仕掛人・藤枝梅安2のレビュー・感想・評価
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上映時間帯だけがネックでもったいない!
1作目を観て世界観にハマり込み、今作も観に行きました。
変わらぬ手堅い面白さに貫禄を感じるばかりでした。
今回キャスティングのおかげか動きのあるシーンが多いおかげか、前作よりも更に若い世代にとって取っつきやすい絵面になっていたような気がします。
お話も前回は相関図が複雑で、どこかミステリーのような面がありましたが、今回は圧倒的に構造がシンプルなので、複雑な話が苦手な人であっても困らないくらいわかりやすい展開だったと思います。
佐々木八蔵が出てきた瞬間、「突然見目麗しい若者が出てきたぞ」と思わされたんですが、周りの渋い雰囲気の中にあってとても良いビジュアルバランスを生んでいてよかったです。かっこよすぎて正直活躍を期待しすぎてしまいましたが(笑)殺陣も素晴らしかったですし、画面の調和を感じました。
前作同様性的暴力シーンがしっかりあり、やはりその面だけがどうしても人を選ぶと思うのですが、それを乗り越えさえすればひたすら見応え満点の作品です。
今作単体でも十分理解可能な構成にはなっていますが、①と②で藤枝梅安というキャラクターの強さと弱さのようなものが表裏一体に演出されているため、可能ならば是非連作としてセットで観てもらいたいです。
トヨエツの藤枝梅安、片岡愛之助の彦さんがとても良かったので、この2作で綺麗に完結しているとは思うものの、正直もう少しおかわりがあればいいなぁ…と期待しています。笑
本気でこだわって作り上げられた映像作品。とても良かったです。
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※以下は内容についてではなくマーケティング面で惜しすぎる!!!と思っていることです
公式のプロモーション的に、時代劇に対する新規顧客層開拓を目指しておられる印象で、特に若い世代へのPRに力を入れているようなんですが…
とにかくその年齢層とは上映時間帯が嚙み合わない!!
早朝~夕方くらいの時間帯までで上映回が終わってしまうところがほとんどで、10代~30代にとっては早すぎる・学校・仕事など外しようのない用事が入っている時間帯にしかやっていないような館が多いのが本当にもったいないです。専業主婦や定年退職した人、フリーランスのような自由の利く人間しか観に行きづらい設定なのが本当にもったいない。
観やすいようならもっと勧めやすいのに!!と強く思います。
実際観ることが出来さえすれば、この魅力は十分伝えられるものだと思います。
劇場上映期間終了後、配信などで①②がまとめて観られる環境が整えば改めて積極的に人に勧めていきたいと思っています。
この本気で作られた作品を、もっといろんな人に見てもらいたいです。
エロチシズムをもう一歩!
出演者の上品で落ち着いたセリフ回しが良い、その裏に潜む憎しみや切なさをより感じる事ができる。江戸、京の風情も綺麗に描写されていて日本映画の真骨頂を感じました。
死ぬか生きるかの世界の仕掛け人の研ぎ澄まされた精神の裏にはエロチシズムは必須であり、これが合い交えてより美しい映画になると思う。決してスケベ心(笑)で言う訳ではないがR指定としてでも色のあるシーンではエロチシズムをもう一歩踏み出せないのか、そこが減点の要因です。
最後エンドロールで松本幸四郎さんの名前が、、、、?
出演してたかな?と思っていたらエンドロールが終わってから前作同様、次回作につづく前触れがあり松本幸四郎さん登場してました。
これから見る人はエンドロール中に席を立たないように!
