ロストケアのレビュー・感想・評価
全408件中、301~320件目を表示
鈍感な社会
高齢化社会の裏で、福祉の穴からこぼれ落ち、誰にも気付いてもらえない人々は確実にいる。殺すことでそれを救ったと主張する介護士斯波(しば)と、対決する検事大友の、どちらが正義なのか。もう目を背けてはいけないテーマです。
自身の辛い経験から、確固たる信念を持っている斯波(松山ケンイチ)に対して、正義と法の遵守精神で断罪しようとする大友(長澤まさみ)の方に迷いがあります。
当人の意思を確認せずに大量殺人を行なった斯波に正義など無い、はずなのに、本当にそうなんだろうか、と観る者に思わせてしまう松山さんの説得力ある演技でした。
映画としては、演出にわざとらしさもあって、残念でした。
由紀ちゃんの取り乱し方が中学生みたいだったし、風俗嬢になっていたのには、はぁ?と思いました。戸田菜穂さんも、表情だけで分かるのに、食器をひっくり返したり、ヒステリックに叫んでましたね。
大友は裁判の後で斯波に面会して自分の胸中を告白します。父親と連絡を取らなかった後悔はあるにしても、大友の自己責任のように罪悪感を持たせるのは違うかなと感じました。それに、検事が被告に告白をして楽になりたいのだろうか、とすっきりしませんでした。
凄まじい
現実味がありすぎてなにが悪いのかわからなくなった。
お互いが目を逸らさずに主張し合うシーンは圧巻!
こういう家族の絆を見ると自分はウルッとくるのだが逆にこれは驚愕?なのか違う感情が強くて涙が出なかった。。
いやぁ、、、凄い内容の濃い映画体験だった。。。
☆5にしたい!と思ったけど、奇をてらったようなアングルの数々がちょっと見にくかったので少し引かせてもらいました。緊迫感と飽きさせないため狙ったんだと思いますけど。
図らずも浮き彫りになる「人の一生」ってやつ
いきなりの脱線からスタートで、しかも政治の話からです。
セキュリティ・クリアランス制度(法)の今国会成立を目指す高市早苗経済安全保障担当大臣への、野党とマスコミの執拗な攻撃には、さすがに怒ってます。作成者も作成時期も不明な「行政文書」なんつー、仰々しく呼ばれている、ショボいメモを盾に取り、辞任要求。マスコミは関係者の証言を切り取って、逆の意味にしか理解できないであろう内容で報道を続ける。今のネット時代、そんなんに騙される有権者が、どんだけいると思ってます?
思い起こせば。
2009年の夏に政権を取った民主党。その年の秋、某在日外国人のための「社団」の会長は、その年次のパーティの壇上で、「これで、日本社会は裏も表も我々が牛耳った」と高々に宣言。さすがに、このカミングアウトのインパクトたるや。夏の総選挙以降、O一郎の「私の母は済州島出身の海女」をはじめとした、数々のカミングアウトで、その正体が明らかになった、と言うか、自爆的に明かしてしまった彼らですが。さすがに「まずいぞ、これは」って事で、大慌てで放送法を改正。「偏向報道したら停波」ってことにしてしまったのは、その直後と記憶。
暴力団潰し・パチンコ潰し・K国への援助の停止・NKへの制裁、などなどは暗殺された安部元首相を憎悪するに十分だったでしょうが、セキュリティ・クリアランスは、更にインパクトがあると思われ。だってですよ。特定機密保護法と組み合わせれば、国会議員すら出自を明らかにしなければ、安全保障委員会への参加が認められない、ってことになりかねませんから。
で、なんで、こんな話からになるのかと言うと。
こういう人たちが作った、製作に名を連ねた映画が多すぎるんですよ。事実に基づかない虚偽にあふれたドキュメンタリーもどきはもとより。でたらめ内容の社会派の物語も乱発。手を変え品を変え、よくもまぁ、これだけの嘘を思いつくもんだと。
と言うわけで、特定の新聞社・特定のTV局・特定の広告代理店が絡む映画の大半が、大嫌いなワタクシですが。
