ロストケアのレビュー・感想・評価
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ナメてました
正直この作品、劇場で観ようか観まいか迷っていました。
「この(前田)監督の作品の傾向は・・・」とか「この手の題材は・・・」とかいろいろ理由をつけてみたものの、結局は逃げられない気がしたのです。で、鑑賞した感想ですが、ちょっと驚きましたね、ナメてました。
私、原作は未読です。ただ、本であればこの「攻めた感じ」もよくありますが、これを映画で、しかも松山ケンイチ&長澤まさみという主演でやるプロデューサー有重陽一氏、あっぱれです。
そして実際、その意気込みに前田監督、そして脚本の龍居由佳里さんが見事に応えています。この手の内容にありがちな「欺瞞すら感じてしまう設定」や「過剰でノイズにすらなり兼ねない演出」は一切ありません。
ちなみに私自身はこの作品、泣けるなどの感情は全くありませんでした。しかしながら、これだけ納得がいって、自分の体験や思いを投影しながら観ると、まるで「代弁」とすら感じてしまう内容で思わず唸ります。とは言え、この作品に対して「全く以て同意できない」という意見も理解できます。いずれにしても大事なことは、(観たくないものからも)目を逸らさないこと。そして倫理という概念で単純に「タブー」としてしまうことによって、残酷な立場を強いられる人もいる不条理さを知り、まずは議題に挙げなければいけないことだと感じます。
そしてまた、各登場人物それぞれのキャスティングと、その役を演じる役者の皆さん素晴らしいです。特に私の印象に残った4名。
まずは何と言っても松山ケンイチさん。相変わらず、演じる役に合わせて感じさせる「温度感」が素晴らしい。今作の斯波役では、彼の流す「涙の温かさ」すら感じてきそうで、対する大友検事(長澤まさみ)を追い詰め、そして・・・すみません、これ以上は言えません。あとは作品を観て皆さんが感じてください。
そして、斯波の父・正作役の柄本明さん。この方のモンスターぶりも言わずもがなですが、今作はまた輪をかけて凄みがあり、この作品に違和感を感じさせない彼の演技こそが何より、私を作品に惹き込ませた要因と思わせてくれます。
さらには、坂井真紀さん。これくらいの年齢層の女性俳優の配役には割と「トレンド」みたいなものを感じますが、最近は特に坂井さんな気がします。まぁ上手ですよね。安心感がある。素晴らしい。そして、その対としての役・春山を演じる(ずんの)やすさん。もう、ナイスキャスティングですね。ハマりすぎてて演技力以上のものを感じ、思わず羽村(坂井)さんに幸せを願ってやまざるを得ません。
最後に一つ、いろんな意味で斯波に影響されまくる若者・由紀(加藤菜津)は意外に興味深い存在でしたね。彼女も違った意味で救いが必要な一人です。でも正直、私には救い難い存在ですね、、いやはや。。
自分の身内(父母夫)の介護と、その後介護福祉士として働いていたので...
うーん 悲しい話ですね
要するに あの世も 金次第 て事でしょうか?
犯人 松山ケンイチと 検事 長澤まさみ の決定的な違いは金。
世の中 金がないと 最後には こうなるって事ですよね。
私だったら と考えると せめて 父親と別居して 生活保護を受けやすいように
ありとあらゆる 工夫 をするかもしれませんが。
なんにしても 世の中 知恵と 金が無いと 惨めな穴に 落ちて行く事でしょうか?