世界観は良いが、少し飽きがくる
前作観賞済み。梅安の身分は針医者なので、日本刀を携えている侍や侍の仕掛人に、どう立ち向かうのか関心がありました。
江戸時代では、毒を塗った吹き矢が最強の武器かもしれませんね。忍者が暗躍するのも納得です。
今回の作品もなかなか面白かったのですが、前作の方が衝撃があり、やはり新鮮味が少し薄まった感じがしました。
エンドロールが流れると、観ていたほとんどの人がエンドロール終了を待たずに離席していました。あの後にオマケ映像があります。
世界観が良いので、続編を作るのは歓迎ですが、忘れた頃に上映するのがよいかと思います。
修羅の連鎖がリアルで臨場感抜群
楽しみにしていたトヨエツ梅安の後編。バディを組む彦次郎(片岡愛之助)の妻の仇・井坂惣市(椎名桔平)を仕掛けたあと、妻を殺された・井上半十郎(佐藤浩市)に追われ迎え討つという修羅の連鎖が極めてリアルに描かれて臨場感が抜群。観ているこっち側も当事者になったように引き込まれる。鑑賞後、印象に残ったのは井上半十郎の亡き骸を地中に葬ったあとの『私たちもいつかはこうなるんだろうね』というセリフだ。仕掛け人であれば、いつかは仕掛けが失敗し葬られる側にならないと、この連鎖は続くのである。おもん(菅野美穂)が井上半十郎に対峙したとき、半十郎の問いに心当たりがあり、梅安が苦しみを抱えていると表現。その苦しみは妻のおるい(篠原ゆき子、名演でした)を殺され、仕掛け人に転じた半十郎の苦しみと極めて近しいものであったが、復讐せずにはいられない半十郎の悲しい性が表されていた。
仕掛け人なら尚更だが、誰しも生きていれば何かに捕われてその追求の連鎖から逃れられない。『いつかはこうなる』まで、それは続くので、ただの人は、なるべく因果や修羅に近づかず平穏を保ちたい。日ごろ浮ついた我が身を戒めたいと思わされる作品だ。
仕掛人っていうのは、罪を犯しておきながら、償っているような気になるから始末におけねえ。
トヨエツ梅安、端正で凄みがあって、渡辺謙に負けぬ貫禄。おまけに着こなしが地味ながらも粋。歳のわりには身ごなしの軽やかさもほれぼれ。相棒の愛之助彦さんとの息ぴったりだった。蔓役の石橋蓮司もよかったな。悪役じゃないよね?とびくびくしながら見る石橋蓮司ってちょっとドキドキする。
だけど、このストーリーで満足度はどうかな。いくら奉行所の手配が行き届かないとはいえ、あのくらいの無頼漢を放置ってどうなのよ?しかも根城の警戒の手薄なことったらない。捕り方が乗り込めば労なく召し捕れそう。それに、辛い思いをした彦さん、嫁さんと同じ凌辱を受けている娘たちを知りながら、そこに対する怒りが全くないってどうなの?あなたは当人や家族の痛みを知ってるんでしょ?と声を掛けたくなった。梅安だって若気の至りの不始末のあと、名も変えず江戸にいる不自然さ。
どうも、物語にどっぷり浸る気分にはなれなかった。仕掛けのあとのカタルシスのなさは、たぶんそんな違和感のせい。
ネタバレありなので追記。
エンドロール、あれ?この役者いつ出てきた?の気づきは、前作同様最後の最後に。てことは、続編ありで、鬼平登場って流れか。池波アベンジャーズシリーズってか?終いには秋山小兵衛まで出てきたりして。
善と悪…人間に必ずあること。「生」と「死」をどの方角から見るのか。
殺めるのは世間から悪人と言われている人間であり、そうすることは「善い」ことをした気分でもある。しかし…次に死ぬのは…殺されるのは…自分かもしれない…いや、自分だろう…。梅安は…刺客が来るのを分かりながら、患者たちのために江戸に戻る。世話になった人たちに…別れの挨拶ともとれる会話を…積極的に試みる。「何を言ってるんですか!」と笑い飛ばす人たちに…涙目の梅安は癒やされる。
死ぬべき存在である自分。それなのに支えてくれる人たちの存在。彼らは自分の「生」を前提とし、それを願ってる。
圧巻の演技力の連続で…パート1を凌ぐ良作である。続編は…。
お料理少なめ
池波料理がもっと欲しかったという贅沢な願望は残ったが、前作に引き続き最高でした。ありがとうございます。
個人的にも世間的にも最近はアメリカンヒーローものが食傷気味になっているところに、「これだよコレ」って感じのアンチヒーロー(ダークヒーロー?)。出てくる人達は皆格好良いし、痺れっぱなしでございますよ。エンドロールで「???」となり、オマケで「!!!」となったので、今後とも宜しくお願い致したい所存であります。