この映画、製作に、それらが入ってないんですよ。
日活と東映&東映の関連会社のみ。
映画屋が作った、社会派の映画。
もうね。それだけで好感度、爆上がりなんだけどw
生活に行き詰まり、生活保護の申請を行うも、冷淡な態度で追い返される斯波。京都で起きた、母と息子さんの心中未遂事件と重なります。制度運用の問題点を、改めて突きつけます。共産党に付き添われた者や、暴力団が持ち込んだホームレスには簡単に生活保護を認めていると言われており、現実に、そうした実態を暴露する人も多いという、今の世の中。本当に支援を必要をしている人たちを、救えていない行政に憤りを覚えつつ。
親の世話になり成長し、年老いた親の面倒を見る。自分も年を取れば、誰かの世話になる。親子と言う関係は、途切れることが無い。いかなる事情があれども、いかなる状況であっても、それだけは忘れてはならない。人として生きていくのならば。
って言う結び。
それでもなお。
斯波の主張する「救済」が必要だというのも、真っ向から否定できないところはある訳で。
私たちは、どんな答えを出せばいいのでしょうか?
って言う映画でした。
でですね。「しんかめ」鑑賞直後に、これを観たんですよ。
もうね。このGAPの凄まじさですよ、長澤まさみのw
日本アカデミーが、まともに機能するのであれば、と言うか、まともな選は期待しちゃいけない代物にはなってるけどw
もしも、まともに選ぶのであれば、主演女優は、ここ数年の邦画で圧倒的だったと確信できる、この長澤まさみに確定ですわ。
良かった。
とっても。
そこで一つ。真面目に質問したいんですよ。
長澤まさみさんに。
「サソリオーグは楽しかったですか?」
救いとは…⭐︎
介護施設で働く松山ケンイチ演じる斬波が、施設利用者をニコチン注射で殺す。
発覚して、事件となった際の担当が長澤まさみ演じる大友。
全編、この二人の闘いとも言える映画。
聖書の黄金律と言われる「何事でも人々からしてもらいたいことは、すべてその通り人々にも
してあげなさい」、この言葉を自身の解釈で行動していく斬波。
斬波を批判し、弾劾しようとしながらも自身の状況と重ねて揺れる大友。
この二人の演技が素晴らしい。
他の方がコメントされているように、また柄本明が斬波の父親として登場した時は
本当に良く出演すると思ったが、やはり彼じゃないとこの役は演じられないのでは
ないかと感じてしまった。
冒頭の孤独死した人が、大友の別れた父親だったという伏線の回収も見事だった。
もちろん、斬波の行動は犯罪なのであるが、それが彼が言う救い(ロストケア)に
なるのか…
答えは、きっと誰にもわからないものなのではないか。
自分も父が認知症になって、半年弱 同居した際は家族崩壊の瀬戸際だった。
斬波が言うように、安全地帯にいる人には何も言えないと思う。
逆に安全地帯から外れてしまっても、ずっと寄り添い続けられる人はいる。
救いかどうかは今もわからないが正義とは何か違うのではないか…
そんなことを考えさせられたすごく気持ちに刺さる作品だった。
我が身を
役者はみんな良かった。長澤まさみと松山ケンイチの芝居合戦!…と思いきや、柄本のお父ちゃんが持ってった。凄まじい演技…
ストーリーは予告編で90%くらい分かっちゃうんだけど、それで良かったのかは疑問。介護に関わる問題をきちんと描いてはいるが…
我が身を振り返り、老父母がいつまで無事に暮らせるのかと思い、今度帰省しようと考えた…そういう意味はあると思うが。
折り鶴が語る、人間の成れの果て
介護する家族、介護される立場の人間
深い穴の底には目を背けたくなる現実がありました。
介護士の宗典が、ロストケアと生じて
日々、苦しさややるせなさを感じて精神的に
追い込まれていく家族を介護から解き放つ!