安全地帯って。
重いテーマを、様々な角度から語る良い映画
強いメッセージあるのは分かります
絆は呪縛。
またもや柄本明さんの迫真の演技が光る作品でした。
ある男、シャイロック。。どこにでも出演されているけれど、毎回違う人物なのに本当にいそうな人達ばかり。そして、
今回の役どころ、脳梗塞に倒れ、片手が動かしづらくなり骨折で寝たきりになって認知の進んだ高齢のおじいさんを見事に演じられていました。
話もだんだん上手くできなくなる老人、だけど映画だから本当に聞き取れなくては映画にならないから、観客が聞き取れるギリギリのセリフ回しで話していて見事でした。
祖父もそうでしたが、やはり加齢などにより手がうまく動かせなくなり、細かい作業などがおぼつかなくなると、若い頃の上手く色んな作業が出来ていた頃の自分を思い出してやるせなくて高齢者はかんしゃくを起こしてしまいがち。。だけど見守る家族にはその手などを治してあげることも出来ないので、何もしてあげられないもどかしさと、高齢の親や祖父母の苛立ちを感じて周りの家族も苦しい。
そんな家族のやるせなさを、柄本明さんと松山ケンイチさんが見事に演じていました。
最後に父親を手にかける主人公の場面で、松山ケンイチさんが泣いていても涙の量はあまり多くなく、代わりに喉の辺りが激しく震え、本当に嗚咽にあえいでいる人物になっており、喉の動きだけで主人公の全ての悲しみを表現していた松山さんの演技力もやはり凄い、と圧倒されました。
そして「絆は呪縛」という言葉が深く胸に沁みました。。
絆は普段なら喜びを感じるものだけれど、場合によってはそのために苦しみや耐え難い苦痛を伴うこともある。
絆を断ち切ることが場合によっては救いになることもある、というのは腑に落ちました。勿論断ち切ってほしくない人にとっては主人公は悪なんでしょうけど。。
悪には思わない、救われたと思う遺族もいて、とても難しい問題でした。
穴に落ちた人と安全な所にいる人
一度穴に落ちたら二度と這い上がれない境遇にいた犯人(松山ケンイチ)と安全な場所にいる検事(長澤まさみ)。
人としての優しさを感じたのは犯人斯波でした。
彼は脳梗塞で倒れ認知症になった父を介護するために一緒に住みバイトも辞め貯金も底をつき三食食べられない状態で生活保護を申請するも断られてしまう。
一方検事の長澤まさみは母親を老人ホームに入れて月に一度だけ母親に顔を見せるだけ。母親(藤田弓子)は認知症にかかっており娘に「そんなに毎週来なくていいのよ」と。子供時分に離婚して離れて音信のない父親を捜そうともしない。
決して許されることのない殺人ではあるが、斯波の行いにより救われた人が何人もいた。検事が斯波を極刑にするために遺族に問うと「救われました」と。また、小さな女の子を一人でパートで働き育てている女性には新たなパートナーが見つかり幸せな道を歩み始める。
斯波の父親役柄本明が素晴らしい。脳梗塞を患った人をよく研究してると思った。亡き父の事を思い出し涙が溢れました。
人生の締めくくり方
鈍感な社会
高齢化社会の裏で、福祉の穴からこぼれ落ち、誰にも気付いてもらえない人々は確実にいる。殺すことでそれを救ったと主張する介護士斯波(しば)と、対決する検事大友の、どちらが正義なのか。もう目を背けてはいけないテーマです。
自身の辛い経験から、確固たる信念を持っている斯波(松山ケンイチ)に対して、正義と法の遵守精神で断罪しようとする大友(長澤まさみ)の方に迷いがあります。
当人の意思を確認せずに大量殺人を行なった斯波に正義など無い、はずなのに、本当にそうなんだろうか、と観る者に思わせてしまう松山さんの説得力ある演技でした。
映画としては、演出にわざとらしさもあって、残念でした。
由紀ちゃんの取り乱し方が中学生みたいだったし、風俗嬢になっていたのには、はぁ?と思いました。戸田菜穂さんも、表情だけで分かるのに、食器をひっくり返したり、ヒステリックに叫んでましたね。
大友は裁判の後で斯波に面会して自分の胸中を告白します。父親と連絡を取らなかった後悔はあるにしても、大友の自己責任のように罪悪感を持たせるのは違うかなと感じました。それに、検事が被告に告白をして楽になりたいのだろうか、とすっきりしませんでした。
凄まじい
図らずも浮き彫りになる「人の一生」ってやつ
いきなりの脱線からスタートで、しかも政治の話からです。
セキュリティ・クリアランス制度(法)の今国会成立を目指す高市早苗経済安全保障担当大臣への、野党とマスコミの執拗な攻撃には、さすがに怒ってます。作成者も作成時期も不明な「行政文書」なんつー、仰々しく呼ばれている、ショボいメモを盾に取り、辞任要求。マスコミは関係者の証言を切り取って、逆の意味にしか理解できないであろう内容で報道を続ける。今のネット時代、そんなんに騙される有権者が、どんだけいると思ってます?