前半ちょっと
退屈な感もありましたが、最終盤の死闘で完全挽回! 食べ物もハゼの頭をすすって旨そう。ラストおまけは池波ユニヴァース? ま、有る訳ないか・・しかし、佐藤浩市の白髪頭は時代にそぐわない・・
外道にしか断てぬ外道がございます
藤枝梅安1に引き続き
これでもかと因果が絡み合った
ハードボイルドな世界観で
仕掛人藤枝梅安の鍼が光ります
今度は舞台は京都
前作で助けた剣士たちを
上方(大阪)でかくまう
ついでに師匠「津山悦堂」の
墓参りに彦次郎と旅をする
事になった梅安
その道すがら彦次郎は
忘れえぬ生涯の仇の顔を
見つけ目の色を変えます
梅安を巻き込むつもりはない
と彦次郎は言うものの
どんな事情があったか
聞くことになります
彦次郎は十で家出し
孤独の身ながら妻子を
もらいささやかな幸せを
つかんでいたものの
ある男達が突然現れ
彦次郎の目の前で
突然妻を犯しあえて彦次郎の
命をとらず見せつけるように
したという超外道
妻は乳飲み子を道連れに自殺
彦次郎は妻と子の仇を討つべく
仕掛人になっていったのです
梅安はそこで彦次郎が
自分と同じような境遇で
あったことを初めて知ります
梅安もその男は到底許せないが
道ですれ違った男は
確かに(彦次郎の断言する)
顔は同じでも
あまりに雰囲気が違う
奉公人の身なり
宿まで後をつけるとなんと
津山悦堂の墓参りをし始める
(この時空の狭さが池波ワールド)
そこで詳しく話を聞くと
名は「峯山又十郎」と言い
大名に使える剣術道場の
師範代の生まれ
父が津山先生に命を助けられ
年に一度必ず挨拶に来ていたが
父も亡くなり代わりに
訪れているとのこと
その話は梅安も聞いていたようで
どうやらこの男は彦次郎の
言っているような男では
ないと梅安は確信しますが
話の中で双生の弟がいることも
知りその名は「井坂惣市」
自分が養子に入ったことで
しばらく会っていないとの事
梅安は話の中で又十郎に
まだ隠している事が
あると感づき宿を張っていると
京都の蔓(仕掛の元締め)の大物
白子屋菊右衛門が又十郎を訪れます
白子屋には過去に仕掛を依頼された
事もありこれは何かあると梅安は
白子屋が出入りしている茶屋に
向かいます
又十郎は仕掛を依頼して
いたのはその弟(の一味)
井坂は剣の腕に溺れ太平の世で
持て余しごろつきと傍若無人の
限りを尽くし目が届かない
無法地帯の京都で略奪誘拐
好き放題とのこと
白子屋も知ってはいたが
又十郎の依頼金が要求の
半分以下で首を縦に振らず
それでも引かない又十郎
白子屋も井坂の一味が
街を脅かしている事は
承知しているからでしょう
しかもそいつらの腕が
相当立つことも
そこで白子屋は
手練の剣士「井上半十郎」と
仲間の若い剣士「佐々木八蔵」
にダメ元で依頼しますが
あまりに安い依頼金で話にならず
そのすれ違いでやってきた
梅安が詳しい話を聞き
その仕掛を請け負います
その途中ですれ違った
半十郎と梅安
ここにも何か因縁が
あるようです
(もーこんなんばっかり)
梅安はここで彦次郎に
委細を全部説明し
本当の仇が惣市であること
その仕掛けを自分が
請け負ったことを明かします
彦次郎は巻き込みたくない
と思いつつも力を貸してくれる
梅安に言葉にできない感謝を
しつつ仇討ちを改めて決意します
まず二人は惣市の取り巻きから
酒を飲んだ帰りを狙って
始末していきます
そして仲間が殺され最後にいた
酒場の店主を問い詰める
惣市の仲間を始末していきますが
鍼を使おうとした瞬間を
そこへ入ってきた半十郎に
見られかけたところで
とっさに逃げ出します
梅安に只ならぬ復讐心を持つ
半十郎と梅庵の間にある
ただならぬ関係とは?
かつて
井上半十郎は妻「おるい」
のある腕の立つ剣士でしたが
津山悦堂亡き後医院を受け継いだ
梅安はおるいの元へ治療へ
行っていましたが
家を空けがちの半十郎に
よっておるいはあろうことか
劣情を抱いて梅庵を
押し倒してしまったのです
梅安はまんざらでも
なかったのですが
おるいはそこを半十郎に
詰められると自分が襲われたと
嘘をつき半十郎は梅安を
半殺しにしてしまいます
なぜ討ち捨てなかったのか?
