ボイリング・ポイント 沸騰のレビュー・感想・評価
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発想は素晴らしいがもう一度観たいかと聞かれたら微妙
90分ノーカットという前代未聞の作品。
イギリスの、とある格式高いレストランの舞台裏を切り取った作品。
まずそれを映画にしようとした着眼点もすごいし、90分ノーカットで撮り切るという狂気とも言える偉業にも鑑賞前から圧倒された。
どんなに華やかで上品な高級レストランだろうが、実際に裏はこんなもの。お客さんが当たり前だと思っている表舞台のエレガントさは、舞台裏の彼らの汗と涙、心労で成り立っている。
料理人というものを少しでも経験してきた人達は、これはまだマシな方と笑うかもしれない。
事実、料理人は先輩の料理人から理不尽に暴力を振るわれ、些細なことで怒鳴られたりすることが多い職業だ。例え高級な日本料亭だろうが、フレンチだろうが、それは国境を超えても同じこと。
劇中では、理不尽な客から人種差別的な扱いをウェイトレスがされたり、厨房と支配人の意見が噛み合わずに罵倒しあって対立する場面は、あるにはあるかもしれない。だが、現実のシェフはもっと過酷。ただし、あまりにもリアルに描きすぎると、ただのつまらない胸糞映画になるので、監督はその料理人あるあるの、汚い部分は描かなかったのだろう。あくまでリアリティを重視した、ノーカット撮影という、役者の緊張感をストーリーに混ぜた1つの芸術作品だ。
切羽詰まった調理場が、登場人物を介してすらすら流れていくので、退屈と言う人がいるかもしれない。事実、退屈な映画と言えば退屈ではある。そのへんのよくある映画と違って、感動も、涙も、笑いも我々に与えてはくれない。与えてくれるのは、「空気」だ。ただひたすら、タイトル通りの、登場人物それぞれが抱える鬱憤が沸騰している現場の「空気」を伝える映画。大きなスクリーンで見た分、その緊迫感はダイレクトに伝わるが、それだけの映画と言ってしまえばその通り。もう一度観たいかと聞かれたら残念ながら、私は首を横に振る。それに、終わり方も、少し物足りない気がした。あの後アンディがどうなったのか、まだ営業時間も終えていないレストランがそのままブラックアウトしていくのは消化不良。
キャパシティ
実在のレストランでの群像劇がスリリングに疾走する、『ヴィクトリア』に比肩するワンカットサスペンス
全編ワンカットの映画としてはスペインからやってきたウェイトレスの女の子が酷い目に遭う明け方までの140分を捉えたドイツ映画の『ヴィクトリア』という大傑作がありますが、こちらはロンドンにあるJones & Sonsという高級レストランを舞台にオーナーシェフのアンディ、アンディの同僚カーリー、フロアマネージャーのエミリー、アンディの元同僚で有名シェフのアリステア、グルメ評論家のサラといった複数の登場人物達が持ち込む小さな騒動がぶつかり合ってタイトル通り“沸点”に達するまでの群像劇を一つのカメラで見つめ続けるより複雑でテクニカルな90分。次から次に起こるトラブルを場当たり的に追いかけていながらさりげなく伏線を張っているので、クライマックスの展開はただでさえ無軌道な物語をあらぬ方向へ強引に加速させ着地させます。収拾がつかないほどリアルな喧騒は演者によるアドリブなりハプニングもあるのでしょうが、相当繊細に準備されたもの。それを一発撮りで完成品に仕上げた製作スタッフのチームワークに感動しました。
イギリス版キャメラを止めるな!
90分ワンショットについては、まったく違和感なく出来上がっている。
究極の低予算映画とも言える。
ストーリーではなく、ハプニングを描いているとも言えるし、即興演劇のような雰囲気とも言えるかもしれない。
ワンショットでレストランの内情を描いているため終わりはない。最後は強制終了となり、フェードアウトしていく。
感想は難しい。おもしろいとも、おもしろくないとも言えない。
リハーサルに時間は費やしたのだとは思うが、通常の映画のように数年、数十年という時間が詰め込まれていないため、感じる時間も90分ということになる。
長回しはよくあるが、たいていの場合、自己満足となるケースが多い。
この手の映画だと「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」を思い出した。こっちの方が格段におもしろいかな。
ともあれ、興味のある方は、ぜひ劇場でご覧ください!
映画パンフレットに騙されて鑑賞
クリスマスディナーでバタバタするレストランのキッチンをワンカットで...
