「五輪の人命軽視の記録」東京2020オリンピック SIDE:B kozoiさんの映画レビュー(感想・評価)
五輪の人命軽視の記録
沖縄戦、広島原爆、福島震災、そしてコロナと、たくさんの災害にも打ち勝つ日本というフレームが作り上げられる。
一方で、死んだ人たちや意見が違う人の存在を拒絶、排除し自己肯定だけを続けるやつらが歴史を記録し語る。サイドAもBもまとめてこんなにひどいドキュメンタリーはみたことない。
バッハ、森喜朗、橋本聖子、警備、調理、建築のスタッフらがいかに苦労したかという自慢話だけがひたすら続いていく。泣きながら話すものまでいる。
コロナ禍で亡くなった人、それだけではなく前述の沖縄戦や原爆、震災で亡くなった人たちの声を聞くことはできない。しかし勝手に「やってほしいはずだ」と決めつけるな。
コロナ対応に充てられるはずの病床や医療人員を盗み、強行開催したのは、助けられる余地のある人を見捨てたことになる。
沖縄戦、広島原爆、福島の津波もまた国がやるべきことをやらなかったせいで人が大勢死んだ。コロナもしかり。回復した人にインタビューで「医療に感謝、分断されてはいけない」と言わせていたが、その人は生き残れたからそう言えるのだ。死んだ人は語ることができない。「分断してはいけない」と分断している側(映画製作者)が回復者の口をつかって言わせる。最初に殴っておいて、反撃されたら暴力反対と言ってるようなものだ。
五輪なんかやってる場合ではなかった、不要なのだとこれからも語り続ける必要がある。先日五輪委員会が解散したが予算や使途については不明なままだ。完全なやり逃げだ。検証もさせない気満々。
なお、あの寒々しい開会式と入場はほぼカット。AでもBでもほとんど流れません。ドローン、大坂なおみ、森山未來くらい。がーまるちょば、劇団ひとり、真矢みき竹中直人も全部なし。特に小山田圭吾問題など不都合なものはまるっきりカットされています。それでも見栄えがしない開会式と入場の場面は後世のひとが「なんでこんなに照明暗いの?」「引きの絵少なすぎてなんだかわからない」となること必死。