ロストケアのレビュー・感想・評価
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貴方は、何を思う??
日本の介護問題を抉る内容です。
身内の介護にも限界がアルことを突き付ける内容に、その時になってもそんな、綺麗なことを言えますか?
起こりうるから怖いのか
自分がして欲しい事は、他人にしても良いとは限らない
最近何でもかんでもSDGsじゃないですか。
17項目ありますよね。
なんか中途半端に感じません❓
奇数だからかな❓
実は、ハッキリと宣言できない、
「第18項目」があるらしいのです。
それは、
「生死の選択」
と言われています。
最近、成田某氏が
「集団自決」云々と言ってたのも、
強ち間違いではないのです。
確かに、それをメディアで表すれば、
あんなのTVに出すな❗️💢
となるのは当たり前。
斯波宗典へのデモと同じ。
日本は世界に類を見ない、
超超高齢化社会。
老人に手厚い国です。
その割に、高齢者介護事業には
手厚く無いです。
恐らくは介護事業に手厚くするには、
被介護者が限界突破してるのだと思います。
私は介護の現場に近い者です。
様々な被介護者がいる中、
認知症は一番手が掛かり、
精神的な負担も大きいです。
昔はドリフのコントでしか聞いたことのない
「あたしの夕飯はまだかい❓」
「おばあちゃん、さっき食べたでしょ」
というやりとりを、
30分置きに5回、
しかも真顔でやられると、
正直手を出したくなります。
「お金を取られた‼️」と
騒ぎ出す方もいます。お金持ってないのに。
今では慣れましたが、
「アンタが犯人かぁ⁉️」
なんて言われたら、
微かな殺意も覚えます。
認知症の方の親族に会う事もあります。
携帯電話の使い方は覚えているので、
毎日の様に電話がくるそうです。
ここはどこ、家に帰りたい、
いつ来るんだ、お金はどこだ、
あたしは親だぞ、
ほぼ毎日同じ内容の電話。
皆さん揃って疲弊してます。
斯波宗典は、
自分が手を下さなきゃいけない
こんな世の中間違ってるよ、
とでも言いたいのだろうが、
本当にどうしたら良いのか、
行政は分かっているのか。
案外斯波は間違ってないのかも、
と思う自分が怖い。
その分、裁判で叫ぶ戸田菜穂と、
公園で手を繋ぐ坂井真紀、やすには、
「救われた」気がした。
「PLAN75」が礼賛されたのは、
世界では、
微かにその流れはあるのかもしれない。
一つ言いたい。
柄本明は白眉の演技。
セリフシーンは字幕が欲しかったけど。
鏡と十字架
前田哲監督。あまり意識してなかったのだけど、いいですね。「陽気なギャングが地球を回す」「こんな夜更けにバナナかよ」「そして、バトンは渡された」など、気がつけば結構観てました。社会課題を絡めたテーマを入れてさらりと、時にはコミカルに描いて、エンタメとして成立させていて、すんなり内容が入ってくるのが心地よい。
今回は一転、高齢者介護の課題をシリアスなトーンで深掘りして、見事にまとめ上げた。介護の重荷にさらされた家族は、要介護者の死により救われるのか。正面からこの問いに取り組んでいて、観ていて複雑な感情が駆け巡る。
松山ケンイチと長澤まさみの二人は、十年来の推し俳優。その二人が初共演で、水と油の対話劇を見せるのだから、それだけで感涙ものだ。検事室での戦いは、両者譲らず、お見事! 狂信的だが、冷静な連続殺人者である斯波(松山ケンイチ)と、斬波の悪を断罪しようと詰める検事の大友(長澤まさみ)。それぞれの過去が絡みながら、事件の本質が見えて来る展開。
まあ、見せ方として、舌戦手に汗握る、という感じではないのだけど、印象的な画面が展開されて、じっくりと物語が、展開されていく。その中で、特に2つの構成が印象に残った。
1つ目は鏡や鏡面など。磨かれたテーブルに映る大友の姿と実像の大友が、表面と内面の相反を感じさせたり、4つの鏡に映し出された大友が、そこから不穏な空気を暗示していたりと、強く記憶に残る。