クリスマスディナーでバタバタするレストランのキッチンをワンカットで撮った作品。
スタッフとゲスト、写り込む人々の数だけの物語が会話などで流れる様に露呈される。
ゲストとスタッフ、スタッフとマネージャー、ちょっとした事で関係性が崩れる微妙までもがわかってしまう。
バタバタしてるテンポ同様に早く流れる割に、深い部分まで人となりがわかってしまうのが、対象的で面白い。
特にベテランパティシエと若いアシスタント2人。
袖をまくって!というあっという間のやりとりなのに、急に心をつかまれて涙腺緩んでしまう。
時間も言葉も要らない表現、なんだか凄いなと思う。
知らない役者だと思ってたシェフのアンディが、裏切りのサーカスのジェリー・ウェスタビーだったので、急に親近感がわいた。
一体,何を求めてるのか?よぉ分からんかったぁ〜¿?
カメラワーク
飲食店あるある
もっとしっかり決着をつけてほしかった
レストランでのてんやわんやを描くのに、ワンカットという手法が活きているし、計算され尽くしたカメラ移動=場面転換で、間延びした感じが一切ないのも、技能賞や努力賞ものだろう。
ただ、主人公のシェフが、どうしてそこまで追い詰められ、ストレスをためているのかが、今一つ、実感として伝わってこない。あれぐらいの忙しさやトラブルは、人気レストランであれば、当たり前のことなのではないか?
ラストが、唐突で、尻切れトンボのように感じてしまったのも、そのせいだろう。これは、シェフだけでなく、従業員や客にも言えることで、せっかく個性的な面々を登場させたのに、「それで、どうなったの?」が描かれないのは、あまりにも物足りない。
どうせなら、あと10分くらい上映(撮影)時間を延長して、広げた風呂敷をたたんでくれれば、あるいは仕込んだ伏線を回収してくれればよかったのにと思ってしまった。
ポンコツ?一流?客はポンコツばかりだな…
「つ、疲れたぁ」💦
最初から最後まで観てる自分もストレスが溜まるだけ…
オープンキッチンのせいなのか、あまりにも臨場感があり過ぎて
まるであの厨房やホールで働いてる様な感覚に…
自らも12年シェフ経験があると言う監督のリアルさ真っ向勝負感は受け入れたいが
どうにもこうにも倦怠感しか残らないのが哀しい
腕はある料理人なのは確かみたいだからこそ!
煌めく料理の数々をもっともっと映像の中で見せて欲しかった💦
スーシェフの堪忍袋が切れたのもよく分かる…
彼女は独立すべきだ!
彼女の頑張りと才能に星⭐️オマケ…と
ドキュメンタリーを観ている感覚感想になっちゃいましたが😅
ん〜配信の作品でもいんじゃない?と、個人的には思ってしまいました🙇♂️
観賞後、ストレスからか😁ゆっくり食事が出来るレストランに立ち寄り食いしん坊万歳しちゃいました!
なぜ、邦題が沸騰?
この映画は観客の心の余裕度で評価が変わる
最近はCGに予算をかけた大作ばかり見ていましたが、久しぶりのミニシアター作品に衝撃を受けました。
正直なところこれは人を選ぶ映画です。
今現在の心の余裕がなく、自身のやるべきことに追われている方、
レストランを含む接客業に従事し、そこでストレスを多く抱える方、
美味しそうな料理をみたいと、「アイアン・シェフ」感覚なものを期待している方
などからすれば、主観も入り自ずと評価は低くなると思います。
この映画のテーマは人の生きづらさや、心の葛藤をワンカットで描き、人生において本当に大切なものは何かを考えさせることにあります。
そのため、例え舞台となるのが病院であろうとアパレル店であろうと、同じ手法や同じテーマで描くことは限りなく可能だとは思います。しかし、従業員と客のバックグラウンドや、労働環境の過酷さとそれに見合わない賃金など、このテーマに最も適した環境がレストランの厨房だっただけ、といった感じです。
街の片隅の小さなレストランの1日にも、様々な人種や言葉の訛りが伺え、そこは汚い言葉や涙、嫉妬心などで多くの感情が沸騰状態であり、それぞれの葛藤や生き方に心を動かされました。
私はまだ学生で社会に出ていませんが、この映画のように過酷な環境や生きづらさの中で必死に生きる方々が少しでも報われれば嬉しいです。
大人になるにつれて、おそらくこの映画の感じ方が変わっていく気がするので、何年か経ち次のステージに来たときにまたみたいと心から思います。
人生でレストランで働いた人は少なくないだろう。人気高級店で最も繁忙...
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