「A・Bをまとめて、色々あった後でのアスリートの感動シーンで締め括って欲しかった…」東京2020オリンピック SIDE:B KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
A・Bをまとめて、色々あった後でのアスリートの感動シーンで締め括って欲しかった…
何とも痛々しい出だしの映画だ。
冒頭で登場する大会関係者が、
次々に降板していくのを我々は知っている。
その中でも、開閉会式の責任者が
野村萬斎から
後に女性侮辱演出問題で降板する電通OB
への引継ぎの場での
確執発言のシーンは興味深かった。
そして、このオリンピックが抱えた
たくさんの問題点を払拭したいかのように、
SIDE:Aでは赤ちゃんを、
このSIDE:Bでは子供たちを、
将来の希望のシンボルとして多く描いた。
この河瀨直美監督の手法は作為的で、
やはりこの作品もSIDE:A同様、
記録映画でもドキュメンタリーでもなく、
彼女の作家性が強く出ている印象だ。
しかし、コロナ禍や世界の諸問題は
オリンピックに対してだけではなく、
全ての事柄に影響しているのだし、
また、映画はエンターテイメント性が重要。
市川崑の「東京オリンピック」や
クロード・ルルーシュの「白い恋人たち」が
名作なのは映像の力だ。
同じ競技場面でも、映画としての映像力で
記録映像を超えた「作品」となり得るはずだ。
だから、インタビューや
発言シーンで作品構成するのではなく、
AとBをまとめて一本にして、
コロナ禍や組織委員会の混乱等々、
色々あった後での
アスリートの感動の映像シーンで締め括る
構成を私は期待したかった。
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