思い起こせば。
2009年の夏に政権を取った民主党。その年の秋、某在日外国人のための「社団」の会長は、その年次のパーティの壇上で、「これで、日本社会は裏も表も我々が牛耳った」と高々に宣言。さすがに、このカミングアウトのインパクトたるや。夏の総選挙以降、O一郎の「私の母は済州島出身の海女」をはじめとした、数々のカミングアウトで、その正体が明らかになった、と言うか、自爆的に明かしてしまった彼らですが。さすがに「まずいぞ、これは」って事で、大慌てで放送法を改正。「偏向報道したら停波」ってことにしてしまったのは、その直後と記憶。
暴力団潰し・パチンコ潰し・K国への援助の停止・NKへの制裁、などなどは暗殺された安部元首相を憎悪するに十分だったでしょうが、セキュリティ・クリアランスは、更にインパクトがあると思われ。だってですよ。特定機密保護法と組み合わせれば、国会議員すら出自を明らかにしなければ、安全保障委員会への参加が認められない、ってことになりかねませんから。
で、なんで、こんな話からになるのかと言うと。
こういう人たちが作った、製作に名を連ねた映画が多すぎるんですよ。事実に基づかない虚偽にあふれたドキュメンタリーもどきはもとより。でたらめ内容の社会派の物語も乱発。手を変え品を変え、よくもまぁ、これだけの嘘を思いつくもんだと。
と言うわけで、特定の新聞社・特定のTV局・特定の広告代理店が絡む映画の大半が、大嫌いなワタクシですが。
この映画、製作に、それらが入ってないんですよ。
日活と東映&東映の関連会社のみ。
映画屋が作った、社会派の映画。
もうね。それだけで好感度、爆上がりなんだけどw
生活に行き詰まり、生活保護の申請を行うも、冷淡な態度で追い返される斯波。京都で起きた、母と息子さんの心中未遂事件と重なります。制度運用の問題点を、改めて突きつけます。共産党に付き添われた者や、暴力団が持ち込んだホームレスには簡単に生活保護を認めていると言われており、現実に、そうした実態を暴露する人も多いという、今の世の中。本当に支援を必要をしている人たちを、救えていない行政に憤りを覚えつつ。
親の世話になり成長し、年老いた親の面倒を見る。自分も年を取れば、誰かの世話になる。親子と言う関係は、途切れることが無い。いかなる事情があれども、いかなる状況であっても、それだけは忘れてはならない。人として生きていくのならば。
って言う結び。
それでもなお。
斯波の主張する「救済」が必要だというのも、真っ向から否定できないところはある訳で。
私たちは、どんな答えを出せばいいのでしょうか?
