劇場公開日 2022年10月21日

「「ボリウッド」ではないインド映画」RRR Pocarisさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「ボリウッド」ではないインド映画

2022年10月22日
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鑑賞方法:映画館

余計なお世話ですが、この作品も「バーフバリ」も、つくられているのは南インド、テルグ語の映画なので「ボリウッド」(北インド)の映画ではありません。

主人公のモデルは実在の人物で、ストーリーはフィクションですが、すでに神話化した人物を、それこそ古代からの神話の神々に重ねていくという趣向を持った作品でした。
エンドロールはいわばはあの人たちが「主人公たち」なんでしょう。
インドの人たちにとっては完全な「愛国映画」なんですね。

しかし、帝国支配に内心では強烈に反発しながら形の上で「イギリス側」についているラーマには、心ならずもイギリス側につかなければならなかった当時の人たちも重ねられていますし、ビームのように地方での暮らしを壊された人にも多くの観客が感情移入できるでしょう。

エンタメに徹した作品ですが、一方でそうした「苦難の歴史」を振り返る視点はきちんと押さえられています。

さらにアクションはあらゆるパターンの目白押しで、迷いなく繰り出す演出力は本当に素晴らしいと思いました。
実は映像で心情を語るのも非常に巧みな監督ですが、要所要所はわかりやすいセリフで説明するのも、多くの観客に受け入れられる所以だろうと推察します。そのバランスがいいんでしょうね。

Pocaris