劇場公開日 2023年3月24日

「気づいたら泣いていた」ロストケア ふたり映画さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5気づいたら泣いていた

2023年4月3日
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泣ける

悲しい

正義や救い、そして家族の絆というのは時に身勝手でやるせない。片側一方通行の善、その形の危うさが未来の日常を作っていると思うと不安しかない。穴に落ちてしまった人間は、もがき足掻いて力尽きて、ただ悲観にくれるしなくて、その穴に入ったことがない人には理解も想像もできないのだ、と言った彼の目が忘れられない。他人事じゃないから胸が痛い。
穴に落ちる者、穴を無視する者、そして、そんな穴を無いものとして蓋をする国。しかもその蓋は布切れ一枚で、いつ誰が落ちてもおかしくない状態。
俳優たちの静かな演技と言葉に引き込まれました。柄本さんや戸田菜穂さんなど、それぞれの立場から発せられた叫び声が耳から離れない。
泣ける映画と宣伝して泣けない作品は五万とあります。気づいたら泣いていた、という作品こそが秀逸なんだと思います。まさにそんな素晴らしい作品でした。
そして、主題歌の森山直太朗さん『さもありなん』に癒されました。

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