ロストケアのレビュー・感想・評価
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由紀ちゃんは堕ち過ぎ
献身的な介護をする訪問介護センターの職員による被介護者連続殺人の話。
介護センター所長が利用者宅で死亡しているのがみつかると共に、その家に住む利用者も亡くなるという事件が発生する中で、その介護センターの利用者の死亡件数が他所の5~10倍にものぼることか発覚して巻き起こっていくストーリーで、サスペンスでは無く人の尊厳や死生観や介護等に纏わる感情と倫理を問う人間ドラマですね。
あっさりと斯波が容疑者として挙がる中で、41件の事件について検事による取り調べが行われて行くけれど、何でと聞かれた返答が開き直り過ぎというか、それは理由ではないだろうに…とちょっと違和感。
そして終盤の検事の吐露は、思っていても頭に過っても、立場上お前がそれをそいつに言うか?と…そこは思っても黙して対立し葛藤してなんぼだと思うのだけれど。まあ個人的意見ですが。
取りあげている問題は非常に悲しく重く、考えさせられるもので、難しい問題だけれどとても良かったのに、なんだかなぁ…。
そして益々PLAN〇〇は実際にあったら良いのにと考えてしまった。
穴に落ちた者
観て、そして語り合う機会に。
辛すぎる…。
星5つじゃ足りない。老人必鑑の作品
学生時代からずっと仲の良い友人の母親がホームに入居中らしいのだが行く度に「邪魔だと思ってるんでしょ。死ねばいいと思ってるんでしょ…」と当たって来て辛い。と嘆いていた。
俺たちももうすぐ還暦。
マツケンのセリフひとつひとつが胸に刺さる。
肉親だからこそその人格が壊れて行くのが辛いよ。
しかも親を見捨てる⁈って事が出来ない人間の弱さ。
良い人ほど絆って重くのしかかっていくんだなと。
出演者それぞれが子役に至る迄見事に機能している。しかもかなり高い次元。
柄本明は凄いとしか言いようがない。
そしてそれに応えるようにマツケンの演技も素晴らしい。
マツケンを追い込む長澤まさみもその背後にある両親の関係に揺れ動く心を見事に演じてた。
誰もが考えさせられる『老い』
歳とってしまった今だからこそ作品の世界に引き込まれます。
ラス前 坂井真紀とやすがお互い手を取り合ったのを見て救われました。
我が家もひと回り差があるので間違いなく迷惑かけるんだろうな…
賞レース前にサブスクなんかで観た人達で更なる盛り上がりが起こりそう…
それくらい凄い作品。
ロストケアという殉教行為
この映画の成功(と私は思ってます)の要因は、なんと言っても、原作では男性の大友検事を長澤まさみさんが演じたことです。
犯人とのやり取りの中で、次第に実態を失っていく正論は、凛とした佇まいの長澤まさみさんを通すことで、重たい現実に飲み込まれてあやふやなものになっていく〝理想の脆さ〟を際立たせます。生半可な男性検事だと正論や理想論が始めから胡散臭く見えかねないと思うのですが、長澤さんが語ると、取り敢えずは、ふむふむ、そうだよなとなります。
憧れの先輩に理想を見出していたけれど、介護現場の現実の重みに耐えかねて壊れてしまった由紀との並列対比が、後半への伏線でもあったのだと思います。
なぜ国家は(戦争や死刑という形で)人を殺していいのか。人が人を殺すのは、理由を問わず禁じられているのに。
罪悪感(=親を殺す)という呪縛から、解き放ってあげることがロストケアである、と信じる斯波が迎える最期は、いわば〝殉教〟であり、本人にとっては望むべき姿。だから、その覚悟が潔く映る。
正解など無いと分かっている重いテーマだけに、
『護られなかった者たちへ』と同様に、後味は苦いけれども、心を揺さぶられるし、乱されもする。
安全地帯にいて倫理を振りかざすこと。
穴の底にいる者ならば、国家にしか認められていない殺人という行為が許容されるのか(法律上、国家のみに与えられた特権を行使する者への処罰の妥当性)。
あーでもないこーでもない、と考えるのが好きな方には必見の作品です。
超高齢化社会を考える作品とはちょっとした違う
観る人の立場によって評価は変わるかも
安全な高みからどん底で這いずり回る人を見下せる人が、この作品を楽しめる
目を背けてはいけない
原作既読勢として設定改変にはモニョりますが柄本明氏が素晴らしかったので、それで
原作既読勢。
いろいろ物申したいことはありますが、まずは良い点から申し上げますと……
柄本明氏の起用ですね。
もうこれに関してはでかした素晴らしいよくぞこの逸材をこの役に当てたとしか言いようがございません。原作でも例の場面は大泣きしましたが、柄本父の演技が上乗せされたおかげで倍泣きしましたね。ええ、この映画は柄本父にチケット代を注ぎ込む作品と申し上げても過言ではございません。松ケン面白い髭の生え方してんなとか作品に関係ないこと思ったりしましたが、それでもあの場面は松ケン斯波の気持ちにシンクロしますね。いや泣くわあんなん。
さて、個人的に微妙だった点です。
いやごめんなさい。本当にこの作品で褒めるところ柄本氏の起用しかなかった。いえ、無論個々の役者さんは大好きです。はい。
①大友の設定について
原作の大友は男性です。
これに関しては作者の葉真中さんから「今の時代に即した設定」とのお言葉もありました。原作者了承の上の改変、ということですね。
個人的に私も女性にしたことについては、特に問題は無かったと思っています。
問題がその親の設定ですね。
原作では大友の父親を富裕層の有料老人ホームに入れています。そして父親はかなり成功した貿易商でした。
