劇場公開日 2023年3月24日

「超高齢社会の今、必見の作品です。」ロストケア のりたまちびさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0超高齢社会の今、必見の作品です。

2023年4月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

テーマ、物語、キャストすべてが素晴らしい。
長澤まさみさん、松山ケンイチさんは、各々「MOTHER」「デスノート」で、私にとって特別な存在になりました。
今回も、息を飲む素晴らしい演技で、まばたきするのも惜しいほど目が離せませんでした。

私は、両親をすでに見送っています。
姉弟で相談して、協力して、乗り切りました。
そして、両親に対して、さして深い情がなかったのも、奏功しました。
父は病院で、母は高齢者施設で、いたずらな延命治療なしで息を引き取りました。

私には、息子が2人います。
今の私は、大人になった彼らには、自由に自分の人生を生き、幸せになって欲しいと心の底から願っています。
彼らが自立した後は、一旦親子関係を清算して、年の離れた幼馴染兼親友のポジションで付き合っていくつもりです。
斯波は解けない呪いのように親子関係をとらえていましたが、つくり変えることは可能だと思います。

斯波は、自分を罰したくて、同じ施設で介護士をし、殺人を続けたのかなと思いました。
天外孤独の彼なら、介護士不足の今、各地を転々としながら犯行を重ねることもできたでしょう。
そうしていたら、露見しなかったかもしれません。
とても優しくて、情が深く、けれど自分自身の本心も分からない愚かな人だと感じました。

「やるべきことでも、やりたくなければ、やらなくても無責任ではないし、
やりたいことだけするのは、わがままではないのだよ。
親の人生の責任を子どもがとらなくていいし、自分のことを第一に考えて」
と、ハグして伝えたくなりました。

エンドロール、素晴らしいので、是非最後まで観て欲しいです。

のりたまちび