おるいの不貞をかねてより
知っていたのだろうと梅安は
勘ぐっていました
その後医院へ謝りにくる
妻ですがそれでも好きだから
心中しようと匕首片手に
襲い掛かってきます
そこでとっさに鍼で急所を
突いて妻を殺してしまいます
これが梅庵が仕掛人になる
きっかけとなり
半十郎は鍼跡から
梅安を生涯の仇とし
探し求めていたのでした
さて
残り二人になった惣市一味は
金と女を漁りに行き
泥酔したところで飲んだかめの水に
仕込んだ「(前金の)20両する毒」
で弱らされ彦次郎の妻同様
首をくくられ無様な最期
しかしそこで半十郎と八蔵が
現れ梅安に襲い掛かろうとしますが
謎の暗殺者に囲まれます
半十郎も八蔵も凄腕で暗殺者を
さっさと片づけていきますが
梅安と彦次郎はその場をしのぎ
暗殺者が白子屋の手の者だと
確認し救い出した少年を
白子屋に預け江戸へ戻ることにしますが
半十郎に面も割れその後の展開は
わかっていました
医院へ戻るとおせきを早く帰し
彦次郎を屋根裏に忍び込ませ
半十郎と八蔵を待ち構えます
半十郎は事前に梅安の来店を
待ちに待つおもんがいる井筒屋に行き
梅庵の居場所を探りますが
アッサリ教えるおもんに
あの男を好いておるかと詰めると
おもんは正直に答えます
あいつはお前のことなど
何とも思っておらぬと
半十郎は看破しようとしますが
おもんはそれでもよいと
こうした自分の(おるいに対しての)
一途な思いを逆に思い知ったのです
「誰を許せないのですが」と
おもんに聞かれると
半十郎は混乱しながら
「許せないのは自分だ」と
吐き捨て井筒屋を去ります
梅安はどんぶりに卵かけご飯
彦次郎は醤油を塗った握り飯
(これがまたうまそう)
を食べて襲撃に備えます
案の定半十郎と八蔵は
襲撃してきますが
半十郎は彦十郎の毒矢を
二つも受けても暴れまわるも
梅安の首まであと一歩の
ところで絶命
梅安はこのまま斬られても
是非もなしと思うのでした
母に駆け落ちをされたことで
悲しみにも怒りにも混じった
感情しかなかった梅安には
片づけきれない感情
そんな気持ちをおもんに
ぶつけつつ梅安は再び
鍼医者と仕掛けの日々に
戻っていくのでした
いやー相変わらず渋い
やりすぎなくらいの
テンポの良さも120分に
ギッチリ詰まってて満足感
高かったと思います
どんな場面でも
梅安と彦次郎のいちゃいちゃが
楽しめて良かったです
あーあとね
ラストに大サービスがあるんですが
スタッフロールでネタバレするんですよ
あのへんはちょっと工夫がほしかった
ですねぇ
因果は巡る 絡まる運命の糸
楽しみにしていたパート2。彦次郎の敵討ちがメインストーリーだと思っていた。その仇相手の悪逆非道ぶりには、目を背けたくなるくらいで、これは相当なカタルシスがあるに違いない。ところが、一本道の物語ではなく、梅安と因縁のある侍が登場して、事態は複雑になっていく。
仕掛人トヨエツの佇まいというか風格は、無言で立っているだけで絵になる。それに加えて、椎名桔平の悪辣顔、目力だけで相手を圧倒する佐藤浩市。スクリーンから殺気が伝わってきそうでゾクゾクする。
殺した相手の因果も背負う。仕掛人の宿命が文学的に響いてくる作品でございました。
何と次は、鬼平犯科帳。楽しみが増えた。
池波ノワールを堪能できる美しく残酷な仕掛人の世界
時代物は一種のファンタジーだと思ってるのだけど、その期待を裏切らない見事な世界観で一気に引き込まれる。雨の街道、夜の宿場町、灯りに照らされる街、これらの視覚的な美しさや風情に魅了される。
フィルムノワール、ネオノワール、香港ノワール。この作品はその系譜の江戸ノワール、いや池波ノワールか。闇と灯り、善と悪のバランスがこの作品を特別なものにしていると思う。
梅安も彦次郎もだが、凶暴な浪人の伊坂惣市、梅安を狙う井上半十郎 も、彼らは死に場所を探している男たちなのだと思う。伊坂惣市はただ凶暴なだけではなくいつも少し困り顔で、なぜ俺は今こんな場所にいるのだろうという戸惑いと怒りと諦観を秘めているようで、この記号化されてない人物造形が作品に深みを与えていると思う。井上半十郎も初登場シーンで一度見過ごす。そこからの展開が、彼の躊躇と葛藤を感じることができる。背景にまで思いを馳せたくなるキャラクターと、一つの仕掛けにもう一つの仕掛人が介入してくる展開のもたらすハラハラ感、そしてしがない鍼師と楊枝職人のバディがどう剣客と戦うかという展開の妙も見どころだと思う。
もともと時代劇も時代小説も偏愛しているのだけど、スクリーンでこれほど美しい世界を見せてもらえるとは。梅安の豊川悦司さんの持つ強さと弱さ、色っぽさが魅力的だし、彦次郎との会話の中にある男同士の思いやりや信頼関係もいい。原作の持つ、複雑なキャラクター造形をいかしきった見事な映像化では。堪能しました。
複雑な人間関係が、
織り成す、憎悪の連鎖が、数奇な運命を引き寄せる。
意外な接点の結び付きに、巧妙です。
今回も闇夜の陰影が、緊迫感が、増して、流石は、時代劇です。
おせきのあっけらかんな、様子にホッとします、
重厚な物語をテンポよく魅せる!
