方が戦争によってどのように捻じ曲げられ、表面化させられるか、そこに階級差がいかに関わるか。
セリフが少なく、役者の表現がやや過剰なものの色彩が鮮やかで撮影場所や順番もよく考えられている。「みればわかる」映画として好感がもてる。
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