仕掛人・藤枝梅安2のレビュー・感想・評価
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仕掛人は単なる「殺し屋」。
一作目は梅安中心の物語であったが、二作目は梅安と彦次郎の物語になっている。二人が仕掛人になったいきさつが描かれていてとても興味深い。似ている二人は、表向きは真っ当な仕事をし、良識ある人間でありながら、裏では仕掛人として殺しを請け負っている。そんな矛盾した自分の生き方に「悲しみ」や「諦め」みたいなものを二人とも持っている。お互いに似たもの通しであることを感じるから、友情のようなもので結ばれている。その絆は、一作目では料理を一緒に食べるシーンに象徴的に表現されていたが、今作は仕掛の仕事を二人で本気で力を合わせてやりとげるシーンに直接的に表現されている。
殺しという「悪事」を行っているのに、生かしておいては世のためにならない人間を消すという「正義」を行っているかのような勘違いが、「仕掛人」の倒錯した世界の魅力でもある。梅安は仕掛の世界に身を委ねたために、この世の裏表が良く見えるようだ。善と悪は突き詰めていくと境界がなくなってしまうのかもしれない。善人も平気で悪事を行い、悪人も良心をどこかに残している。梅安は、自分のしていることが善悪を超えた単なる「殺し」であることを自覚している。梅安と彦次郎が、そんな自分たちの定めをしみじみ語るのがとても印象的であった。
二作目でドラマに深みのようなものが出て、三作目も楽しみである。
池波正太郎の世界
最後の晩餐
前作に引き続き「時代物、面白いじゃない!」と思わされてしまったのでした。
作品への力の入れようがひしひしと伝わります。ちゃんとやれば素敵なモノを創る事ができるお手本のようです。
トヨエツさんと愛之助さんの言葉使い・声が魅力的、菅野美穂さんとの濡れ場も艶っぽい。
今回は食事シーンが少なかったですが、それでもハゼの鍋には喉が鳴りましたし、決戦前のTKGも良かったなぁ。
こういった作品をもっとメディアで取り上げてくれたら邦画の勢いも増すのだろうなと、感動しつつも寂しくもあり。
個人的には高畑淳子さんのまるで恋する乙女のようにパッと輝くような笑顔を浮かべるところや椎名桔平の毒蝮振りに役者の力をものすごく感じ入りました。
そしてエンドロールでの「あれ?このヒトどこで出てた?見逃しちゃったの?」またしてもやられました。
良質な作品に出会えるこことができて幸せでした。
地味なシーンが多いのがミソ。
色と食事が池波正太郎の本骨頂
2作目を観たのでまとめて。
制作にテレビ局が多数参加しているので早ければ夏秋にもテレビで放送しそうだったので、初めは観に行く気が無かったのですが、タイミングが合ったので1作目を観賞、思いの外面白かったので2も楽しみにして先日観賞。
テレビはもちろん映画の時代劇としても最近ではみられない位に力が入っていた。
一つ不満なのが、良く作り過ぎているのか夜のシーンになると月明かりかろうそくしか無いので画面が暗いってとこ位。
必殺シリーズのように、弱者が悪人に虐げられなけなしの銭で仕事を依頼、出陣、悪即斬のスピーディーな展開ではなく、仕掛ける相手の動向を調べ隙が出来るまで待つやり方。
仕掛け料も最低でも100両(今なら1000万位?)ととても貧乏人の敵討ちに出せる金額じゃないと、単純な勧善懲悪では所を見て「そう言えば原作はこうだったな」とか思い出した。
最後にオマケがあるのを聞いていたので何かなと思っていたら、エンドロール中にあの人の名前が。
後で知ったけど来年にはあの人の映画もあるそうでこちらも楽しみに。
原作に出るもうひとりの仕掛人、小杉十五郎が好きなので彼が出る話も作って欲しいな。
2作目も最高に面白かった
極上の本格娯楽時代劇!