待ちに待ったトヨエツ梅安の第2部。公開2日目の土曜の朝イチの上映回でしたが、熟年男性が大半を占めるまあまあの客入りでした。時代劇の人気の高さを再確認して、ちょっぴり嬉しい気分で鑑賞スタート。
ストーリーは、梅安と彦次郎が京都へ向かう途中、かつて彦次郎の妻と娘を死に追いやった仇と瓜二つの男を見かけ、素性を探ろうとする中、京都の元締から彦次郎の仇の殺しの依頼を受けるが、その一方で梅安自身も浪人・井上半十郎から仇とつけ狙われるというもの。
本作は、彦次郎の復讐と梅安への復讐が織りなす、情念の物語として実に見応えがありました。登場人物の過去を回想シーンとしてうまく取り込み、人物像を深掘りし、人間ドラマとしての厚みを加えている点がとてもよかったです。無駄なシーンは一切なく、すべてが必要にして十分な描かれ方をしているように思います。そのため、ゆったりとした語り口と所作でありながら、物語の展開としてはとてもテンポがよく、ぐいぐい引き込まれます。
映像的には派手な演出はなく、夜のシーンは全体に暗いのですが、それがかえって好印象です。衣装やセットはもちろん、小道具やライティングまで、こだわり抜いた絵づくりがなされていることが伝わってきます。おかげで、江戸時代の風情や情緒、町人たちの息づかいが随所から感じられ、劇場内はもはや江戸時代です。
終盤は、梅安が死亡フラグを立てまくりながらラストに向かうのですが、その決着の付け方も十分に満足できるものでした。まだまだこの世界観に浸っていたい気分の中、エンドロールを眺めていたら「長谷川平蔵」の文字を目にして、「あれどこで出てたっけ?」と思ったら、まさかのポストクレジット。いいですねー!鬼平とのクロスオーバーですか!まだまだ今後も期待できそうです。
今回は仕掛けが少なめで、その点は物足りませんでしたが、そのぶん骨太の物語が魅せてくれます。そして今回も、おいしそうな料理が登場したのは嬉しかったです。
キャストは、梅安に豊川悦司さん、彦次郎に片岡愛之助さんで、もう長年コンビを組んでいるような安定感が秀逸です。そして、脇を固めるのは、椎名桔平さんと佐藤浩市さんで、このお二人がさすがの貫禄で一気に作品の雰囲気を高めています。やはり敵役に魅力があってこそ、主役が引き立つというものです。女優陣では、菅野美穂さん、高畑淳子さんらが、前作に引き続き出演し、いい仕事をしています。
前作は見てなくても・・・
同じ日にエスターファーストキルを見たので続編続き(笑)
でも、こちらも続編ながら違和感はなかった。
さて、前作を見なかったのは、トヨエツと菅野美穂に尽きるわけです。
おふたりのの台詞回しがどうしても・・・棒でしょ。
でもね。同僚が「とてもよかった」と言うので見てみよう!
役者の皆さんのビジュアルは最高でした。ドラマもgoo!
でも、長く感じたのは、多分もう少し削ぎ落としてケレン味を足して欲しかったからかも。
どうしても、梅安さんと言えば「必殺」を期待してしまうわけで・・・
仕掛けのシーンはサクッとではなくタメが欲しかったなあ。逆に佐藤浩市や椎名桔平のケレンは大いにかっこよかった。
ただ、椎名桔平の悪役も新鮮だった。でも、非道いやつだからもっと何かあるかとおもったけど、あっさり毒殺かーい。
結局佐藤浩市との戦いがクライマックスだったのね。でも、こちらも毒殺かーい(笑)
針をさしての仕掛けが少なくてそこが不満。
現代劇かと思うようなセリフは何とかして欲しい。仮にも時代劇なんだから。
愛之助さんは上方の人だけど良かった。幸四郎(現)さんは当然。石橋蓮司、高橋ひとみさんたちも実に良かった。
一ノ瀬颯くんは昔の林与一のようなカッコよさがあった。
続編にして名作へ!!