2つ目が十字架。タイトルの赤い十字架が何を暗示しているのか気になったが、終盤の斬波の部屋で佇む大友から引いて壁に、窓の影として映る十字架。膝の上で泣き崩れる大友の母が首から下げている小さな十字架。
この鏡と十字架が、本音と建前や揺れる正義など、全体のテーマを伝えるモチーフとして、物語に芯を与えていたように感じた。
「沈黙」などのキリスト教の正義への問いや「PLAN75」で提示された死の選択に追い立てられる社会など、考えさせられる作品たちと同様、何度も描かれてきたテーマではあるものの、タブーとされがちな死と救い(幸せ)に対する考え方について、相対する機会を与えてくれる良い作品だ。
身につまされる
良くも悪くも“問題提起”映画
最後に大友の信念が揺らいだところで終わっており、物語としては尻切れトンボな印象。
そこはそれぞれで考えて、ということなのだろう。
両親とも介護が近い歳なのに、方法やお金のことなど何も準備ができてない自分には堪えた。
しかし、脚本面で余計な描写も多い。
所長の空き巣や刑務所入りたがりおばちゃんなど、別の問題が入りすぎて気が散る。
遺族の恋愛描写も、意図は分かるものの全体の中では浮いていた。
由紀の不自然な発狂と、唐突で無意味な風俗転身カットには愕然。
「早めに処理しろ」とか「数学科出の変わり者」とかも活かされていない。
父親が懸命に折ったであろう鶴をいきなり開くなど、物語のための不自然な行動もいくつか。
また、台詞がモロに文語体のままなのが非常に気になった。
作品によっては問題ないが、せっかくリアルな題材を扱っているのに現実感が薄まってしまい、残念。
原作があるとはいえ、そこは上手く口語に直してほしかった。
しかし、圧巻だったのは柄本明の演技。
表情や仕草は元より、リアルさと聞き取りやすさを両立した台詞回しは絶妙過ぎる。
松山ケンイチも良かったが、アタマ二つくらい抜けていた。
個人的には、本人・親族双方の合意があれば、安楽死は認められてもよいと思う。
ただ、どちらの意志も無視した斯波の行為は肯定できない。
日本の未来
検事に殺人を続けた理由を聞かれた主人公が「バレなかったから」だと答えたことがとても引っかかった。
積極的に殺人を犯したい精神性ではなかったのに、バレなかったことがなぜ殺人を続ける理由になったのだろう。
また同時にバレないように絞殺などの痕の残る方法を選んだのではなく、純粋に父親を苦しめたくなくて毒殺を選んだ主人公の優しさがとても悲しかった。
この時もし殺人に気付かれていたらきっと、彼は素直に罪を償ったし、殺人を救いだとは思わなかったのではないか。
でもバレなかった。
それで介護殺人とは正しいこと、殺人によってもたらされた平穏は救いだと錯覚してしまったのではないだろうか。
(これが錯覚かどうかというところに議論の余地があるのが日本の現状の社会問題でもありますね)
彼の行った殺人によって、本当に救われた人もいて……でも裁判の場面では最後、家族を返せと力の限り叫ぶ人もいた。
他人の心は目には見えないですね。
幸せそうに見えても本当は辛い思いをしてる人もいるし、辛そうに見えても実は幸せを感じている人もいると思うんです。
彼の大きな罪は他人の幸不幸を自分の物差しで勝手に判断したことではないだろうか。
モヤモヤが残るラスト
認知症だった母が亡くなるまで、認知症と診断されてから2年ちょっとだったと思う。一人暮らしだったからかなり大変になるだろうなと思っていたら、脳梗塞が併発した後、転院を繰り返すうちに亡くなったので介護のつらさは感じることがなかった。「安全地帯」から出ることなく親の介護は終了したということだ。
介護職でありながら、担当する高齢者を殺害した犯人と、事件を担当した検事の話。いくつかの家族の介護が語られるのだが、これがまたかなり過酷。開放されたい、救われたいと思う家族の気持ちはわかる。でもそういう映画なのか?と思ってしまう。
