ロストケアのレビュー・感想・評価
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成人式に上映して、10年毎に繰り返し観るべき
観る年齢、置かれている環境で感想が変わるだろうな。
認知症になると自分で死を選べなくなるかもしれない。
臓器提供意思表示と同様に自死選択も可能な世の中が来るかもしれない。来てほしい。
感動ではなく、心に刺さる作品だった。
役者の凄みと映像の巧みさ
マツケン、柄本明、長澤まさみの演技がなんといってもすごいです。
怒りやもどかしさ、絶望や救い…などなど、その1つひとつの表情に引き込まれます。やりとりの中でこみ上げる想いがあふれてる、って感じです。すごいです。見る価値ありますね。
あと、映像がうまいなぁと。4つの鏡に写す、2人の顔をスライドする、面会のシーンの反射したというか顔を並べる。きっと、もう一度見ると、また違う見え方になるんだろうなぁという深みがありました。
もちろん、ストーリーは考えさせられる内容で、重みのあるものでした。
少し引っかかったのは、あの娘のその後をチラッと見せたのは必要か?です。あの一場面だけ、なんの説明もセリフもない。どうしてああなったか、想像はつくけど、それにしても必要なのか?とモヤモヤしました。
綺麗ごとでは済まされない介護問題
高齢化社会における介護の実態と問題点を鋭く描いた社会派サスペンス。今後も増加する介護問題は綺麗ごとでは済まされない重要課題である。家族の在り方と人権について深く考えさせられる作品です。主演の松山ケンイチと長澤まさみはさすがの演技力で二人の掛け合いに圧倒された。
2023-46
涙腺崩壊、アイメイクに気をつけて
何故ウォータープルーフのマスカラにしなかったのか…
これほど後悔した作品は久しぶりでした。
お母さんに会いたい。
お父さんにも会いたい。
近々会いに行こうと思います。
子供の頃、父方の祖母と同居していました。
排便を失敗した廊下の汚物を片付けていたのは母でした。生涯忘れられないショックな光景です。
この前まで元気だったお婆ちゃんが老いる様。
認知症も始まっていましたが、そこまで酷くなる前に他界しました。
初めて父が、大人の男の人が声を上げて泣く姿を見ました。
そんなことをバーっと思い出しました。
老いとは、介護とは、死とは何か。
誰しもに訪れる逃れられないその道を真剣に考える素晴らしい機会をくれる作品です。
同じように「救った」という遺族からの「救われた」という言葉と「お父さんを返して」という言葉の意味。
冒頭の孤独死が意味していたこと、ラストシーンの対峙する人間同士となった2人の涙。
深く複雑な、難しいことをこれでもかと描いてきます。
柄本明は悪役から言葉が不自由になった認知症の人まで、どこまでも名演技でもはや化け物ですか。
マツケンも長澤まさみも戸田菜穂も坂井真紀も、みんなスゴい。鈴鹿くんもすごかった。
レビューの文章が散らかっていますが、心が乱されていてどうにもなりません。
落ち着いてから頭で色々考えて整理した言葉を書くよりも、これが観終えたばかりの率直な感想なのでこのまま掲載してしまいます。
もしこれを読んでくれた、鑑賞を迷っている人がいたら悪いことは言いません。
観た方が良いですよ。
由紀ちゃんは堕ち過ぎ
献身的な介護をする訪問介護センターの職員による被介護者連続殺人の話。
介護センター所長が利用者宅で死亡しているのがみつかると共に、その家に住む利用者も亡くなるという事件が発生する中で、その介護センターの利用者の死亡件数が他所の5~10倍にものぼることか発覚して巻き起こっていくストーリーで、サスペンスでは無く人の尊厳や死生観や介護等に纏わる感情と倫理を問う人間ドラマですね。
あっさりと斯波が容疑者として挙がる中で、41件の事件について検事による取り調べが行われて行くけれど、何でと聞かれた返答が開き直り過ぎというか、それは理由ではないだろうに…とちょっと違和感。