人間が理性を失ってしまう!!
愛と悲しみが表現されていました。
検事の大友が、自分自身が父親を死に追いやった現実に気が付いたときの頑なな表情!
老人ホームにいる母親にようやく父親が亡くなったことを伝えられたのは、ロストケアをした介護士の存在があったかもしれないと
思いました。
救われるとは
圭作だと思います。
作り話なんですが、映画にありがちな全く突拍子もない話ではなく、実際そういうようなことがあってもおかしくないような内容でした。(42人はちょっとやり過ぎかな)
ミステリーではなく、心理戦みたいな感じもよかったし、過剰な演出がないのもよかったと思います。
私も父を老人ホームに入れてまして3年前に亡くなったんですが、自分は「安全地帯」にいたんだなと改めて思いました。確かに(仕方ない事情で)穴に落ちてしまう人も少なからずいるんですよね。
私はホームに二週に一度面会に行っていましたが、そこにいる方々は認知症の症状があるのか会話も表情もない人も多く、生きているというより「生かされている」というように感じていました。(そのような方々は家族もあまり来ないようでした)
安全地帯にいると家族は壮絶な状況にはなりませんが、ホームにいる当人は本当に「救われている」と言えるのだろうかとも、この映画を観て考えさせられました。
松山ケンイチの罪と罰!
日本の社会のどこでも起こりうる介護の問題を、法の立場の検事の長澤まさみと、過酷な現場で戦う介護士の松山ケンイチを対峙させ、本当の介護とは何かを学ばさせていただいた傑作だと思います。彼の行動原理は聖書にある「人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい」ですが、いわば彼は終末に苦しむ本人と、振り回される家族たちの苦悩を救って、42人を殺害して神になろうとしたのかもしれません?作品の中では、終末の介護されるものたちはあまりにも悲惨です。特に痴呆になるのは、4人に1人と言われている現実を考えると、映像の中でリアルに繰り広げられる苦闘に涙が出ます。特に松山の父親の嘱託殺人に至るまでの経緯は凄絶すぎて見ていられません。それだからこそ、松山の行為は本当は正義なのかもしれないという思いにさせられてしまうほど展開は秀逸です。片や検事である長澤には痴呆になりかけた母親がいます。彼女はあくまでも安全地帯にいての介護ですから、悲惨さはありません。そんな彼女が、果たして行政の保護を受けることもない松山を自信を持って裁くことができるのでしょうか?その二人の対峙は、介護の現実をどうやって乗り越えるべきかを、真摯に取り組むべきだと強く示唆しているように思えます。この二人のぶつかる正義のどちらにも軍配はあげませんが、私たちはこの介護の問題を、正々堂々と乗り越えていくべきだとこの作品は教えてくれているような気がしました。
追記 人間は迷惑をかけて生きる生き物です。介護は誰びとたりとも政治の力で保護すべきです。また誰びとたりとも介護によって幸せな終末を迎えるべき権利があると考えます。
映画の終わらせ方に苦労したろうな
これが正義だと思われても困る。答えはまだないんですよと言いたいんだろう。
鏡やガラスの反射映像が多いが善と悪、本音と建前が複雑に絡んでくる感じがいい。凛とした検事長澤と介護松山の対比も良かった。
ある程度金で解決する問題。言い方は悪いが現実だ。
その金は個人的に貯めたものでも税金でも良い。映画の中でも地獄になるのは検事長澤ではない。今、団塊世代が後期高齢者になりつつあるけど人口構成を考えると地獄の本番はこれから。
PLAN75やドクターデスなどに続く問題提起映画。経済学者の「高齢者は集団自決」論もあってなんとなく社会の方向が決まってゆく現場を見てるんだろうな。
他人事ではない
介護はなんとなく大変なものだと漠然と考えていましたが、この映画を見て過酷な状況に陥っている人がいること、他人事ではなく自分にも起こりうることだと感じました。
見たくないものから目を背けてしまう現代社会の状況がリアルに伝わり、今見るべき映画だと思います。
長澤まさみや松山ケンイチをはじめ、登場する俳優たちの熱い演技も見どころです。
ゴダールは尊厳死を選んだ。
ひとつの天秤があると仮定する。
左の皿に、命、を乗せる。
右の皿に、エチケット、マナー、ルール、法律、憲法を乗せても、
左の皿は下がったまま。
法律も憲法も、
人間が生きやすいように、
作ったもの、
数字や時間も概念に過ぎない。
確かに存在するのは、
地球と命。
法律に従うと、、、
は、
本作には通用しない。
絆、尊厳を右の皿に乗せる?