……で、なんでここを変えたのか。
父で良いじゃん、ではなく。今回の映画では《夫と離婚して保険外交員をしていた母》になっていたんですよね。
なんでそこ変えたんだろ。
あと、クリスチャン設定も「母まで」ですね。原作では《父の代からクリスチャン》です。
この設定改変が割とデカくて、要するに大友が斯波の存在を気にするか否かがこの辺由来だったりする。
なお、大友が父をホームに入れた時の葛藤も大幅カット、どころかほぼ無くなってましたね。
②介護保険法について
原作では作者さん何者ですかと思うほど徹底的に掘り下げて解説されていました。
……で、なんかここまで清々しく何も触れないとは思ってもみなかったです。この辺が劇中のいろんな方の行動の理由づけにもなったりするのですが。
③対話シーンの多さについて
正直、予告編で既に不安はありました。
で、見事に不安的中しました。
予算が足りなかったのでしょうか。本来であれば登場人物の動きで解説されるべき場面が、大河ドラマのナレ死並のスピードでセリフで処理されるというある意味超展開ですね。
すみません、これでも言葉選んでフォローしてるつもりです。でも実際そうなんだもん。仕方ないじゃん。
なんか登場人物が脈絡なく突然自分の過去のことを話し始め、周りもそれを気持ち悪がらずに受け入れるというパターンが非常に多かったです。
④ジャンルについて
原作は社会派ドラマです。
この映画は2時間サスペンスになりきれなかった人間ドラマです。
ぶっちゃけ途中で登場人物達が種明かしを始めた時点で、この後、名取裕子氏でも出てくるのかなと思いました。
結論。
柄本明氏の名演技は是非観てほしい。
ただ、原作既読勢の方はあくまで別物としてお楽しみいただきたい。
ただ、未読の方がこの作品を見て全体像が理解出来るかと言えば、ちょっとわからんなという感じはありました。
隙間からこぼれ落ちる砂
…いま直面する問題
高齢者の孤独死も含め
介護する人の負担が大きい
検事役の長澤まさみが
殺人犯役の松山ケンイチを質問攻め
して問い詰める場面で…
殺人犯の松山が殺人ではない
……救いであると
介護を通して家族が
抱える問題を現状を問うところで
検事の長沢が国としての法律を
切々と話すが全く心に響いてこない
表面上の様に感じてしまった
苦しんでいる人たちがいる現状
を見ないでいる
松山ケンイチの語るところで
死刑は殺人じゃないのか
という場面で法で定められているから
…正義としている
私たちの固定観念を揺らがす
松山が検事の長沢に問いかける
私達にも問いかけられている
ようにも思えた
長澤まさみが涙を流すところは
…感極まり
二人の演技に釘づけになった
そしてラストの部分も・・
父のことがあったから
殺人犯の気持ちに少し寄りそえた
裁判の時に
父ちゃんを返してと叫ばれて
ハッとした
皆、それぞれの想いあって
苦しくても生きていて欲しい
…家族の想い
殺害は
決して許される事ではない
けど…
一概に善し悪しを
決めることは出来ない
これから一層進む高齢化社会に
課題を含んだ問題
…映画
PLAN 75を思い出した
心に響かない
テーマは興味深く、簡単に善悪の判断をつけられない問題。高齢化社会を生きる日本人にとっては、身内の介護を巡る心情への共感や理解も深いと思います。
なのに、本作はすごく薄っぺらい倫理観とそれっぽい言葉を並べただけで、綺麗に介護問題描いてみました的なものにしか見えず、全く心に響きませんでした。
俳優陣の演技が悪いとかではなく、映画の作りがひどい…。何度も同じような鏡に映った姿や反射を多用し、ドアップの連続、カメラワークに監督の主張が強すぎてノイズになっています。
とってつけたような由紀ちゃんのその後とか何故差し込んだのか分からないし、介護を巡る当人や家族の想いも中途半端。肝心の介護シーンも、もっともっと目を背けたくなるものなはずなのに、ふわ〜っとしか描かない。
そもそも検事と被告人の関係が非現実的過ぎて入ってこなくてイライラ…。どうしてこの検事は最初から偉そうに説教ばかりするのか…最後の展開も都合の良すぎる…。
きっと原作は素晴らしいのだと思いますが、映画としては残念なものでした。
酷評ごめんなさい。
老後問題と介護問題
綺麗事にできない介護の辛さ。
介護の辛さは経験してみないと分からない。特に認知症が出るとコミュニケーションもままならなくなり、映画のように、私も思わず親でも手を上げたくなるときもあった。だからといって殺してはいけないと言うのは、その通りだが、実際に親を殺さずとも、自分が自殺した人もいるのだ。決して綺麗事にできないことをうまくストーリーにしている。
介護未体験の人には分かりにくいと思うが、認知症は記憶がすべて一度に失われるわけでなく、柄本明が演じた父親のように、まだらになるので、クリアに覚えていることも、理屈通りに話せるときもあったりする。だからといって、普段の苦労がそれで償われるかというと、それほど現実は甘くない。
私も親を施設に入れたとき、そして親が死んだときは、正直なところ、解放感があった。後から悲しくなることもあるが、それまでにとっくに涙も尽きている感じなのだ。だから、この犯人を単純に許せないと語ってほしくない。救われたという家族がいてもおかしくはない。それほど過酷なことなのだ。
長澤まさみも松山ケンイチも力演していて、さすがだと思った。綾戸智恵さんのお婆さん役もよかった。
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