ブラック・フォンのレビュー・感想・評価
全104件中、41~60件目を表示
ホラーじゃないけど、緊張と解放が小気味良いサスペンス
予告編の出来が良くて楽しみにしていたのに、上映期間が存外短くて見逃した作品。Amazon primeの有料コンテンツで観られてよかった。
導入部とタイトルバックが不穏な空気感を盛り上げ、主人公の少年フィンが犯人の手に落ちるまでの展開も無駄がなくグイグイと引き込まれていき。イーサン・ホーク演じる犯人のキャラクターや行動に関しては、あれこれ疑問やツッコミポイントがあるものの、ラストの疾走感が悪くないので、面白かった!という印象で終われた。
ほんと、惜しむらくは、犯人グラバーがひたすら不気味なだけで、やってることはわきが色々甘く見えるのがねー。せっかくイーサン・ホークなんだから、もっともっと狂気も恐怖も出せたはず。また、なぜ少年ばかり狙うのかとか、過去の犠牲者がどんな恐怖を味わったのかとか、そのあたりがもう少し深く描かれていたら、さらに怖さや、フィンを助ける少年たちの思いが際立ったんじゃないかと思うけど。
でも全体のまとまりは良いし、ちょっと青春ものな味付けも嫌味なく効いていて、サスペンスとして楽しめると思います。
ちなみにラストで犯人と対峙したフィンの行動や台詞は、原作のエッセンスに結構忠実で、そこも良かったです。
終盤での収束が心地よい
公開から遅れること1か月余り、地元映画館でもやっと上映されることとなり、遅ればせながら鑑賞してきました。予備情報をあまり入れずに行ったので、まさかのホラー要素にビビりまくりましたが、サイコスリラー作品としてはなかなかおもしろかったです。
ストーリーは、ある街で連続少年誘拐事件が発生し、親友もその被害に遭ったフィニーが、自身も誘拐されてベッドと黒電話とトイレしかないような地下室に監禁される中、断線しているはずの電話が何度も鳴り、そこから聞こえるヒントを頼りに脱出を図るというもの。脱出のカギを握り、事件とも大きく関係する不思議な黒電話が、本作のタイトルとなっています。
序盤は、フィニーの人柄や周囲の人物との関係性、妹・グウェンの夢など、以降の伏線となる要素を盛り込みながら、ゆっくりと展開します。しかし、フィニーが誘拐されてからは一気に緊張感が高まり、まるで脱出ゲームのような展開と、奇抜なマスクをかぶる犯人に監視される恐怖、謎の黒電話の真相が絡んで、スクリーンから目が離せなくなります。
一方、外では妹のグウェンが、夢の暗示を頼りに必死で兄を探す様子が描かれ、残された家族の不安や焦りが伝わってきます。このお告げ的な夢や謎の黒電話など、全体的にどちらかというとオカルト的に展開し、この部分の謎が少々気になるところです。しかし、それ以上に気になったのが、脱出の成否です。そういう意味では、兄妹の必死な姿が、観客の疑問を押し切っており、二人の子役の演技力が本作を成立させているとも言えます。
また、黒電話からのヒントをもとに試みた脱出方法はことごとく失敗しますが、それらが最後に収束していく展開は悪くなかったです。と同時に、困難に直面しても諦めない、わずかな可能性にも懸ける、失敗も成功へとつながる、そして何よりそれを自身の手でやり遂げた達成感と自信など、地下室での経験がフィニーに大きな変容をもたらしたという構図もよかったです。とはいえ、地下室の様子の変化に犯人が気づかないのは、ちょっとツッコミたくなりました。
出演は、フィニー役にメイソン・テムズで、地下室でしだいに変容する少年を見事に演じていました。妹グウェン役のマデリーン・マックグロウは、兄を思って行動する姿が、クールでキュートでした。犯人役のイーサン・ホークは、本作の雰囲気を一手に背負う、ヤバさ全開の演技が秀逸でした。
ここからは一人だ
1979年デンバーにて、子どもが行方不明になる事件が多発。マジシャンのフリをする男にさらわれてしまった少年フィニーだが、現実にリンクした夢をみるという妹が、この能力で兄を探そうとする物語。
仲良しのフィニーとグウェンの姿が微笑ましい序盤から一転、黒いバンと黒い風船の男が現れてからは一気に不穏な展開に。
謎の地下室にある、線が切れてつながらないハズの電話の存在感が不気味でグッド。
フィニーくんの頑張りは応援したくなるし、そんな彼の為にガチで闘うグウェンちゃんも可愛いですね。石はガチでビビったけどw
終始、ホラー要素を纏ったサスペンスであり、ミステリーな展開もあったりで、画的には代り映えしなくも飽きはこないし、次はどうなるのか気になって目が離せない。
欲を言えば、いじめられっ子で頼りない描写がある割には、誘拐後は思いの外フィニー君が冷静なので、絶望感がちょっと薄いのと、もうちょっとヤマダくんやロビンくんとの関りを見せて欲しかったかも。