大変楽しみにしていた本作!期待通りの作品でした。
相変わらず梅安&彦次郎コンビの妙味ある関係(カップルにしか見えませんが笑)や、本作より登場の椎名桔平・佐藤浩市・石橋蓮司・高橋ひとみが、また良い!!
(ただ、前作同様おもんさんが…)
対剣客には、真正面からでは歯が立たないラスボス観、梅安&彦さんの生い立ちなど、非常に没入できました。
うーん…とりあえず時代劇ファンは観るべきです。
是非、映画館でご鑑賞下さいませ!!
仕掛人・藤枝梅安2 池波正太郎生誕100年記念
原作を読んでいて、自分の頭の中のイメージを、遥かに超えるリアル感があった!針で人を殺すなんて、ファンタジーでもある。リアルとファンタジーの絶妙な混ざり合い。1とはまた違う、男臭い内容だが、最高にかっこいい。簡単にやっつけるわけじゃない。絶対的に強いヒーローじゃないから、もしかして、やられちゃうかもとハラハラする。力任せに戦うのではなく、頭脳戦もあるからおもしろい。鬼平犯科帳ファンも必見。
善悪の底無し沼
"仕掛人・藤枝梅安" 二部作第2部。
池波正太郎生誕100年企画作品。
時代劇専門チャンネル開局25周年記念作品。
原作シリーズは未読、
過去の映像化作品はいくつか視聴済みです。
前作が「静」なら本作は「動」。池波原作ならではな因縁が交錯するドラマはそのままに、アクション・シーンが増えたことで活劇感たっぷり。狙う者・狙われる者のヒリヒリした因縁が壮絶な死闘へなだれ込む、緊迫感溢れる演出が見事でした。
前作もそうでしたが、仕掛けのシーンに「必殺仕事人」みたいな痛快さは皆無。殺す側にも殺される側にも背景があり、両者を絶対悪とは言えないし、絶対善とも言い切れない。
(但し、椎名桔平演じるゴロツキ侍は除く。が、世が世なら武芸で身を立てていたかもしれず、考えようによっては彼もまた世情がつくり出した悪と云う見方も出来るかも)
仕掛人として生きる梅安たちの死生観に胸が締め付けられました。仕事で的に掛ける相手が悪人だったとしても、殺しと云う手段が善いものであるわけは無い。因果応報が世の理なのならば、いつ自分が殺される側になるか分からない。善悪の曖昧な境界線を漂う魂に安らぎが訪れんことを…
[余談1]
二部作通じて演技巧者を揃えた重厚なハードボイルド時代劇でしたが、陰惨になりがちな物語の中で一服の清涼剤となっていた高畑淳子の演技がすごく良かったです。
[余談2]
彦次郎の「こりゃうめぇや」が聞けなかったのは残念。
[余談3]
前作を観た時にパンフレットを購入していたので分かってはいましたが(エンドクレジットを読んだ)、ポストクレジットシーンに登場した「長谷川様」に大興奮!
主人公をバトンタッチして来年の「鬼平犯科帳」へ繋げる趣向でしょうが、ユニバースの感があり、原作には無い二大主人公が本格共演する作品をつくって欲しくなりました。
[以降の鑑賞記録]
2023/12/29:Lemino
※修正(2023/12/29)
マリバロン様
妻を殺された二組の話。
椎名桔平はラスボスではなかった。
今回も高畑淳子が出たとたん空気がガラッとかわり、全部彼女に持って行かれてしまった。流石といか言いようがない。
女性陣より男性陣の方が色っぽい。
エンドロールに松本幸四郎の名前が。
どこに出てた??
と思ったら、ああ、そういうこと。
続編があるのですね。シリーズ化されるのでしょうか。
それにしても長谷川平蔵の登場でまたも空気がガラッと変わる。
ちょっとした一言なのに存在感がすごい。
それまでの梅安の硬さが急に気になってしまった。
内面が見えてこない。色っぽいのにどういうわけかエロくない。
今回は大根の炊いたの。
ハゼの煮物。
卵かけご飯。
一番は醤油の焼きおにぎりでした。
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