線は、僕を描くのレビュー・感想・評価
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清々しい青春映画
スポーツ報知さんの試写会で拝見。
水墨画について私は全然詳しくないので、どの程度の質と再現性なのかとかがよく分かりませんでしたが、セリフに頼らずに絵と周りの反応だけで、技術だけが重要なのではなく、自分自身の心と向き合い自分を描く境地に至ることの大切さ、ということが伝わってくる描き方でした。
セリフにしない感情表現を読み取れない人には、陳腐でありがちで、説明不足で不親切に思えてしまうかもしれませんが、そこがいいと思えました。
そして、人気若手俳優二人のキャスティングをしながら、安易に恋愛方面に行かず、同じ道を進む同志として描いた清々しい青春ものという仕上がりに満足。
流星くん演じる主人公の姿に、頭の中で『君は天然色』を作詞した時の松本隆さんのエピソードが蘇りました。
清原果耶の表情や仕草の上手さは格別だと再認識しました。
爽やかで、少し涙腺を刺激する、良き作品だと思います。
ウルウルはしたけど、ワクワクしなかった
想像以上にハードなドラマを構築、線に滲む彼らの迷いと美しさに息を呑む
てっきりキラキラ青春ムービーかと思っていたら、もろカウンター食らったよ…。白黒の濃淡に滲む過去と新たな世界に涙が止まらない。
誠実に実写化したことで支持を集めた『ちはやふる』のチームが再び集結し、次に手掛けたテーマは水墨画。水墨画がなんて中学生くらいで習った雪舟くらいしかイメージない。しかしながら、あくまでテーマの1つであることをしっかりと伝えてくれるので問題なし。セリフの中にあるうんちくの様な言い回しもなく、ただただ忠実に紡いでいく。ここまで直向きさが染みる映画もなかなかない。
そんな中で描かれる線は、不思議と観ているこちらも魅了されていく。彼らの過程をなぞりながら、感性が分からずとも不思議と惹かれていくのだ。それと同時に、それぞれが向き合うべきものが線に滲んでいく。あまり多くは語れないが、霜介の過去が何だったのか、向き合うべき線の行方に、この作品が描こうとしているモノの大きさを感じるのであった。その強さは社会派として括ってもあながち間違いではない。
主演は横浜流星さん。強い姿を多く見せても弱い姿を見ることはあまりない気がする。しかしながら、その凄さを改めて体感。真っ直ぐで力強い眼差しが水墨画と重なる。清原果耶さんは文句なしのヒロインだが、やはり年齢を掴みにくいのが惜しい。何にでもなれるからこその弊害と言っていいだろう。
そしてやはり、細田佳央太さんと河合優実さんの役回りは新たな発見と永く愛されるであろう片鱗を見せる。まだ大学生役だが、社会人役となった時、主人公の肩を叩くような役があまりにも似合う。その中で最も凄いのが、江口洋介さん。美味しい所ではあるけど、飄々とした中に隠した爪と柔らかさがもう…。笑
こういう秘密を持つと議論になりそうで心配だが、過程を見てくれれば大丈夫だろう。進むために必要だと気づけるはずだから。
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