いや、
左の皿、命、に含まれている?
ゴダールは尊厳を右の皿に乗せた。
ラストの、
マツケンと、
長澤まさみの四つの眼に、
ジーザス・クライスト!
久しぶりに号泣
国家試験が終わり、
ストレス発散も兼ねて前から気になっていた、
すごく泣けそうなこの映画を試験終わりに鑑賞。
もうたびたびの号泣でした
お父さんからの連絡、
私も忙しさや煩わしさから
折り返してこなかったこと、すごく反省した
小さい頃に親から褒めてもらったこと、
それを今でも求めていること、それにも気づいた
いつの間に大人になったけど、小さい頃の思い出とか気持ちは意外と鮮明かもしれない
沢山泣いた、今でも泣ける
いつもエンドロール長すぎ、とか思うこと多いけど、
今日は余韻だけで終わりまで泣けたし、なんなら短く感じた
なんなら、もっと長く余韻に浸って泣けたなあれは。
大満足でした!
おもしろかったね。 普通の起承転結みたいな見せ方じゃないし色や立場...
おもしろかったね。
普通の起承転結みたいな見せ方じゃないし色や立場のコントラストが引き立っていた。
かつて自分がドラマでよく見た方々(坂井さん戸田さん)が出ている事に後々気付いて胸熱。
それぐらい置かれている立場の悲壮感が漂っていたということか。
救ったのか殺したのかではなく殺して救ったのである
原作はミステリー小説なのだが本作は推理というかなりおいしい部分をそっくり捨てて松山ケンイチ演じる介護士が42人を殺害したことをあらかじめ観客に知らしめた上で物語を展開しており「羊たちの沈黙」や「死刑にいたる病」などのサイコサスペンスへの期待もバッサリと裏切る真摯極まりなく身もふたもない「社会派」といってもとうてい足りない大問題作である。救ったのか殺したのか、という問いかけが惹句にあるのだがこの映画を見る限りどちらも正解としか言いようがない。検事の長澤まさみから見れば紛れもなく殺人でそれはイコール犯罪なのだが自宅介護で疲れ果て金が無くてホームに入れたくても入れられない家族にしてみれば救い以外のなにものでもない。本来なら国が金持ちからもっと税金を取って貧しい民の老人介護費を公的に支援すべきなのだろうがここにきてネオ資本主義があからさまに正当化され経済格差が広がり続ける日本においては「老人の集団自決」が称賛される日もマジで遠くは無い。うわべの超高齢化が問題なのではなく格差容認自己責任追及民間ホドコシ善意依存型社会こそが問題なのだろう。松山ケンイチのあまりにも純粋で真っすぐなまなざし、長澤まさみが母親との長回しシーンでごく普通の会話から入ってここぞというタイミングで落涙するリアル、主役お二人の演技も見ものだが柄本明がその10倍上をいくとんでもない演技をしていて(未だ3月だが)今年の助演男優賞は確定である。
全408件中、301~320件目を表示