「ア・オートボット・ミーツ・ア・ボーイ」ぼくらのよあけ Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
ア・オートボット・ミーツ・ア・ボーイ
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妄想してもよいなら、これは紛れなくオートボットがAIから人に変わっていき、少年に思いを抱きつつも自らのアイデンティティに目覚めて、宇宙へと飛び立つ物語だったと思います。
◉健気過ぎるAI
職務に忠実であるがために、棒読み風に畳みかけるナナコが素敵で、更に処理落ちしても作業しようとするナナコに気持ちを持っていかれました。悠真もナナコも感じないうちに距離が縮まっていて、それに気づいた私の方が何故か胸がドキドキし始めたのだから、自分に呆れました。
ノーゲーム・ノーライフの機械仕掛けの少女の恋を連想した訳です。人間の男性に恋した少女は、最後は悪い女神に破壊されてしまう。シチュエーションは全く異なっていても、ナナコもアップデートを拒否して、自分の意思でかけがえのないものを保持しようとした。二月の黎明号との交流&悠真との触れ合いの記憶。
◉水は万物に従う
水は自由闊達で何にでも溶解するし、取り込み得るから、地球外人工知能のエネルギーにも使える。凝り固まらないで自然に流れる水の柔軟さが、親と子、友と友、男子と女子の結びつきにも役立つ…と言うことの暗示だった?
外観も室内も非常に古風な団地が、まさか銀河系の彼方から飛来した宇宙船だったことは新鮮な驚き。かつ、私的には登場人物のキャラデザインが昭和っぽくて、温もりを感じさせてくれました。
ただし、どの子ども一人一人の個性を感じさせず、反感も共感も抱きずらかったです。人間に関しては、平板な群像劇に収まってしまったように思います。
それだからなおさら、ナナコに目が向いたと言うことになるのかも知れないです。
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