あと、可愛いアホが真相を突き止めた内容を知りたかった(笑)ナイスキャラでしたね‼
その他、お父さんの気持ちがしっかり描かれていたのは良かった。
最近、体力的にホラー映画を敬遠してた節があるのですが(笑)、そこまでキツくはなかったし、子ども達との話や工夫を凝らした作戦等々、見応えのある掘り出し物だった。
「イーサン・ホーク、お前は許さん」となる(熱演ゆえ)一作
『黒電話』という短編小説が原作の本作、少年少女が暴虐な存在に立ち向かう、という話の筋のためか、あるいは子供達の年齢や背格好、舞台となる住宅街の雰囲気が似ているためなのか、はたまた意図的な演出なのか、ついつい『IT』や『ストレンジャー・シングス』を連想してしまうし、実際のところ結構似通った部分もあります。といいつつ、前半は連続誘拐事件を巡るミステリー色の強い展開が続くため、もしかしてこのままリアル寄りの物語で進んでいくのかな、と思い始めた中盤以降に、予告編にも使われたなかなかショッキングな場面が出現し、不意を衝かれます。
この転換点でちょっと作品のリアリティライン(現実性の度合)を見失いそうになりますが、それ以外の場面に関しては、基本的に目の前で起きていることをそのまま受け取ってしまえば話の筋を見落とすことはなく、変な映像上のトリックもないので、どちらかというと「素直な」作りの作品と言えます。
それでも初めて黒電話が登場する場面では、一応心の準備ができていたつもりだけど思わず飛び上がりそうになるし、主人公が視線をふと転じると想像もしていなかった風景が飛び込んできたり…、と、要所要所に恐怖演出を入れるあたり、ジャンル映画としても余念がありません。
少し内向的な主人公の視線では腕っ節が強くて頼りになる友達も、より圧倒的な暴力の前では為す術も無い、という痛ましさを受け止めつつ、それでもなお難局を打開するために力を合わせていこうとする力強さには、怖さを忘れて思わず胸が熱くなります。
イーサン・ホークはマスクやメイクで素顔を見せないためなかなか彼とは気がつきにくいんですが、その憎らしさはかなりのもの。特殊な能力とかは使わない、普通に異常な男だけにその狡猾さや残虐さがかなり生々しく、とにかく嫌な気持ちにさせる演技を見せてくれます(ほめてます)。「お前は『ヘレディタリー』(2018)のパイモンにお仕置きされろ!」と思わず心で罵ってしまったのも一度や二度では。
まだあどけなさの残る少年ギャングの気合いの入り方にも感嘆!
ハラハラドキドキ
キッズvs誘拐殺人犯の攻防戦にオカルト要素が入ってくる、ITのような雰囲気を感じる作品。
誘拐されてしまうお兄ちゃん(フィニー)と、予知夢を見る不思議な力を持つ妹ちゃん(グウェン)の2人が、それぞれ頑張る物語ですが、まぁーーかわいい!この兄妹への好感度がめちゃくちゃ高かったので終始楽しく観れました。パニックになるのが普通の状況なのに、冷静にできることをトライするフィニーが子どもとは思えない度胸の座り方で凄かった。父からの虐待の必要性はこの要素だったのか…?ちょっと繋がりは分かりにくかったかな。
イーサンホークはずーーっと不気味なマスクをつけているのでお顔が見えず残念でしたが、イカれたサイコな雰囲気はさすが。ただ、この犯人のバックボーンや動機などはスルーで終わってしまい、消化不良感も否めず。
父との結末もあれでいいの…?笑
でも全体的にはノスタルジックな雰囲気とハラハラドキドキ展開で満足度は高め。
夏にぴったりのホラー風味の強いスリラー作品。楽しかったです。
原作者は宮沢賢治を読んでいる
上映しているのは知っていたけど、『X』を優先して、放っていましたが、大変良くできています。(『X』も好き!)
やはり、スティーブン・キング的に不思議なことは不思議なままですが、スティーブン・キングより良いかも。
本作は、間違いなく宮沢賢治を読んでいます。
明日のジョーだという人が多いようですが、絶対『セロ弾きのゴーシュ』です。
地下室でやることもなく過ごしている少年のところに、不思議な友達が訪ねてきて、お節介を焼きます。
上手くいかないので、イライラして来るのだけど、最後に役に立つ、というお話し。
妹も、飲んだくれ親父も、マスクも、馬鹿な弟もキャラが立っていて、好感が持てます。
残念なところは、地下室も、食料も、衣服もイマイチ臭そうでなかったところです。
そこは、現実離れして舞台の、『プラットフォーム』見たいです。
『悪魔のいけにえ』を目指すのであれば、汗臭さや不潔具合も大事な要素だと思うのですが。
一方、出血の量が実は多くなくても、怖さには関係ないことは、両者で共通しています。
PG12の範囲のスリラーとしては傑作だと思います。
黒電話は若い子見た事あるんだろうか?