そして終盤の検事の吐露は、思っていても頭に過っても、立場上お前がそれをそいつに言うか?と…そこは思っても黙して対立し葛藤してなんぼだと思うのだけれど。まあ個人的意見ですが。
取りあげている問題は非常に悲しく重く、考えさせられるもので、難しい問題だけれどとても良かったのに、なんだかなぁ…。
そして益々PLAN〇〇は実際にあったら良いのにと考えてしまった。
穴に落ちた者
観て、そして語り合う機会に。
辛すぎる…。
星5つじゃ足りない。老人必鑑の作品
学生時代からずっと仲の良い友人の母親がホームに入居中らしいのだが行く度に「邪魔だと思ってるんでしょ。死ねばいいと思ってるんでしょ…」と当たって来て辛い。と嘆いていた。
俺たちももうすぐ還暦。
マツケンのセリフひとつひとつが胸に刺さる。
肉親だからこそその人格が壊れて行くのが辛いよ。
しかも親を見捨てる⁈って事が出来ない人間の弱さ。
良い人ほど絆って重くのしかかっていくんだなと。
出演者それぞれが子役に至る迄見事に機能している。しかもかなり高い次元。
柄本明は凄いとしか言いようがない。
そしてそれに応えるようにマツケンの演技も素晴らしい。
マツケンを追い込む長澤まさみもその背後にある両親の関係に揺れ動く心を見事に演じてた。
誰もが考えさせられる『老い』
歳とってしまった今だからこそ作品の世界に引き込まれます。
ラス前 坂井真紀とやすがお互い手を取り合ったのを見て救われました。
我が家もひと回り差があるので間違いなく迷惑かけるんだろうな…
賞レース前にサブスクなんかで観た人達で更なる盛り上がりが起こりそう…
それくらい凄い作品。
ロストケアという殉教行為
この映画の成功(と私は思ってます)の要因は、なんと言っても、原作では男性の大友検事を長澤まさみさんが演じたことです。
犯人とのやり取りの中で、次第に実態を失っていく正論は、凛とした佇まいの長澤まさみさんを通すことで、重たい現実に飲み込まれてあやふやなものになっていく〝理想の脆さ〟を際立たせます。生半可な男性検事だと正論や理想論が始めから胡散臭く見えかねないと思うのですが、長澤さんが語ると、取り敢えずは、ふむふむ、そうだよなとなります。
憧れの先輩に理想を見出していたけれど、介護現場の現実の重みに耐えかねて壊れてしまった由紀との並列対比が、後半への伏線でもあったのだと思います。
なぜ国家は(戦争や死刑という形で)人を殺していいのか。人が人を殺すのは、理由を問わず禁じられているのに。
罪悪感(=親を殺す)という呪縛から、解き放ってあげることがロストケアである、と信じる斯波が迎える最期は、いわば〝殉教〟であり、本人にとっては望むべき姿。だから、その覚悟が潔く映る。
正解など無いと分かっている重いテーマだけに、
『護られなかった者たちへ』と同様に、後味は苦いけれども、心を揺さぶられるし、乱されもする。
安全地帯にいて倫理を振りかざすこと。
穴の底にいる者ならば、国家にしか認められていない殺人という行為が許容されるのか(法律上、国家のみに与えられた特権を行使する者への処罰の妥当性)。
あーでもないこーでもない、と考えるのが好きな方には必見の作品です。
超高齢化社会を考える作品とはちょっとした違う
観る人の立場によって評価は変わるかも
安全な高みからどん底で這いずり回る人を見下せる人が、この作品を楽しめる
目を背けてはいけない
原作既読勢として設定改変にはモニョりますが柄本明氏が素晴らしかったので、それで
原作既読勢。
いろいろ物申したいことはありますが、まずは良い点から申し上げますと……
柄本明氏の起用ですね。
もうこれに関してはでかした素晴らしいよくぞこの逸材をこの役に当てたとしか言いようがございません。原作でも例の場面は大泣きしましたが、柄本父の演技が上乗せされたおかげで倍泣きしましたね。ええ、この映画は柄本父にチケット代を注ぎ込む作品と申し上げても過言ではございません。松ケン面白い髭の生え方してんなとか作品に関係ないこと思ったりしましたが、それでもあの場面は松ケン斯波の気持ちにシンクロしますね。いや泣くわあんなん。
