「今年一番かもしれない」RRR といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
今年一番かもしれない
多くの映画レビュアーさんたちが大絶賛していた本作。私の住む映画過疎地・秋田県では上映が無かったため、お隣の岩手県にて鑑賞いたしました。インド映画であること以外は事前知識は無い状態での鑑賞です。
結論ですが、めっっっちゃ良かった。今年は『トップガン マーヴェリック』が一番かと思っていましたが、匹敵するレベルの作品です。とにかく最初から最後までクライマックスのような展開が続き、全くダレるシーンが無い上に、3時間の映画を観終わってから「もう一回観たい」と思わせるほどのクオリティでした。細かいところまでこだわって作られているのが画面を通して伝わってきて、本当に最高です。間違いなく今年一番観るべき映画だと思います。
2022年12月と2023年2月、2回鑑賞しました。
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1920年代、イギリスの植民地であったインドでは英国軍によってインド人が厳しく弾圧されていた。英国軍に攫われた女の子を助けるために暗躍するビーム(NTR Jr.)とインド人でありながらイギリス側の警察で活動するラーマ(ラーム・チャラン)は、敵同士でありながらお互いの素性を知らぬままに知り合い、大親友となる。
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観終わってから振り返ると、意外とストーリーはシンプルなんですよね。単純で分かりやすい。
しかし、分かりやすいストーリーでありながら、火と水のようなメタファーであったりインドの神話や歴史を基にした比喩や演出など、数えきれないくらいの映画的表現が隠されています。いかに監督が細かいところまでこだわり抜いているかが、スクリーン越しにも伝わってくるくらいの作品でした。
完全に個人的な経験則ですが、「劇中で映画のタイトルが出てくるシーンが素晴らしい作品はもれなく名作」という法則があります。ここ3年くらいで約350本の映画を観てきましたが、今のところ例外はほとんどない気がします。本作『RRR』もまた、タイトルの出てくるタイミングが秀逸で素晴らしかったです。
主人公の二人が映画開始30分ほどでお互いの素性を知らぬまま出会い、流出した重油が火災を起こす川に取り残された少年を助けるシーン。アイコンタクトと簡単なジェスチャーだけで意思疎通をした二人が、息の合った圧巻のアクロバティックで少年を救出し、固い握手を交わしてお互い名乗り合う。そこでタイトルの『RRR』という文字がバーンと出てくる。
私はこのシーンでテンションが上がりまくって思わず笑っちゃいました。ここまでテンションの上がるタイトルは初めて見たかもしれません。
とにかく序盤から終盤に至るまで、退屈するシーンが全くない。無駄なシーンが一つもない。
3時間近い上映時間の映画は今まで何本も観たことがありますが、観終わってから「もう終わっちゃった」と思った作品は本作が初めてです。
ところどころにインドの神話をモチーフとした演出があるので、本作を鑑賞する際にはインドの神話や風習を知っていると更に楽しめると思います。しかしながら、知らなくても十分すぎるほどに楽しめますし、劇中に出てくる神話モチーフの演出について解説している方も多くいらっしゃいますので、そういう解説を観てから二度目の鑑賞に挑むのも違った楽しみ方が出来て良いかもしれません。
2022年公開映画では間違いなくトップクラスに面白い映画でした。オススメです!!!!