なかなかレビューの成績がよいので見てみたが、、まあちょこっと目新しさを感じさせるホラー/ファンタジーだった。リアルさを感じさせるハンディカメラと、脚本、美術の仕業だろうか?、、、うむむ。
悪役シリアルキラーと主人公の少年、そしてなにより今回黒電話を通して絡んでくる連中がこの話を怖くしたり、悲しくしたり膨らませている。
じつは、、つまり悪役が少し食い足りない。
だから配役でそこ補完したかっだのではなかろうか?
『IT』と『シックス・センス』を足して2で割ったようなプロットながら意外と堅実な一軒家スリラー
勝手にホラー映画だと思い込んでいましたが、1978年のコロラドを舞台に誘拐犯の地下室から脱出を図るした一軒家スリラー。見るからに『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の二番煎じを狙った企画っぽいですが、どこにも繋がっていないはずの黒電話から聞こえてくる声に導かれて主人公の少年フィニーが少しずつ脱出の手筈を整えていくサスペンスと、自分の夢の中に出てくるイメージを頼りに兄フィニーを探すグウェンの試行錯誤を並行して描く物語は超自然ネタを扱いながらも意外と堅実で、フィニーを導く声もグウェンの夢も結構掴みどころがなく漠然としているのが逆にリアル。2つの物語がぶつかるクライマックスもちゃんと意外性があって楽しめました。
ホラーとして見てはダメ
予告を観て私好みのホラーかと思い鑑賞。
しかし鑑賞して、あれ?全然ホラーじゃない…むしろ幽霊とのいい話?と思った。
大きな音で驚かされることも有ったが如何にも海外らしい怖がらせ方だなと感じる。
舞台となった1970年代の雰囲気、少年たちの日常はスティーブン・キングのイットやスタンドバイミーを思わせる。
主人公の美少年さと言ったら…この美しさのまま大人になってほしいと切に願う。妹役のマデリーンマックグロウも演技が素晴らしくとても可愛い。体罰のシーンは心が痛かった。
イーサン・ホークは演じていると知って観ても全然本人だとは思えず、スタイルの良さしか本人さがない。これをイーサン・ホークが演じる必要があったのか。
観ていて力の入る作品だったが、悪役に少し物足りなさを感じた。何のために監禁してるのか?
※帰り黒いバンを見て私も監禁される!と無駄な妄想をして帰ってしまった。
Pink FloydのOn the Run有効活用
劇中Pink Floyd「狂気」収録の「On the Run」が効果的に使われます!フロイドファンはおっ!となること間違いなしです。
全体としてはそこそこ楽しめるもののツッコミどころが目立ったので星3.5にしました。ロビンはいいやつ。
誰が観ても面白いはず
サスペンスとかスリラーかと思ったらしっかりオカルト要素もある作品
ツッコミどころはあるものの、話自体が面白く演出も良いので最後までノンストップで走り切る
ただの脱出するだけでなく、少年達にスポットを当てる辺り残酷だけど良い感じだと思う
映画として良い出来だと思うしスプラッター要素もほぼ無いのでホラーだからと敬遠しないで色んな人に映画館で鑑賞してほしい
あと、イーサンホークは結構ホラー映画で観るけど本人好きなのかな?
緊張感半端ない演出と豊かなホラービルドゥングス
観といてよかった。きのうの『X』も面白かったけど、こっちはなお良かった。
際どいポスターのヤバいのがヤバいのだけど、ブラックフォンって、何だ、というところから入ったけど、人さらい事件の多発する田舎町のDVおやじのところの風変わりな一家の兄と妹がメイン。スティーブンキングにもありそうないくつかのアイテムもありつつ、監禁場所にホラー的非現実としての霊界電話があって、過去の犠牲者たちからの電話にヒントを得て脱出を画策、そして妹は夢で想念か何かが見える設定。
とにもかくにも監禁&脱出劇なのだけど、これは演出が上手い。久々に劇場でヒーヒー言いそうになった。犯人が霊魂たちの情報から充分ヤバい奴と知ってるので、眠ってる男の横を通って脱出する時の緊張感は半端ない。
そしていじめられっ子だった主人公が、唯一心を許していた親友の霊と再会して、いい顔つきになって犯人と対峙して、背負っていたいろんなものを、この犯人との格闘の中で乗り越えていくという青春映画でもあった。
見事なエンタメでした。
全104件中、41~60件目を表示