「善悪の底無し沼」仕掛人・藤枝梅安2 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
善悪の底無し沼
"仕掛人・藤枝梅安" 二部作第2部。
池波正太郎生誕100年企画作品。
時代劇専門チャンネル開局25周年記念作品。
原作シリーズは未読、
過去の映像化作品はいくつか視聴済みです。
前作が「静」なら本作は「動」。池波原作ならではな因縁が交錯するドラマはそのままに、アクション・シーンが増えたことで活劇感たっぷり。狙う者・狙われる者のヒリヒリした因縁が壮絶な死闘へなだれ込む、緊迫感溢れる演出が見事でした。
前作もそうでしたが、仕掛けのシーンに「必殺仕事人」みたいな痛快さは皆無。殺す側にも殺される側にも背景があり、両者を絶対悪とは言えないし、絶対善とも言い切れない。
(但し、椎名桔平演じるゴロツキ侍は除く。が、世が世なら武芸で身を立てていたかもしれず、考えようによっては彼もまた世情がつくり出した悪と云う見方も出来るかも)
仕掛人として生きる梅安たちの死生観に胸が締め付けられました。仕事で的に掛ける相手が悪人だったとしても、殺しと云う手段が善いものであるわけは無い。因果応報が世の理なのならば、いつ自分が殺される側になるか分からない。善悪の曖昧な境界線を漂う魂に安らぎが訪れんことを…
[余談1]
二部作通じて演技巧者を揃えた重厚なハードボイルド時代劇でしたが、陰惨になりがちな物語の中で一服の清涼剤となっていた高畑淳子の演技がすごく良かったです。
[余談2]
彦次郎の「こりゃうめぇや」が聞けなかったのは残念。
[余談3]
前作を観た時にパンフレットを購入していたので分かってはいましたが(エンドクレジットを読んだ)、ポストクレジットシーンに登場した「長谷川様」に大興奮!
主人公をバトンタッチして来年の「鬼平犯科帳」へ繋げる趣向でしょうが、ユニバースの感があり、原作には無い二大主人公が本格共演する作品をつくって欲しくなりました。
[以降の鑑賞記録]
2023/12/29:Lemino
※修正(2023/12/29)