今年2月に公開された「仕掛人・藤枝梅安」の続編でした。池波正太郎生誕100年を記念して製作されたものですが、これまで小林桂樹や渡辺謙などの名優が演じてきた梅安先生を、今回は豊川悦司が演じました。個人的に渡辺謙版の印象が深かったため、本シリーズの1作目を観た時は若干の違和感がありましたが、2作目となりそんな違和感も消え、作品そのものに没入出来ました。
豊川版の1作目は、原作の小説でも第1作目だった「おんなごろし」をベースにしたストーリーでしたが、本作は原作の第2作目の「殺しの4人」と、第3作目の「秋風二人旅」をミックスした内容になっていました。原作がしっかりしていることは勿論、錚々たる俳優陣を揃えたこともあり、娯楽時代劇として非常に質の高い仕上がりになっていたと思います。
どうやら豊川版の梅安先生の製作は一区切りがついたようですが、次回作にも期待してしまうところです。ただ、本作のエンディングで、同じく池波正太郎生誕100年記念作として製作されることが発表されていた「鬼平犯科帳」の新作の主人公・長谷川平蔵が、チラッと登場して梅安先生とすれ違います。5代目の鬼平は、10代目松本幸四郎(ややこしいな)。撮影は2023年春・秋ということらしいので、上映はもう少し待たないといけないようですが、今から楽しみです。
そんな訳で、今や絶滅危惧種となってしまった本格娯楽時代劇の新作が楽しめたので、評価は★5とします!
前作の勢いはそのまま
「こんなに面白いの」
上映時間帯だけがネックでもったいない!
1作目を観て世界観にハマり込み、今作も観に行きました。
変わらぬ手堅い面白さに貫禄を感じるばかりでした。
今回キャスティングのおかげか動きのあるシーンが多いおかげか、前作よりも更に若い世代にとって取っつきやすい絵面になっていたような気がします。
お話も前回は相関図が複雑で、どこかミステリーのような面がありましたが、今回は圧倒的に構造がシンプルなので、複雑な話が苦手な人であっても困らないくらいわかりやすい展開だったと思います。
佐々木八蔵が出てきた瞬間、「突然見目麗しい若者が出てきたぞ」と思わされたんですが、周りの渋い雰囲気の中にあってとても良いビジュアルバランスを生んでいてよかったです。かっこよすぎて正直活躍を期待しすぎてしまいましたが(笑)殺陣も素晴らしかったですし、画面の調和を感じました。
前作同様性的暴力シーンがしっかりあり、やはりその面だけがどうしても人を選ぶと思うのですが、それを乗り越えさえすればひたすら見応え満点の作品です。
今作単体でも十分理解可能な構成にはなっていますが、①と②で藤枝梅安というキャラクターの強さと弱さのようなものが表裏一体に演出されているため、可能ならば是非連作としてセットで観てもらいたいです。
トヨエツの藤枝梅安、片岡愛之助の彦さんがとても良かったので、この2作で綺麗に完結しているとは思うものの、正直もう少しおかわりがあればいいなぁ…と期待しています。笑
本気でこだわって作り上げられた映像作品。とても良かったです。
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※以下は内容についてではなくマーケティング面で惜しすぎる!!!と思っていることです
公式のプロモーション的に、時代劇に対する新規顧客層開拓を目指しておられる印象で、特に若い世代へのPRに力を入れているようなんですが…
とにかくその年齢層とは上映時間帯が嚙み合わない!!
早朝~夕方くらいの時間帯までで上映回が終わってしまうところがほとんどで、10代~30代にとっては早すぎる・学校・仕事など外しようのない用事が入っている時間帯にしかやっていないような館が多いのが本当にもったいないです。専業主婦や定年退職した人、フリーランスのような自由の利く人間しか観に行きづらい設定なのが本当にもったいない。
観やすいようならもっと勧めやすいのに!!と強く思います。
実際観ることが出来さえすれば、この魅力は十分伝えられるものだと思います。
劇場上映期間終了後、配信などで①②がまとめて観られる環境が整えば改めて積極的に人に勧めていきたいと思っています。
この本気で作られた作品を、もっといろんな人に見てもらいたいです。
エロチシズムをもう一歩!
出演者の上品で落ち着いたセリフ回しが良い、その裏に潜む憎しみや切なさをより感じる事ができる。江戸、京の風情も綺麗に描写されていて日本映画の真骨頂を感じました。
死ぬか生きるかの世界の仕掛け人の研ぎ澄まされた精神の裏にはエロチシズムは必須であり、これが合い交えてより美しい映画になると思う。決してスケベ心(笑)で言う訳ではないがR指定としてでも色のあるシーンではエロチシズムをもう一歩踏み出せないのか、そこが減点の要因です。
最後エンドロールで松本幸四郎さんの名前が、、、、?
出演してたかな?と思っていたらエンドロールが終わってから前作同様、次回作につづく前触れがあり松本幸四郎さん登場してました。
これから見る人はエンドロール中に席を立たないように!
世界観は良いが、少し飽きがくる
善と悪…人間に必ずあること。「生」と「死」をどの方角から見るのか。
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