って言う映画でした。
でですね。「しんかめ」鑑賞直後に、これを観たんですよ。
もうね。このGAPの凄まじさですよ、長澤まさみのw
日本アカデミーが、まともに機能するのであれば、と言うか、まともな選は期待しちゃいけない代物にはなってるけどw
もしも、まともに選ぶのであれば、主演女優は、ここ数年の邦画で圧倒的だったと確信できる、この長澤まさみに確定ですわ。
良かった。
とっても。
そこで一つ。真面目に質問したいんですよ。
長澤まさみさんに。
「サソリオーグは楽しかったですか?」
救いとは…⭐︎
介護施設で働く松山ケンイチ演じる斬波が、施設利用者をニコチン注射で殺す。
発覚して、事件となった際の担当が長澤まさみ演じる大友。
全編、この二人の闘いとも言える映画。
聖書の黄金律と言われる「何事でも人々からしてもらいたいことは、すべてその通り人々にも
してあげなさい」、この言葉を自身の解釈で行動していく斬波。
斬波を批判し、弾劾しようとしながらも自身の状況と重ねて揺れる大友。
この二人の演技が素晴らしい。
他の方がコメントされているように、また柄本明が斬波の父親として登場した時は
本当に良く出演すると思ったが、やはり彼じゃないとこの役は演じられないのでは
ないかと感じてしまった。
冒頭の孤独死した人が、大友の別れた父親だったという伏線の回収も見事だった。
もちろん、斬波の行動は犯罪なのであるが、それが彼が言う救い(ロストケア)に
なるのか…
答えは、きっと誰にもわからないものなのではないか。
自分も父が認知症になって、半年弱 同居した際は家族崩壊の瀬戸際だった。
斬波が言うように、安全地帯にいる人には何も言えないと思う。
逆に安全地帯から外れてしまっても、ずっと寄り添い続けられる人はいる。
救いかどうかは今もわからないが正義とは何か違うのではないか…
そんなことを考えさせられたすごく気持ちに刺さる作品だった。
我が身を
折り鶴が語る、人間の成れの果て
救われるとは
圭作だと思います。
作り話なんですが、映画にありがちな全く突拍子もない話ではなく、実際そういうようなことがあってもおかしくないような内容でした。(42人はちょっとやり過ぎかな)
ミステリーではなく、心理戦みたいな感じもよかったし、過剰な演出がないのもよかったと思います。
私も父を老人ホームに入れてまして3年前に亡くなったんですが、自分は「安全地帯」にいたんだなと改めて思いました。確かに(仕方ない事情で)穴に落ちてしまう人も少なからずいるんですよね。
私はホームに二週に一度面会に行っていましたが、そこにいる方々は認知症の症状があるのか会話も表情もない人も多く、生きているというより「生かされている」というように感じていました。(そのような方々は家族もあまり来ないようでした)
安全地帯にいると家族は壮絶な状況にはなりませんが、ホームにいる当人は本当に「救われている」と言えるのだろうかとも、この映画を観て考えさせられました。
松山ケンイチの罪と罰!
日本の社会のどこでも起こりうる介護の問題を、法の立場の検事の長澤まさみと、過酷な現場で戦う介護士の松山ケンイチを対峙させ、本当の介護とは何かを学ばさせていただいた傑作だと思います。彼の行動原理は聖書にある「人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい」ですが、いわば彼は終末に苦しむ本人と、振り回される家族たちの苦悩を救って、42人を殺害して神になろうとしたのかもしれません?作品の中では、終末の介護されるものたちはあまりにも悲惨です。特に痴呆になるのは、4人に1人と言われている現実を考えると、映像の中でリアルに繰り広げられる苦闘に涙が出ます。特に松山の父親の嘱託殺人に至るまでの経緯は凄絶すぎて見ていられません。それだからこそ、松山の行為は本当は正義なのかもしれないという思いにさせられてしまうほど展開は秀逸です。片や検事である長澤には痴呆になりかけた母親がいます。彼女はあくまでも安全地帯にいての介護ですから、悲惨さはありません。そんな彼女が、果たして行政の保護を受けることもない松山を自信を持って裁くことができるのでしょうか?その二人の対峙は、介護の現実をどうやって乗り越えるべきかを、真摯に取り組むべきだと強く示唆しているように思えます。この二人のぶつかる正義のどちらにも軍配はあげませんが、私たちはこの介護の問題を、正々堂々と乗り越えていくべきだとこの作品は教えてくれているような気がしました。
追記 人間は迷惑をかけて生きる生き物です。介護は誰びとたりとも政治の力で保護すべきです。また誰びとたりとも介護によって幸せな終末を迎えるべき権利があると考えます。
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