さて、個人的に微妙だった点です。
いやごめんなさい。本当にこの作品で褒めるところ柄本氏の起用しかなかった。いえ、無論個々の役者さんは大好きです。はい。
①大友の設定について
原作の大友は男性です。
これに関しては作者の葉真中さんから「今の時代に即した設定」とのお言葉もありました。原作者了承の上の改変、ということですね。
個人的に私も女性にしたことについては、特に問題は無かったと思っています。
問題がその親の設定ですね。
原作では大友の父親を富裕層の有料老人ホームに入れています。そして父親はかなり成功した貿易商でした。
……で、なんでここを変えたのか。
父で良いじゃん、ではなく。今回の映画では《夫と離婚して保険外交員をしていた母》になっていたんですよね。
なんでそこ変えたんだろ。
あと、クリスチャン設定も「母まで」ですね。原作では《父の代からクリスチャン》です。
この設定改変が割とデカくて、要するに大友が斯波の存在を気にするか否かがこの辺由来だったりする。
なお、大友が父をホームに入れた時の葛藤も大幅カット、どころかほぼ無くなってましたね。
②介護保険法について
原作では作者さん何者ですかと思うほど徹底的に掘り下げて解説されていました。
……で、なんかここまで清々しく何も触れないとは思ってもみなかったです。この辺が劇中のいろんな方の行動の理由づけにもなったりするのですが。
③対話シーンの多さについて
正直、予告編で既に不安はありました。
で、見事に不安的中しました。
予算が足りなかったのでしょうか。本来であれば登場人物の動きで解説されるべき場面が、大河ドラマのナレ死並のスピードでセリフで処理されるというある意味超展開ですね。
すみません、これでも言葉選んでフォローしてるつもりです。でも実際そうなんだもん。仕方ないじゃん。
なんか登場人物が脈絡なく突然自分の過去のことを話し始め、周りもそれを気持ち悪がらずに受け入れるというパターンが非常に多かったです。
④ジャンルについて
原作は社会派ドラマです。
この映画は2時間サスペンスになりきれなかった人間ドラマです。
ぶっちゃけ途中で登場人物達が種明かしを始めた時点で、この後、名取裕子氏でも出てくるのかなと思いました。
結論。
柄本明氏の名演技は是非観てほしい。
ただ、原作既読勢の方はあくまで別物としてお楽しみいただきたい。
ただ、未読の方がこの作品を見て全体像が理解出来るかと言えば、ちょっとわからんなという感じはありました。
隙間からこぼれ落ちる砂
…いま直面する問題
高齢者の孤独死も含め
介護する人の負担が大きい
検事役の長澤まさみが
殺人犯役の松山ケンイチを質問攻め
して問い詰める場面で…
殺人犯の松山が殺人ではない
……救いであると
介護を通して家族が
抱える問題を現状を問うところで
検事の長沢が国としての法律を
切々と話すが全く心に響いてこない
表面上の様に感じてしまった
苦しんでいる人たちがいる現状
を見ないでいる
松山ケンイチの語るところで
死刑は殺人じゃないのか
という場面で法で定められているから
…正義としている
私たちの固定観念を揺らがす
松山が検事の長沢に問いかける
私達にも問いかけられている
ようにも思えた
長澤まさみが涙を流すところは
…感極まり
二人の演技に釘づけになった
そしてラストの部分も・・
父のことがあったから
殺人犯の気持ちに少し寄りそえた
裁判の時に
父ちゃんを返してと叫ばれて
ハッとした
皆、それぞれの想いあって
苦しくても生きていて欲しい
…家族の想い
殺害は
決して許される事ではない
けど…
一概に善し悪しを
決めることは出来ない
これから一層進む高齢化社会に
課題を含んだ問題
…映画
PLAN 75を思い出した
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