「凄いけど重い」RRR ヤマサミさんの映画レビュー(感想・評価)
凄いけど重い
友情とアクションとダンスが最高!と聞いたので劇場に観に行った。最高なインド映画は最高だからだ。マガディーラみたいな熱くてカッコいいアクションを堪能したかった。
英領インドの話だとは知らなかった。バリバリ現代が舞台だなんて、いや現代が舞台なのはいいんだけど、バリバリイギリス人と戦って殺しまくってるのは、エンタメとして呑み込みにくいものがあった。出てくるイギリス人が1名除いて軒並みカスなので勧善懲悪ものとしては機能しているんだけど、何ぶん歴史的につい最近のことだしイギリスは今でも健在だし、こう…よっしゃー殺せー!とは言いにくい。
ラーマの過去も、ビームが受けた仕打ちも、物語として素直に消化はなかなかできないよね。
あと思ったより残酷表現が強めだった。冒頭の、モブが岩山に転げ落ちてボキってなるところは「そんな…モブが何をしたっていうんだ…」という気持ちになるので、ちょっと…。鍵を左手につけてたオッサンのラストもエグかった。こいつは色々したが。
その辺の居心地の悪さを除けばいい映画だった。やっぱりアクションは1000点満点!あまりにもカッコいい!ラーマの銃の腕前、ビームの力強さ、最高。
ダンスシーンは瞬きする間も惜しいほど輝いていた。もっとたくさんダンスシーンがあってもいいと思う。上映時間を伸ばそう。
ラーマとビームの友情も大変に熱かった。使命のために親友への思いを押し殺したラーマ、それが大義のためだったと気づくビーム、ついに分かり合う2人。一生一緒にいてくれ。
話の流れ的にはビームの方がやさしくていいヤツって感じなんだけど、そのビームが「自分は一族のために戦ったけど、ラーマはもっと大きな、国全体のために戦ってたんだ」って気づくのが尊い。
そして2人の目力の強さよ。表情だけで感情を表すのがバチクソに上手い。カッコいい。1000点。
あとラーマが脚を痛めつけられてなお腕を鍛え続け、「俺は腕だけでもお前を殺す」という目を向け続けたのもバチクソカッコよポイントで1億点。結果ではなく行為のためにやる、という信念が重い。こういう人を絶対に敵にしたくないなと思う。
しかしスコットも大物態度を崩さないのがいいな。ラーマの裏切りに気づいて発砲するところはカッコよかったし。インド人じゃないからか、アクションシーンはあまりなかったけど、もっとスコットの大物演出があってもよかったのでは。上映時間を伸ばそう。
ツッコミどころはちょいちょいあった。ジェニーは後半ほぼ空気だけどビームの侵入を手引した挙げ句、スコットを殺したビームと抱き合ってる。お前本当にそれでいいんかというか何だったんだお前の立ち位置は。ジェニーのことをもっと掘り下げるには時間が足りないと思うので上映時間を伸ばそう。
あとラーマが「ビームを見て、武器以外の革命があることを知った」って言うから武力革命やめんのかなと思ったら故郷にモリモリ武器運んでて笑った。
シヴァ神のイケメン像が見られたのでそこもポイントマシマシ。弓で戦うラーマを見て、あ〜つまり現代のラーマーヤナなのね〜と合点はいった。ラーマーヤナは読んだことない。観終わったあと調べたけどビームのモデルもマハーバーラタの登場人物なんだな。ていうかラーマとビームって実在の人なんだな。もう知らんことだらけだったのでインド独立運動のことはもっと知らなきゃいけないんだろうな…と思いました。
総評、めちゃくちゃ面白いけど現代史として直近すぎるので素直に面白がりにくい。ダンスはもっと多くてもいいので上映時間を伸ばそう。