劇場公開日 2023年4月7日

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「仕掛人は単なる「殺し屋」。」仕掛人・藤枝梅安2 ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0仕掛人は単なる「殺し屋」。

2023年4月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

一作目は梅安中心の物語であったが、二作目は梅安と彦次郎の物語になっている。二人が仕掛人になったいきさつが描かれていてとても興味深い。似ている二人は、表向きは真っ当な仕事をし、良識ある人間でありながら、裏では仕掛人として殺しを請け負っている。そんな矛盾した自分の生き方に「悲しみ」や「諦め」みたいなものを二人とも持っている。お互いに似たもの通しであることを感じるから、友情のようなもので結ばれている。その絆は、一作目では料理を一緒に食べるシーンに象徴的に表現されていたが、今作は仕掛の仕事を二人で本気で力を合わせてやりとげるシーンに直接的に表現されている。
殺しという「悪事」を行っているのに、生かしておいては世のためにならない人間を消すという「正義」を行っているかのような勘違いが、「仕掛人」の倒錯した世界の魅力でもある。梅安は仕掛の世界に身を委ねたために、この世の裏表が良く見えるようだ。善と悪は突き詰めていくと境界がなくなってしまうのかもしれない。善人も平気で悪事を行い、悪人も良心をどこかに残している。梅安は、自分のしていることが善悪を超えた単なる「殺し」であることを自覚している。梅安と彦次郎が、そんな自分たちの定めをしみじみ語るのがとても印象的であった。
二作目でドラマに深みのようなものが出て、三作目も楽しみである。

ガバチョ