「過去の因縁を斬る第2部、ダークヒーローの物語は続く」仕掛人・藤枝梅安2 ニコさんの映画レビュー(感想・評価)
過去の因縁を斬る第2部、ダークヒーローの物語は続く
前作から待つこと2か月。第1部が面白かったので心配はしていなかったが、場所と面子を変えてまた違う緊張感が味わえた2時間だった。
エピソード自体は1部とほとんど繋がっていないので、細かいことを気にしなければ2部だけ見ても楽しめるのではないだろうか。
クライマックスは2度やってくる。彦次郎の因縁の相手井坂惣市への仕掛、そして梅安を恨む井上半十郎との対決。
椎名桔平の無造作ロングヘアは違和感が絶妙でちょっと笑ってしまったが、井坂とその仲間達の狼藉は恐怖の一言。双子の兄が起りになってしまうのも仕方ない。お金と女は借りるから、はいこれ手形ね(血糊べったり)……いやいや。
彦次郎が勘違いした峰山の素性をうまいこと手を回して確認し、井坂の件を自分の仕掛けとして引き受ける梅安の冷静さと懐の大きさ、彦次郎へのバディ愛に改めて惚れた。
梅安の殺しのやり方はあんな感じなので、チャンチャンバラバラの目まぐるしいアクションは少ないが、その分仕掛直前の緊張感で魅せる。また、彦次郎と二人でぴったり息のあった仕掛をする場面は見ていて気持ちいい。
静かな闘いの場面の合間に語られる、それぞれの悲しい過去。人を救いつつ、人を殺めるという矛盾を孕んだダークヒーロー・梅安の、苦い過去を消化しきれないまま生きる姿は、時代を超えて人間臭さを感じさせる。回想シーンの梅安と彦次郎の若作り感はご愛嬌。
それにしても、梅安と彦次郎の旅姿はかっこいい。顎が隠れるほど首回りをおおって、がっしりとした長身で道中合羽の裾をなびかせるさまが特によい。
前作同様ほぼ隙のない配役の本作だが、個人的には石橋蓮司と高畑淳子を推したい。
石橋蓮司……いいですね。仕掛における扇の要、業界の掟の守護者の貫禄とアングラ感、得体の知れなさ、そういったものを全て体現していて。半十郎と対峙するシーンの気迫がたまらない。
高畑淳子のコメディリリーフ的な役におけるバランス感覚は完璧。ひとりだけ異質のテンションなのに、作品のトーンから悪い意味で浮くようなことがない。出てくるなり、瞬時にほっとさせる空気感を作り、短時間ですっと去る。これがぜんざいに添えられた塩昆布のように、作品のシリアスな雰囲気を引き立てている。
ところで、なんと言ってもエンドロールの後の映像。前回は「侍・椎名桔平?わかんなかったんだけど……」からのおまけ映像でびっくりしたのだが、また同じ仕掛けに引っかかってしまった。「長谷川平蔵・松本幸四郎?でも2部で終わりだからもうおまけはないだろ……」いや、あるんかい。
これは、3部もやるってこと?と思ったら、鬼平犯科帳なんですね。楽しみにしてます。
蚤取りマーさん、コメントありがとうございます。
高畑淳子、そうなんですよね、一見オーバーアクトにも見えるんですけど、作品の中のアクセントとして見ると不思議とバランスがよいという。プロだなって感じです。
同感です👍
終盤の高畑淳子のホーム感(安心感)も多少オーバーアクト気味ではありましたがとても良かったです。
序盤〜中盤に掛けて京の“蔓”石橋蓮司の仕掛け賃を巡る強かさと云い、梅安達に援軍を送る義侠心と云い正に燻銀の存在感でしたね😌
『わたしの幸せな結婚』の“帝”の存在感も凄いものが在りました😨