「修羅の連鎖がリアルで臨場感抜群」仕掛人・藤枝梅安2 bluewaveskyさんの映画レビュー(感想・評価)
修羅の連鎖がリアルで臨場感抜群
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楽しみにしていたトヨエツ梅安の後編。バディを組む彦次郎(片岡愛之助)の妻の仇・井坂惣市(椎名桔平)を仕掛けたあと、妻を殺された・井上半十郎(佐藤浩市)に追われ迎え討つという修羅の連鎖が極めてリアルに描かれて臨場感が抜群。観ているこっち側も当事者になったように引き込まれる。鑑賞後、印象に残ったのは井上半十郎の亡き骸を地中に葬ったあとの『私たちもいつかはこうなるんだろうね』というセリフだ。仕掛け人であれば、いつかは仕掛けが失敗し葬られる側にならないと、この連鎖は続くのである。おもん(菅野美穂)が井上半十郎に対峙したとき、半十郎の問いに心当たりがあり、梅安が苦しみを抱えていると表現。その苦しみは妻のおるい(篠原ゆき子、名演でした)を殺され、仕掛け人に転じた半十郎の苦しみと極めて近しいものであったが、復讐せずにはいられない半十郎の悲しい性が表されていた。
仕掛け人なら尚更だが、誰しも生きていれば何かに捕われてその追求の連鎖から逃れられない。『いつかはこうなる』まで、それは続くので、ただの人は、なるべく因果や修羅に近づかず平穏を保ちたい。日ごろ浮ついた我が身を戒めたいと思わされる作品だ。
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