劇場公開日 2023年3月3日

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「これもメンタル衛生の生活の智恵!?」エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0これもメンタル衛生の生活の智恵!?

2023年10月16日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「意味不明」・「支離滅裂」という部分もあり、ストーリーを追って展開を楽しむには、やや(もの凄く?)難解な一本でしたけれども。
でも、映画って、元々は空想(ファンタジー)の世界を描いていたはず。それが「アメリカン・ニュー・シネマ」あたりから、現実の実相に深く切り込む写実的な作品が作られるようになって…。そして、単純な実相の描写から、また実相の中に潜む真実を抽象化して表現しようとしてきている…。
まぁ、あくまでも評論子の「個人の感想」ですけれども。
そういう潮流の中にある作品なのかもしれないという感慨はあります。評論子の中には。その意味では、本作は決して「時間を返せ」「カネを返せ」の「ナニコレ映画」ではなかったと思います。

むしろ、人に人の道を説くことを生業とする僧職者までうつ病に罹るほど何かと生きづらいこの世の中を、何とか無事に渡っていくためには、小気味のいいカンフーアクションのように物事を執り進めることが大切ですし、ときどきは、異次元…束縛なく自分の思い通りに行動できる別世界=マルチバースに飛んでいったりしなければ、そんな世の中で自分のメンタルを正常に保つことは難しいー。
まして、エヴリンは華僑として異国(アメリカ)で暮らしを立てている身の上で、しかも家族の問題を抱えていたりしてみれば、尚更のこと。
そして、あまたの戦いも、結局は家族とその生活を守るため。
そういう投げ掛けをしているのだと理解すれば、これはこれで、なかなかの良作だっと言えると思います。

人がどうしても免れることができないもの…それは「死と税金」という映画のことばもありましたけれども(別作品『ジョー・ブラックによろしく』)。
本作でのエヴリンの苦労は、そもそもが、彼女が経営するコインランドリー店の税金問(国税庁監査官との壮絶なバトル)という、極めてシリアスな問題に端を発して訳でもあり、立場を同じくすればら彼女の苦悩も分からないではないと思います。

いろいろバタバタと忙しなく場面が切り替わり、観ていて落ち着かないところもあるのですけれども。

本作が賞を取ったか取らなかったか、賞に真実に値するかしないかの議論は、ただ映画が好きで、それ故ただ映画を観続けているという評論子にはとんと無縁の座標軸上にある問題でした。
純粋に、映画作品自体としては、それなりの良作と評して良いのではないかと思います。

talkie
talkieさんのコメント
2023年10月17日

マサシさん、コメントありがとうございました。
こちらこそ、よろしくお願いします。

talkie
マサシさんのコメント
2023年10月16日

共感ありがとうございます。共感します。

マサシ