あの話の流れだと、犯人の斯波がなぜ42人も殺した(彼の言葉でいうと救ってあげた)のかがメインテーマに思える。松山ケンイチ、長澤まさみ、柄本明、藤田弓子といった俳優陣の演技が素晴らしいので、介護の過酷な現実を知らしめる効果はある。ただ、斯波が42人も殺害することになった動機が最後に明らかになるわけではなかった。むしろ、だから?とモヤモヤしてしまったくらいだ。
いや、このモヤモヤを残すための映画だとしたらなかなか効果的だった。好きなわけではないが。
狂気とは言えない社会
多数の殺人がクローズアップされ宣伝効果が抜群の本作品でしたが視点は違っていたと思いました。
法で裁ける罪を追い詰めれば詰める程、救いと主張して行く斯波の姿は神ってる様に感じた。
現代社会の在宅介護の問題提起と裁判の行方を委ねてるところも斬新で映画の本質を突いていると思いました。
どちらかと言えば、自分は
『殺してほしい』柄本明の立場なら、頼むから殺して欲しいっ、て言うかもしれない。これからの自分の老後問題《安楽死制度》あっていい、そんな世の中になっていくのでは?と考えている。わりと淡々と悲壮感もなく、老いや衰えを受け入れていこうと思う。救われた人多いよね?と私は思う。だから『人殺し!お父さんを返せ』あの時のマツケンの感情ってどんなだろう。『正しいことした』と揺るぎなかった訳だから。原作読んで其々の感情を掘ってみたいと思う。
リアルすぎて、辛い
凄まじい説得力
辛い現実
松山ケンイチさんの苦悩が自分の未来に見えました
柄本明さんの迫真の演技が評価を得ているようですが、まだ子の側の私には親がこんな状況になったら、親にこんなことを言われたら、と考えさせられ、松山ケンイチさんの笑顔にも苦しみの表情にも涙が止まりませんでした。最後の最後、親側の気持ちになって「子どもを巻き込んではいけない」と強く思うとともに、やり切れない気持ちになりました。総理や議員の皆さんにもぜひ観ていただきたい映画です。
八方ふさがりの現実
単なるサスペンスにとどまらない、日本の制度への疑問を呈した作品でした。
様々な貧困事情~非正規雇用、シングルマザー、会社倒産~などなどを抱えている中で、親が認知症を伴う重度の要介護という暗黒の穴に落ち込んだら?
介護施設は抽選、または高額な費用を伴い、入れることができず。
目を離すと徘徊、事故、万引きなどを起こして、訴えられたり責任論で中傷されたり。
同居すれば当の親から、家族は暴力を受け。
親の監視のため働くことができないが、さりとて役所は生活保護を認めない。
子は食うこともできないほど追い詰められ、八方塞がりの無限地獄に陥った中で、家族はどうしたらいいのか?
健康も財力も今は大丈夫とたかを括り、自分が老化したり病気や怪我で働けなくなったりしたときを想像もせず、安全地帯から自己責任論を振りかざすこの国の連中への、問題提起こそがこの作品の肝なのかなと思いました。
見る人の親との関係性で感じ方が変わるかも。演技は凄い
社会問題として考えさせられる
真剣に見れば見るほど、いまの社会の貧富の差や、生きるとはどういうことなのか、色んなことを考えさせられた。
自分の努力もあっただろうが、運よく人並みの生活をしていると、それができていない人たちは、それまでの自分の生活を反映した今であるから”自己責任”でかたづけてしまう。社会としてそれでいいのだろうか?と映画を通して感じた。
介護される側になった時、夢も希望もない自分の現状を、生きる価値がないと考えしまっていいのだろうか?もちろん他人から価値がないと絶対に言えないが。
迫真の演技に引き込まれて、その迫力に圧倒された。現実に起きる事件の背景は、これ以上に深く悲しいことがたくさんある。自分に降りかからなければいいんだと、どこかで思いがちであるが、この映画を通して、見て見ぬふりをしない優しい自分でありたいと思うことができた。
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