「実に巧妙な脚本」ブラック・フォン 白波さんの映画レビュー(感想・評価)
実に巧妙な脚本
イーサンの新作って事で気になっていたのだけれど、公開当時は割に評判も芳しくなく、なんとなく見送ってしまいました。
そんな感じであまり期待もしてなかったのですが、これは本当面白い。
ずっと不穏、そして実に巧妙な脚本。
黒電話で少しずつ少しずつ明かされる情報。
妹の描き方も、その距離感が見事。
光と絶望を交互に織り交ぜた構成が最後まで引き込まれました。
「ゲーム」や「数字」、「多重人格症」を思わせる演出など、小さな伏線が多様に散りばめられていたのもとてもくすぐられました。
イーサンは冒頭以外には顔が出てこなく、代わりに主演の少年は表情を良く写し込むという対比も良かったですね。
それと弟はいきなり過ぎて声が出ましたよ。
ホラーとスリラーのバランスも良く、最後の最後まで楽しめました。
ちょっと加筆します。
この作品はキラークラウン、ジョン・ウェイン・ゲイシーの事件を知っているかいないかで大きく印象が変わると思います。
特にイーサン演じるグラバーの不可思議な行動や演出(マスクが変わったり、明らかにイーサンでない人間に入れ替わったりしている)や、細かな伏線が見えてきたりしました。
正気の沙汰でないキツい事件ではあるのですが、犯人の成り立ちや行動を知っておくと作品がより見えてくるでしょう。
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